「これは日記。ストーリーはない。でも伝えたいことは伝わる。」映画 窓ぎわのトットちゃん センノカゼさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0これは日記。ストーリーはない。でも伝えたいことは伝わる。

2023年12月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

原作は、敗戦までの数年間トモエ学園で過ごした黒柳徹子の日記(のようなもの)です。
物語ではないので、ちゃんとしたストーリーはないです。でも作者が伝えたいことは伝わりますね。それは「本の文章」でも今回の「アニメの映像」でも、そして「音楽」でも。
軍歌を演奏して小金を稼ぐことが嫌だった父親が、朝起きてきトットちゃんたちの前で「タイスの瞑想」を弾いているシーンが印象的でした。

さて本が出版されたのは、戦後36年過ぎた1,981年。
戦後復興、高度成長期を経て生活は豊かになりましたが、幸せになったのか?
当時は「不登校」とか「家庭内暴力」(子から親へ)という言葉が広まった時代です。
だからこそ黒柳徹子は「トモエ学園」の話を伝えたかったのでしょう。

それから40年。世の中は幸せのなったのか?
さらに悪くなっています。
「不登校」のみならず、「いじめ~自殺」というニュースにも、憤りはあっても驚きはなくなってしまいました。大人社会への「同調圧力」が強まっているのも感じます。

40年前を知らない世代の人にも見て欲しい。
アニメの最後、トットちゃんの(未来に)希望を持っている映像で終わってるのも良かったです。

センノカゼ