「日本人には理解の及ばない点有り」ソフト／クワイエット　吹雪まんじゅうさんの映画レビュー（感想・評価）

別に問題提起をしたいわけではなく、単にスリラー作品を撮るにあたって、「人種差別」「ヘイトクライム」という素材を利用しただけである……。と、捉えるならば全く問題なく楽しめます。全編ワンカットという大胆な手法は、没入感と緊張感を与えるには十分すぎる効果があり、何気ないシーンでも何か起こりそうな緊張感が漂い、目が離せません。かなり怖かったし、インパクトのある作品でした。

もし問題提起を含んだ作品として上映しているであれば…、ちょっとやり過ぎじゃないかなぁ。この観せ方は面白いけど心には響かない…むしろ別次元で起こっているアホ共の狂気という感じで、とても自分の生きている世界で起こっていることとは思えませんでした。

ところで、この作品で描かれている狂気の沙汰としか思えない人種差別はアメリカのリアルなのでしょうか？もしそうだとしたら、映画より現実の方が余程恐ろしいです。余りに短絡的で幼稚な思考の登場人物達。アメリカ人達がどんな気持ちで本作を観ていたのかが非常に気になります。

んで、早速ロッテントマトを覗いてみたところ、批評家満足度84%、一般客満足度45%。なるほど。しかし、一般客がストーリー的な部分を批判しているのか、白人を愚かで浅ましい人間として描いたことに対して怒っているのかまでは分かりません。

兎にも角にも、観る人がどんな環境で生きてきたかで評価が大幅に変化する作品だなぁと思いました。