「Noise」ソフト/クワイエット ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Noise
ブラムハウス製作作品となると観なきゃなという気概で鑑賞。土曜日の昼間という事もあり大盛況でした。
いやこれは中々にエグい…、というか辛く痛い物語でした。タイトルとは相反するノイズだらけの身勝手さが強く表に出ている作品です。
まず冒頭、エミリーが黒人の清掃員を目の敵にして、生徒に強くいてほしいという名目の元、清掃員に注意を促してくる様子を見て、エミリーの異常性が早速垣間見えます。
この生徒の母親以外、まともな白人女性は出てこないという末恐ろしさがあります。
白人至上主義グループを結成して、とにかく褐色人種を見下しまくる6人の女性、「白人男性に似合うのはこんな女性(エミリー)と自分を称える描写も中々に不快でしたし、その他のメンバーもやたらと差別的な発言を意気揚々とするのでこの時点で苦虫を噛んでる気分になりました。
このメンバー間の中でも見下し合いが起こっており、言動の品の無さとか服装とか行動とか、とにかく全員が全員自分を1番だと思って行動しているので、人の悪さが滲み出していて気持ち悪かったです。
イタズラという名のイジメの様子は、スクリーン越しであっても観ているのが痛々しかったです。やってる事が幼稚で、マヨネーズで髪を塗りたくったり、ピーナッツを口の中に放り込んだり、飲み物を無理やり飲ませたりと、その上アレルギー反応が起こって死んでしまうというもうやめてくれよ…という映像の連続でした。
しかも死んでしまった事を他人になすりつけるわ、見なかったふりをしようとするわ、これでもかというレベルのクズっぷりが展開されます。
しかも作戦立案をしたのにずっと慌ててはキレての繰り返しだったエミリーが、レスリーに完全に主導権を取られて怯えてるのも年功序列が逆転している様子が見事に描かれているなと思いました。ムショ上がりだから気は相当強いですし、平気で人質を殺しますし、人を殺した状況下でエミリーにモデルの交渉をするあたり、真の怪物はレスリーだったんだなと後半ドドっと明らかになっていきます。本当にエミリーが怖かったです。
少し残念だったのは、夜のシーンが真っ暗すぎて何やってるのか分かりづらいのが惜しかったです。ワンショット撮影なんで仕方ないとは思いますが、死体遺棄のシーンはおどろおどろしいはずなので、そこがしっかりしてればなぁと贅沢にも思ってしまいました。
ラストショットで少しだけ安心しましたが、なんにせよ人殺しに関わった4人には痛い目にあってほしいと思うばかりです。
今年観た作品の中でも不快指数の高い作品でした。それがクセになり、鳥肌の立ちまくる作品になっていました。全編ワンショットで撮られているのもあり、一度のミスも許されない撮影の緊張感がヒシヒシと伝わってきました。役者陣、製作陣の皆様、本当にお疲れ様でした。
これがデビュー作とは…ベス・デ・アラウージョ監督追いかけていきます。
鑑賞日 5/20
鑑賞時間 14:10〜15:50
座席 D-1