ウィ、シェフ!のレビュー・感想・評価
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料理が煮込むもの
料理は希望を煮込む──映画『ウィ・シェフ!』を観て思うこと
料理は、人を幸せにする。そんな言葉を、私は何度も聞いてきた。
でも、この映画を観て、その意味が少し変わった気がする。
幸せにするのは、食べ物そのものじゃない。
そこに込められた「生きる力」かもしれない。
カティ・マリーは、一流レストランを去った孤独な料理人。
腕は確かだが、こだわりが強すぎて、居場所を失った。
そんな彼女が辿り着いたのは、未成年の移民たちが暮らす施設。
料理とは無縁の彼らに、カティは包丁の握り方から教え始める。
最初は混乱と笑い。
でも、やがてそれは授業になり、彼らの手は「生きる技術」を覚えていく。
この映画が問いかけるのは、ただの移民問題ではない。
「待っているだけでは、何も変わらない」──そんな無言の言葉が、胸に刺さる。
努力しても救われない者がいる。
強制送還された仲間の写真が、現実の重さを突きつける。
それでも、歩み続けることに意味がある。そう信じるしかないのだ。
カティは最後に笑う。
料理は、人を幸せにする。
幸せにできるなら、フランスに居続けることができる。
そのためには努力が必要だ。
全員が救われるわけじゃない。
でも、希望を煮込む鍋をかき混ぜる手を止めない。
料理は、ただの技術ではない。
人を救う「言語」であり、未来を描く「絵筆」だ。
料理人としての成功を捨てて、移民を救うという使命を認識したカティの決断に、涙が溢れる。
フュージョン料理
社会派映画
初フランス✨
偏屈なシェフが、生き甲斐を見出すまで。
フランス人シェフと未成年の移民たち。
風変わりな組み合わせですが、着眼点が面白く
良い映画でした。
有名レストランのスーシェフのカティ・マリーは、料理の仕上げでの
意見の食い違いから、シェフと大喧嘩して店を辞めてしまいます。
再就職に苦労する日々。
宣伝コピーに惹かれて応募した先は、未成年の移民の自立支援をする
施設の寮母的な調理係りの仕事だった。
厨房は不衛生で食材といえばラビオリの缶詰めばかり。
目立つのは電子レンジばかりです。
初日の昼食は待ちくたびれた30人が食べられず、施設長に
大目玉を食らいます。
しかし頑固なカティ・マリーは、自説を曲げません。
きちんと一人一人の皿に分けた、手の込んだ料理を作ります。
生徒を調理助手にするには、まずは清潔な手洗いやスリッパ禁止。
そしてマリーは率先して床磨きから始めます。
料理に魅せられて行く少年たち。
シェフになりたい・・・
料理を学びたい・・・
そう何人も思うようになります。
そして施設長のロレンゾ(フランソワ・クリュゼ)は、
調理師養成学校を開設して、移民の少年たちに就学のチャンスを
与えるアイデアを思いつくのです。
未成年の内に就学できないと、強制送還されてしまうのです。
移民の少年たちは全員本物の移民で、オーディションで
選ばれたそうです。
(自然な演技で舌を巻きました)
テレビの料理番組「コック」にカティが応募して大胆な賭けをする演出。
これは事実ではないでしょうね。
ちょっと鼻に付く演出でしたが、見せ場は作らなきゃね‼️
カティ・マリーのモデルのシェフは実際に存在していて、
危険を冒して単身フランスにたどり着いた未成年の移民たちを、
調理師として養成してフランスで安定した暮らしを手に入れるように
奮闘する 実在のシェフ、カトリーヌ・グロージャンを
モデルにしているそうです。
施設長のロレンゾには「最強のふたり」のお金持ちの障がい者を
演じたフランソワ・クルゼが、カティ・マリーにはフランスを代表する
名優オドレイ・ミラーが演じています。
感動の押し売りが無いクールなカッコいい映画です。
何をやらかすんだろ
シェフは厄介な未知
「移民大国・フランス」ならではの実相も描いた一本なのか。
<映画のことば>
「ここにいる限り、あなたも同じだ。
子供たちを守る責任がある。」
フランスでも国内在留(永住?)の許可を得るためには、定職に就くことが必要不可欠なことなのでしょう。
それで、料理人の途を目指す移民は、途絶えることがないのだろうと思いました。
本作は、その国柄を(独特のコミカルさを交えて)描いた一本ということなのでしょう。
もちろん、本作での「ウィ、シェフ!」は、厨房の全責任者であるシェフの調理に関する指示・命令は絶対で、これに無条件で服従する意思の表示であり、その意味では軍人の上官に対する「イエス、サー」、船員の操船者(船長など)に対する「ヨーソロ」と同じ意味合いなのでしょうけれども。
しかし、移民である彼らには、生活(フランスでの在留の権利)を得るための雇い主に対する絶対的な服従としての意味での「ウィ、シェフ!」を感じ取ったのは、評論子、独りだけではなかったかと思います。
時にコミカルな描写も入り交じる本作ですけれども。
先の点も感じ取れる一本として、佳作であったと思います。評論子には。
<映画のことば>
「あらあら、下積みのない有名女優は?」
「誰もいないわ。ひとりも。」
「これが、ジュリア・ロバーツへの道よ。
荷物を積んで、降ろして。それが、あなたの人生を豊かに強くする。」
主人公の第一印象は無駄にプライドが高く、社会人としてまともにやって...
移民少年たちと女性シェフの触れあい
本作の予告編を見たときは「ある女性が料理人として独立できるか?」を描いた作品のように見えたが、実際に観てみると、フランスに大勢いる移民問題を描いたものであった。
ただ、この描き方が深刻に描くのではなく、料理の作り方を修得していくドラマの裏側にある問題として、楽しさが前面に出ていたあたりは「面白い映画だが、考えさせられる映画」という感じだった🎥✨
ある一流レストランのスーシェフ(料理長=シェフのサブ的な位置付け)だったカティは、シェフと大ゲンカして店を辞めてしまった。
ようやく見つけた職場は、大勢の移民少年たちが暮らす支援施設であった。この「料理を作る環境が全然ダメの職場」でカティはどうするのか?
施設の少年たちは料理など全く興味ないが、天涯孤独なカティと少年たちは料理を通じながら心を通わせていくが……といった展開。
少年たちの大好きなサッカーと料理をリンクさせながら会話するカティの姿から、子供たちとの触れ合いを大切にしている……という姿が感じられた👍
邦題『ウィ、シェフ!』は上手く付けたな~と思える佳作であった🙆👍
おやつくらいの感覚で観るといい
本場のフランス料理が食べたくなりました
移民問題の一端
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