ウィ、シェフ!のレビュー・感想・評価
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最高のチーム
「LA BRIGADE」という原題は直訳は「旅団」という意味らしい。 そこから分隊、チームや組という意味になるそうだ。 レストランは1人では出来ない。 料理を作ってもそれをさらに美味しく説明出来るホール担当が必要で、特にオーナーシェフともなれば親方さながら統率が取れなかったら成り立たない。 しかし、フランスの移民問題にはこのような部分があるんだな。
移民との融合の可能性をユーモアを交えて語る作品
親元を離れた未成年の移民に教育を受けさせ、フランスに定住させることを目的とした自立支援施設で働くになったオドレイ・ラミー演じる女性料理人・カティの奮闘を描いたお話でした。彼女の頑固で一徹で、そして愛すべき生き方もさることながら、社会としていかに移民と暮らしていくのかというテーマを主題としつつ、フランス映画らしいユーモアを交えた良作でした。 ストーリーはと言えば、一流レストランでスーシェフとして働いていたカティが、同じく女性シェフと喧嘩別れして辞めてしまうところから始まります。最初は同業他社に売り込むものの、中々再就職の口がなく、仕方なく自立支援施設の食堂で働くことに。はじめは単に食堂で料理を作って生徒たちに食べさせるという仕事でしたが、料理へのこだわりがあるカティは、レストランさながらに手を掛けて料理をします。そのためやたらと時間が掛かってしまい、ランチが出るのも2時過ぎ。それでは困るというので、有志の生徒に料理を手伝って貰うことになりますが、やがて彼らに料理を教えることに。さらには、料理の技を身に着けることが職業訓練にもなることから、本格的な料理教室へと変わっていくことになります。 中にはカティに従わない生徒もいましたが、徐々に距離を縮め、またカティが生徒の性格や技量を把握して適材適所で人員を配置していくことで、チームワークが高まっていく様子に、こちらの高揚感も高まって行きました。そしてこの様子こそが、この映画のテーマでもある移民との融合ということであり、それを象徴的に描いた展開だったのかと思います。 因みに邦題では「ウィ、シェフ!」となっていますが、フランス語の原題は「LA BRIGADE」、英語の題名は「KITCHEN BRIGADE」となっています。「BRIGADE」とは軍隊用語で「旅団」という意味だそうで、フランスのレストラン業界では、自分たちの業務を軍隊に準えて使われる言葉のようです。日本語に直訳すると、「キッチン旅団」とか「厨房旅団」ということになりますかね。邦題も「キッチン旅団」で良かったんじゃないかと思いもしましたが、軍隊でいうところの「Yes Sir!」をレストランの厨房に当てはめると「ウィ、シェフ!」になるので、中々考えられた題名だなと感じないでもありませんでした。 話は映画から離れて我が日本の現実社会に目を向けると、先ごろ入管法の改正案が衆議院を通過したという報道がありました。これは移民というよりも難民の話がメインのようでした。法案の詳細は他に譲りますが、そもそも日本の難民認定率は従来1%にも満たず、他のG7参加国が二桁台なのと比較すると、非常に低い数字です。しかも難民認定されるまでは不法入国者として長期間拘留されることも多いようで、しかもその扱いも酷く、2021年には入管施設に収容中のスリランカ人女性のウィシュマさんが死亡するという事件も発生しました。 本作のような移民との融合という姿勢がフランスの全てだとは思いませんが、こういう姿勢が少しでも日本政府にもあれば、ウィシュマさんのような悲劇は起こらなかったんじゃないかと思います。 まあ「日本は外国とは違うんだ」という意見もあり、それはそれで一理あるとは思いますが、普段は「民主主義、法の支配、基本的人権を尊重する」とか言ってるのに、やってることはどこかの全体主義国家と大差ないという矛盾した状態は解消されるべきではないでしょうかね。 話が随分とずれてしまいましたが、移民問題というどちらかと言えば重い話を主題にしつつも、明るさや軽妙さ、ユーモアを交えた作品になっていたのは非常に良かったと思います。
舌鼓を打つ
楽しげなポスターを観て気になったので鑑賞。
移民の子供たちが集まった施設に、前職のシェフを辞めて自分の店を建てるための開業資金を貯めるためにやってきたカティと子供たちの交流、葛藤を描く物語。
全体的にもっとポップな描き方なのかなと思っていましたが、移民問題をしっかりと取り上げますし、陽気な音楽はそこまで鳴らないので思っていたものとは違いましたが、なかなか良い作品でした。
最初は反発していたカティと子供達ですが、最初から懐いてくれる子もいれば、徐々にというか急激に距離を詰めたりして、料理の作法・手順を学んで、それを学習にも活かしていくという流れが素敵でした。
子供達もどんどん笑顔になっていきますし、料理する立ち位置をサッカーのポジションに例えてもらってからはウキウキで楽しそうでした。こういうの観たかったんだよなぁって感じの絵面でした。
移民問題の複雑さもしっかり描かれており、18歳を超えていたら強制送還、移民は冷遇されて職や進学も怪しいという、様々な問題を抱えた彼らにとっては辛い状況だろうなと思いました。
もう少し簡潔に描いてくれれば良かったんですが、途中途中入っては料理を作り…の流れが多かったので、移民の部分はしっかり一つ描き切って欲しかったなというのが本音です。
「THE COOK」という番組にカティが出て、他の料理人と戦ったりしますが、イマイチこの番組のルールやどう勝利するのかの基準が分からなかったので、この番組が展開されていた場面はピンとこないシーンが多かったです。
ディレクターサイドの声や、司会者が慌てまくるシーンも多く映されていましたし、子供たちがなぜか厨房に立っててカティは家で見てるという不思議な構図。中盤まで高まりが良かっただけに、このシーンは失速したなと思いました。子供達の進路が一気に開けていったのは良かったです。
カティ自身も施設で育っており、そこからシェフへの道を歩き出したので、子供達の境遇にとても寄り添いますし、子供達の育成に協力して子供達のための調理学校まで作り上げる(施設の責任者の手伝いもありつつ)と、ある種自分の店を持つ夢を叶えて終わる感じは、唐突かつ急ぎ過ぎな感じもしましたが、大団円なのでスッキリした終わり方でした。
もっと料理が美味しそうだったらなぁとは思いましたが、100分未満の尺でサクッと観れるので満足度は高めの一本です。
鑑賞日 5/11
鑑賞時間 12:40〜14:25
座席 E-12
洗い場はキーパー
カティも子供たちもそれぞれ事情があるだけで、コミュニケーションを取れば歩み寄れる。
変遷はやや性急だが、気持ちのいいキャラクターばかりです。
レシピが変わっていなかったところを見るに、元の店のシェフも悪い人ではないのかも。
サッカーに例えて指示を出すカティ、調理や食材に関わることわざを学ぶギュスギュス。
そういった、相手を理解し寄り添おうとする描写が非常にお見事。
明るくなっていくみんなの表情に、ノリノリの挿入歌で自然と笑顔になれます。
子供たちはもちろん、ロレンゾ、サビーヌ、ファトゥも魅力的で、もっと見たい。
夢を語るジブリルの瞳が印象的だっただけに、アッサリ送還の流れは哀しかった。
最後は賞金で店を出し、みんなを雇うのかと思ったら。。確かにそれだと数人しか救えないですもんね。
ご都合主義かつ番組構成が分かりづらかったが、結局送還されたメンバーも多く、苦味もあり。
指導者であり母のようにもなったカティは、人を笑顔に、幸せにする料理の原点に立ち返る。
子供たちを実際の移民から選んだところからも、この作品が軽いだけのコメディでないことは分かる。
しかし、重くならず爽やかに見せるバランスが絶妙な秀作でした。
移民の問題を扱いながらもほのぼのしてしまう
フランスでは移民がらみの映画が定期的に作られる。それだけ移民を受け入れていて社会問題にもなっているからだろう。本作は移民の若者たちを支援する施設で働くことになったシェフの話。 コミュニケーションにも苦労していたのが、厨房の手伝いをさせていくうちに親密になるという定番な流れ。チームの結束が強くなっていくこの手のフランス映画好きなんだよな。 料理対決のテレビ番組への流れとか、前の職場だったレストランに食事に行くシーンとかちょっと流れがわかりづらいのは残念なところ。短めの上映時間なんだからもう少し丁寧に描いてもよかった気がする。成人するまでにフランス国内で就業できなければ国外退去になるという制度があって、安易なハッピーエンドとならないのも少し驚いた。甘くない現実を反映してのものかもしれない。でも、最後のシーンが強引なのにそれはそれで悪い印象とはならなかった。
実話なのね
良い話だったんだけど、実話をベースにしていて、実際に起こったことを描いたシーンが多数あるからなのか、脈絡もなく話が途切れていく…。 強制送還とかの事実は、そうなのかも知れないけど、そこは嘘でも良いのでは?と思う部分もあり、なんか釈然としなかった…。 まあ、でも良い話なのかな?
フランス製らしく…。
こういうパターンのフランス映画ってサラッと展開する事が多い気がする。移民問題も絡めているけど深追いはあまりなし。そのせいかお話もうまく進みすぎ。が、90分くらいでこれだけ気持ちよく見れればOK。楽しかった。
移民の支援をする良いフランス人もいると改めて気づいた。
私がフランスと聞いて思い浮かぶのは、料理、芸術、ファッション、そして今回の映画で描かれる移民問題。 未成年の移民の自立支援施設が出てきて、移民を手助けする良いフランス人もいることに改めて気付いた。映画の中で移民にからむフランス人は、犯罪者か差別する悪いヤツに決まっていると無意識のうちに思っていたようだ。 移民が平凡に暮らしている場面より、犯罪に手を染めたり、差別され搾取される話のほうが衝撃的で記憶に残りやすい。だから移民というと犯罪や差別、それに関わる悪いフランス人という印象を持ってしまったのかもしれない。先日見た「トリとロキタ」なんて正に移民と犯罪がらみだ。(ベルギーだけど) 根拠のない憶測だが、日本で移民問題を実感として感じられる人には2つあると思う。 移民が多い地域にすんでいる人と、移民問題に関わっている人だ。 逆に、そうではない多くの日本人にとって移民問題は対岸の火事で、他人事だからピンと来ないような気がする。 将来 日本は移民と難民を多く受け入れることに方向転換するかもしれない。その時、私は、(排他的、事なかれ主義と言われる日本人の) 私は、どう接するのだろうか? 映画を見て色々と思いをめぐらせる今日この頃である。 去年(2022)見た映画 「マイスモールランド」 は日本の移民問題を描いた秀作。 私は確かレビューしそこねたと思う。現在は配信で見れるらしい(5/2(火)TBSラジオ町山智浩さん情報)。
料理ではなく移民問題が本筋。
情報ほとんど入れてなかったので、タイトルからフランス料理でのバトル映画を想像しながら着席。 主人公のカティは働いていたレストランでシェフと喧嘩をして退職。やっと見つけた職場は、移民の子供達を支援する施設。何だそれ?だって辞めた店は有名レストランで、スーシェフやってたんだよ。なのにそんな施設に就職なんて不自然でしょ。料理人を辞めたい様にも見えなかったしね。とにかく仕事始めなくっちゃねって事で、ランチ70人分作ってたら14時過ぎちゃって、ほとんどの子供達がいなくなっちゃった。そりゃそうでしょ。それで子供達にサポートを頼む事になった。あら、みんな料理に興味あるんだね。沢山集まって驚いた。料理の会話に日本が出てきてニヤッ。この辺りからフランスの移民・難民問題を考えさせられる。子供なのに色々大変なんだ〜。成人になるまでに就職しないと母国に強制送還されちゃうんだ。厳しいよね。日本はもっと厳しそうだね。才能あればプロのフットボーラーになってスーパースターになれる可能性はあるんだけど、一握りだもんね。料理人の方が現実味あるね。そしてまさかの展開のフランス版料理の鉄人。ん?これ決勝戦??訳分からん番組だな。ラストは少し残念だったけど、料理のシーンや売れない俳優の友達など、結構楽しかったし、存在感ある若者が強制送還されたりしてちょこちょこ泣けた。
一筋縄では
自己中心的なシェフと移民の若者たちが料理を通じて心を通わせてゆく… と一筋縄ではいかないところが良いね。 日本の入管ほど悪辣ではないが、フランスの移民政策の酷さを知ることが出来たし、そうした問題への声の上げ方という点でも面白いシナリオだった。あの番組がどういう企画でやってるのかはよく分からなかったけど… あまり多くを説明しないところは好感が持てるし、彼らの顛末も甘いばかりではないところもね… 良作。
今ならムバッペかな
無力感に苛まれた青少年をワケあり中年が導いて自信を与える、という「がんばれベアーズ」とか「ザ・ウェイバック」みたいな話かと思ったら… 終盤の「リベラル」風味の展開を否定的に評価するには勇気がいるだろうが、脂っこすぎて残念。 登場する料理はどれもとても美味しそうだった。
移民問題を料理、といっても難しい
ストーリーはシンプルで日本のバラエティというかコメディドラマ的な展開で、フランスとかも変わらないんだなぁと。 ただそこに移民、難民問題があるのは今の日本の事情とは少し異なるところで。。 テレビ中継の過剰な演出のあと、めでたしめでたしで終わらないシビアさとほのかな展望感は良かった。
悪くないけど、 もう少し作り込んだら良かったというか、 作る人もさ...
悪くないけど、 もう少し作り込んだら良かったというか、 作る人もさくっと作って 見る人もさくっと見ちゃった感じ
楽しくてちょっと切ない佳作!
ちょっとこじらせた女性シェフが、移民の子どもたちとともに成長する物語。 基本、紆余曲折ありながら成長していく話なので、楽しくみられます。 フランスの移民の事情とか、複雑な事情もあって、全てがうまくいくわけではないし、悲しい出来事もありますが、明るい気持ちで終われる良い作品です☺️
成長、共感、で現実
65本目。 なんか嫌な奴で始まったけど、この流れだと恐らくはと。 まあ予想した流れではあるけど、序盤に見えた彼女の嫌な部分も流れで分かるし、納得できる。 別に料理以外でもとは思ったけど、美味しいものには国境関係ないし、食べて幸せ、作った方も幸せと、その辺が分かりやすいからなのかなって。 ただでさえタバコ嫌いなのに、シェフがタバコ吸うのはなあ。 そこに凄く嫌悪感。
リベラルな料理はいかが
それなりに面白いんだけど、展開が少し強引。また、特定のイデオロギーが色濃く反映されていて、こちらはノイズに感じた。 料理を作るシーンだけに限ると、食欲がそそられる。物語の主軸が、主人公からぶれてしまったのが残念。
【有名レストランのスー・シェフが移民の少年達に料理指南をした訳。移民問題の厳しい現実を描きながらも、ラストの捻りの効いたフランス版”料理の鉄人”シーンには留飲が下がった社会派コメディ映画である。】。
■料理人のカティ(オドレイ・ラミー)は、一流レストランのスー・シェフとして働いているが、料理の味付けでシェフと衝突し、自ら店を辞める。
そして、新たな”店”に行くと、そこは移民の少年達が暮らす支援施設だった。
施設長(フランソワ・クルゼ:足が未だ悪いようだが、驚異的な回復力である!ホント、スイマセン・・。)に”キッチンが汚い、お金が無い!”と言っても予算は限られていると言われてしまう。が、施設長から”彼らを使えば良いじゃないか”と言われ・・。
◆感想
・最初はバラバラだった施設職員、移民の少年達が厳しいカティの元で料理の修行をするうちに団結していく姿に魅入られる。
ー カティが”私の指示への答えは”ウィ、シェフ!ね!”と言って最初はブー垂れていた少年たちが段々嬉しそうに、”ウィ、シェフ!”というシーンは可笑しいが何だか沁みてしまうのである。-
■劇中で語られているように、カティ自身が親のいない施設育ちであった事。自らの名前も分からず後から付けた事が分かるシーンから、今作はググっと面白くなる。
■一方、仏蘭西では未成年の移民は18歳までに手に職を付けるか、学校に行かないと国外追放されてしまう厳しき現実も今作では、キッチリと描かれているのである。
言葉の壁、厳しい骨密度まで測る年齢制限、職業訓練校の狭き門・・。
<それに対して、自分の指示に一生懸命応えようとする少年たちの事を案じてカティが打った奥の手が正に拍手喝采である。
フランス版”料理の鉄人”に出場し決勝戦まで残り、迎えた夜。
カティが決めた店の扉が開かない。焦るアナウンサー。戸をこじ開けようと唸るドリル。
そして、漸く店に入ると壁いっぱいに張られた移民たち少年の写真や、料理専門の職業訓練校を作って!というコメント。
更に奥に行くと、満面の笑顔の移民たち少年の故郷の御馳走が沢山!
オジサンは、こういう展開に物凄く弱いんだぞ!涙が溢れたじゃないか!
今作は、ユーモアを交えたタッチで大きな社会問題になっている移民問題に一石を投じた社会派コメディなのである。>
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