「背中を押す台詞と寄り添う台詞」夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく やきすこぶさんの映画レビュー(感想・評価)
背中を押す台詞と寄り添う台詞
私、おっさんだけどスターツ出版さんの本が結構好きなんですよね。
原作は読んだ事が無いんだけど、この映画を観てスターツ出版さんらしい成長物語だと思いました。
優等生の茜は、今の自分のままで良いとは思ってないの。
だけど、自分を守る為に作りあげてきた自分を、簡単には崩せないよね。
そんな茜を、青磁は否定する事で背中を押したの。
その甲斐あって、茜は変わる事が出来ました。
それでね、この映画で良かったと思ったのが沙耶香の台詞なんです。
自分自身を否定する茜に、肯定して寄り添う言葉をかけてあげるの。
スターツ出版さんの読者層って、茜と同年代がメインだと思うのね。
当然この映画を、茜に自分に重ねて観ている人も多いと思う。
その世代の人たちって、背中を押されるだけだと息苦しくなってしまうんじゃないかな、そんな時に寄り添う言葉を貰えたら少しは楽になれると思うの。
とても良い映画なんだけど、欲を言えばラストシーンは絵を使って欲しかったな。
あの場面の絵って、描いた人のモデルへの愛情が感じられる絵じゃないといけないと思うんです。
絵って、言葉にしなくても描いた人の気持ちが伝わる物だからね。
『彼女の好きなものは』の絵とか感動したもん。
あの場面、茜があまり輝いて見えなかったの。
久間田さん自体は凄い輝きを放てる役者さんだから、そう撮ってないのね。
多分、彼女を絵の一部にしなければいけなかったから、魅力を閉じ込めちゃったんじゃないかな。
あの時の絵は、茜の魅力=青磁の茜への愛情が溢れ出して来て欲しいんですよね。
茜が思わずマスクを外したシーンの絵は、心動かされたから、あの画家さんが書いた絵を使って欲しかったな。
これは一個人の意見だから、あの撮り方が良いって意見も有ると思うけど、それは否定しません。
最後くどくと書いたけど、この映画自体は好きです。