To Leslie トゥ・レスリーのレビュー・感想・評価
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綺麗なお母さんは好きですか
全米単館上映からアカデミー女優候補にまでなった話題作。主演のアンドレア・ライズボローさんは42歳、立派に成人した息子がいるアル中のシングルマザーにしては可愛いすぎる!けどその「オンナ」を売りにするわけじゃなく(少なくともそんなシーンは少なく)更生して行く…何度も何度も観客に「飲んだらあかん!」って心で叫ばせながら。
場末の映画館でもそこそこのお客さん、皆満足そうな顔でした。もちろん僕も。おばあちゃんありがとう!
リアリティとファンタジー
この人どうするんだろうと思いながら見てました。八方塞がりの人生。 それがこの展開になるのが最も意外でした。やっぱりアメリカ映画は人を信じるんですね。 リアルなことをいえば、アルコール依存症の人があんな形で救われる可能性は低いと思います。 気まぐれな人の善意に頼るのではなく、公的なお金で病院や施設に入るなど、制度に頼るしかないでしょう。その方が依存症の専門家に対応してもらえます。 しかしそこはアメリカ(映画)で、国家より人なんですね。 なんといっても、アンドレア・ライズボローの演技。アカデミー賞にノミネートされた時、無名だったために不正疑惑まで出ましたが、これを見れば誰もが納得ではないでしょうか。 アリソン・ジャネイも相変わらずすごい迫力。 息子役もよかった。
最高だよ
宝くじで19万ドルを当てたがその金は酒に消えてしまい…アル中で何事もうまくやれない女性の物語。 酒癖の悪さは勿論、過去に何かあったらしく、親や友人、地元の皆や遂には息子にまで見放されるレスリー。 口は悪いし、辛いのはわかるが努力しているようにも見えないし、言ってしまえばクズだなぁ…と言うのが中盤までの印象。 地元の奴らも、何か嫌な感じでレスリーにあたるが、まぁ彼女のやったこともねぇ…。 そんなこんなだが、優しいモーテルの経営者に運良く拾われ、なんやかんやありながら働くことに。スウィーニーも色々あったみたいだが、逆によくレスリーを助ける気になったなぁ。。 天涯孤独となった身の辛さや、抗えない病気の苦痛、そしてそれでも助けてくれる人が残っていることに光を見出だせたり…哀しくも暖かい作品だった。 許せないけど、苦しみは終わらせたい…。う〜ん(涙) 個人的にはロイヤルがお気に入り。良くない言い方だが、彼の奇行を見ることで自分だけじゃないと思えたんじゃないかなぁ。 そこからの、特別料理ツバ無しって粋なジョークも。 最後は泣けました。映画でちゃんと泣いたのは久々かも。うぅ〜ッ、これが所謂お袋の…と思って涙が出たが、よくよく考えりゃこれロイヤル作かwそしてジェームズは良い子すぎ! この後もまだまだ大変な事は続くと思うが、私も諦めたくないと思わされた作品だった。
19万ドルでは
ラストが良かった。そこまでいく展開はもっとテンポよく、わかりやすくしても良かったのでは、と思います。19万ドルではスケールが物足りない。リアルかも知れないけど。派手に 190万とか1900万とかだともっと面白くなったような。
クズ女の再生物語
救いの手を差し伸べてくれた人を裏切る、そして自分が救われるためならば平気で嘘をつく、身体だって売る、そんなとんでもないアル中女。子供まで捨ててたのかい。あまりのクズっぷりに呆れつつも、何か心の奥にあるもやもや(僕にもある恥ずべきクズ部分)を洗い流し、弱った心を癒してくれる、僕にはそんな映画でした。
目で演技するリーに感服
転落して、這い上がる。 切ないな。 挫けそうになって、お酒に手を出しそうになるときの目の演技が絶妙。 それに、だれかが寄り添ってくれるって、どんなに励みになるか。 深いな〜 こういうの、ホントに好きかも。 レビュー書くまで、メチャ思い出して時間かかった〜 何度も思いかえす、この時間が至福。
【”19万ドルの宝くじに当選したシングルマザーの息子は”母さんの為にダイナーを買う!”と町の皆の前で誇らしげに言った。今作は王道の喪失と再生の物語であり、ラストは可なり沁みる作品でもある。】
ー 今作の主人公、レスリーを演じたアンドレア・ライズボローは「オブリビオン」でその美しさに驚き、以降ほぼ総ての出演作品を観ている。端役が多いが、存在感ある女優さんである。
だが、今作の彼女は、アルコール依存の役故に眼の下には隈があり、品の無い真っ赤なルージュを唇に塗り、常に悪態をついている。
そのギャップに可なり驚くが、今作の彼女の演技に対し、ケイト・ウィンスレットは”私の人生で観た最も素晴らしい演技。”と評したと言う。-
■アメリカ地方都市に住むレスリーは、彼女がシングルマザーだった若き時、宝くじで19万ドルの大金を得ていたが、6年後、その金はほぼアルコールに消え、彼女はアルコール依存になっていた。そして、家賃滞納で家を追い出され”ピンクの旅行鞄”と共に息子のジェームズの家を訪れる。
だが、彼女の悪癖は治っておらず、ジェームズの同居人の男から金を取り、”呑むな”と言われた酒をこっそり飲み、ジェームズの家を叩き出される。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・どうしようもない母親だが、高額宝くじに当選した人は、ある割合で身を持ち崩すというデータを観たことが有る。特にそれは貧富層に多いという。
・レスリーは高額当選した町に舞い戻るのだが、小さな町ゆえに彼女が犯した愚行は、町中の人が知っており、彼女は揶揄いの対象になる。且つては友人だったダッチやナンシー(アリソン・ジャネイ)からも・・。
ー レスリーが当選当時はやっかみもあったのだろうな。その反動であろう。但し、ナンシーはレスリーが置いて行った幼きジェームズの面倒を見ていたためか、彼女に対する態度は更にシビアである。だが、これが再後半の効いてくるのである。-
・レスリーがいつも持ち歩いていた”ピンクの旅行鞄”の中に入っていたモノ。
ー それは、古ぼけた息子の手紙であり、幼き息子が写っている多くの写真であった。ー
・ダッチとナンシーの家に一時的に入れて貰うも、直ぐに喧嘩になり、行く当てを失った彼女はスウィーニーとRSDの遣り過ぎで時折オカシクなるロイヤルが経営するモーテルで働く事になる。
ー それでも、寝過ごしたりしているが、徐々に部屋の清掃をしているうちに生活習慣が戻って来るレスリー。だが、夜になるとバーに出掛ける日々。
自分の犯した過ちが許せずに、世間に怒りを叩きつけるレスリーの姿。
そんな彼女を献身的に支えるスウィーニー。彼も又、妻と上手く行かずに屈託を抱えていたのである。-
■白眉のシーン
・6カ月が過ぎ、レスリーは人生をやり直そうと、モーテルの敷地の中に有った建物をダイナーに改装する。
だが、夜になっても誰も来ない。レスリーはロイヤルの服から酒を取り蓋を開けるも、匂いのみ嗅ぎ、ギリギリ呑まずに堪える。彼女はその前にハイになってパンツで駆け回るロイヤルの姿を見ているのである。
そして、閉店しようとしたときに、ナンシーがやって来る。彼女が言った言葉”謝るよ。アンタの姿を見て楽しんでいたんだ・・。”そしてナンシーはレスリーが町を離れた時に別れたジェームズを店内に入れるのである。
漸く訪れた親子の時間。
嬉しそうにスパゲッティを息子に出し、カウンター越しに二人は抱き合うのである。
且つて”母さんの為にダイナーを買う!”と言ってくれた息子に、自ら立てたダイナーで食事を供したレスリー。彼女の表情は晴れやかさで、満ちているのである。
<今作は、正に王道の喪失から再生の物語であるが、それを支えているのはレスリーを演じたアンドレア・ライズボローの圧倒的な演技である事は間違いないのである。>
<2023年8月5日 刈谷日劇にて鑑賞>
アンドレア・ライズボローの演技がすごい
アル中の中年女を演じるアンドレア・ライズボローの演技は、まさにアカデミー賞クラス。見入ってしまう。 ストーリーは変化に乏しく、後半は安易すぎる。 しかし、彼女の存在こそが、この映画の価値を生み出しているのではないだろうか。
アンドレア・ライズボローのアカデミー賞主演女優賞ノミネートも納得の、痛々しくも感動的な一作
過去の過ち(または後悔)から立ち直ろうとする主人公を描いた作品としては、近作の『ザ・ホエール』(2022)をはじめ、ケイシー・アフレックがアカデミー賞主演男優賞を獲得した『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2017)など、多くの名作が存在します。それらの多くが男性を主人公としている一方で、本作のレスリーは、ジェームズという一人息子を育ててきた女性です。 シングルマザーとして様々な苦労を重ねてきたことは画面外からも伺えるんだけど、宝くじの賞金をアルコールで浪費してしまうほどに生活も性格も破綻をきたしたレスリーの姿はひたすらに痛々しく、観客の同情や共感を拒絶するかのようです。一旦は母親を引き取ろうとするものの、涙ながらに拒絶してしまうジェームズ(オーウェン・ティーグ)の方にこそ、気持ちを寄せてしまうほど。 ホテルの仕事を与えてくれたスウィーニー(マーク・マロリ)ら手を差し伸べてれる隣人はいても、ささくれ立ったレスリーの心はその好意を受け止めきれず、結局台無しにしてしまい、その後悔からさらにアルコールにのめり込んでしまう…。マイケル・モリス監督は、Netflixドラマ『ベター・コール・ソール』や『ハウス・オブ・カード』で多くのエピソードを手がけており、その経験に裏打ちされた、どん底に落ちた人間の生き様を描く手腕は見事です。 レスリーの彷徨は苦痛と絶望に満ちていて、鑑賞のかなりの時間はその赤裸々な状況を受け止めることになるので、相当に心の痛む体験となる人もいるでしょうが、人そのものの善性、そして人生のやり直しは可能という確固たる信念に裏付けされた物語は、決して観客を失意に置いたままにする、という意地悪な内容とはなっていません。 もちろん主演のアンドレア・ライズボロの演技は素晴らしいの一言ですが、彼女の演技はナンシー役のアリソン・ジャネイのこれまた素晴らしい演技によって引き立てられている部分も大きいので、ジャネイの姿にもぜひ注目して欲しいところ。
ラストの愛おしさが一気に昇華する作品です♪
宝くじで高額当選するも有頂天になったことで酒に溺れ、周囲から見放され、行き場を失ったシングルマザーの葛藤と立ち直る姿を描いたヒューマンドラマ。
主演のアンドレア・ライズボローが第95回アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされ、注目された作品を鑑賞しました。
で、感想はと言うと…個人的には良作だけど…まあまあw
ベタといえばベタ。有頂天からどん底に。そして再び立ち直ろうとするドラマは観ていて嫌いではないがあまりにも自業自得感が強いのと掌返しが観ていて怖くなる。
ただベタであってもアンハッピーエンドは個人的に苦手なのでこれはこれで良いかと。ただ観終わった後は疲れますね。
宝くじが当たったことをレスリー自身が周囲に言いふらし、金銭感覚が麻痺したことから始まる訳で突然大金が舞い込んできたらこうなるかも?と言うのは分からなくはない。
それでもここまで落ちぶれて、人としての信頼を失うのか?と言うのがにわかに信じられないくらい。
また実年齢よりもかなり歳を食った感じで不摂生が漂っている。
大金が舞い込み、有頂天になり、金の全てを酒に注ぎ込み、アル中になり、住む所を追われ、ホームレス同然で息子のところへ転がり込むも約束をことごとく破り、息子にも見放され、頼った友人にも悪態をつき、もうどうにもならないくらいになってしまったレスリーをアンドレア・ライズボローが熱演。
それがもうリアル過ぎて、淡々とした重苦しさの中に様々な感情が燻った暴動寸前のような空気感に暴発寸前の思いが吐露される。
だからこそ、最後のダイナーのシーンが慎ましくも愛おしいんですよね。
圧巻の演技にアカデミー主演女優賞にノミネートされたのも頷ける。
また個人的にはスウィーニー役のマーク・マロンとロイヤル役のアンドレ・ロヨがいい感じ。いろんな勘違いがきっかけにレスリーを雇い入れるがこの作品の優しさの部分は間違いなくスウィーニーとロイヤルが担っています。
ナンシー役のアリソン・ジャネイはレスリーの友人との事ですが、最初見た時は”実の母親?”と思ってしまった。 友人にしてはちょっと老け過ぎな感じw
良質な作品であることは間違い無いんですが、些か観る側にエネルギーが必要で観終わるとちょっと疲れた感じがしますが、それはヘビーなストーリーに負けないアンドレア・ライズボローの熱演も賜物。
個人的には今年のアカデミー賞は受賞するかどうかは置いといて「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」のミシェル・ヨーには負けてないかと思うんですが。(「TAR/ター」のケイト・ブランシェットには勝ってるとは思えないけどw)
観る側を多少選ぶ作品な感じで万人に受けるとは思えないがこういった作品が観る側の鑑賞の幅を広げてくれるんですよね。
第95回アカデミー賞で「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」の大無双は些か出来すぎと言うか、個人的にはちょっと納得のいかない部分があるのでノミネートされた様々な作品を観て、いろんなポイントを探すのが楽しい。
重くやるせない思いにレスリーが出会う周囲の表情が冷たく突き刺さる。それでいていろんな感情の流れに目が離せなる。とにかく、ラストのダイナーのシーンがとても良いんですよね。
それに救われる気持ちが一気に開花する良質な作品です♪
主演女優の演技は認めるけれど。
本当に人生の辛い時にいる私に、救いとなる映画かと期待を持って鑑賞したが、外れてしまった。但し、主演女優の演技力は真に迫っていた。 映画では希望の持てる終わり方だった。人によっては甘いと感じられるかもしれない。 現実には、人生の再起は簡単ではない。それこそ、この映画のように落ちるところまで行き着かないと再起は出来ないかもしれない。そんなことをぼんやりと考えていた。
素直に涙する
ふらっと仕事終わりに鑑賞。 脚本、演出、俳優含めて想像していたとおりの作品ではあるけれど、素直に結末に涙した。 主人公はダメダメで、応援はしたくはないけれど、映画としてみたくなくなる直前で、バランスよく救いだったり、息子への愛情がみえたり、と続きが観たくなる。 その流れで前向きになっていくのだが、見えやすい形で成長が感じられ、感情移入はしやすい。 その結果、伏線などもあって、結末には素直に涙する、いい作品である。 物語として、ひねりはないけれど、純粋な作品であった。 2023年劇場鑑賞80本目
素晴らしかった
自分の縁者にも金遣いが荒くて生活が破綻しがちな女性がおり、彼女と主人公が重なって見えて冷静でいられない。それはそうでしょうね、などと冷淡に見ていたら理解ある彼が現れる。私の縁者にもそんな存在が現れてくれたらありがたい。しかし彼らも、ポンコツどうしで寄り添っていて泣ける。アルコール怖い。酒は飲んでも飲まれるなだ。ダイナーでナンシーが来て謝る場面が切ない。
よどみが流れ出ていくようで
愛したい、愛されたい、人生をやり直したい。契機になると思った幸運が落ちる契機になってしまい、友人も家族も愛する息子さえも失った。歪んでいく人格、人間関係の怖さ、どん底まで落ちた底で出会った奇跡。あるがままを認めて見守って心配してくれるかけがえのない友人と出会って。周りで見て支えてくれている人は必ずいるから、その優しさを否定しないで。生きることをあきらめないで。レスリーと一緒に背中をたたかれるようで。レスリーが静かに泣くところでいろいろなよどみが流れ出ていくようでほっとして不思議と優しく暖かな気持ちになりました。
宝くじが当たったので豪遊したら、アルコール依存症になった話。
宝クジで19万ドル当たって、バーで使いまくったり仲間に奢っていたら数年後に破産して、 息子を置いて家を出て、路頭に迷う。 そこから人に助けられたりして、なんとか社会復帰していく話。 主人公のアルコール依存症のクズっぷりがしつこい程描かれていて、リアリティを感じたが、具体的にどうやって浪費したのかが描かれなかったように思う。 浪費した仲間との和解もちょっとアッサリしすぎて拍子抜けだった。
宝くじ当たる方が不幸?
シングルマザーやアル中になった経緯も
よく分からない。
ただただダメ人間で典型的な毒親であるため
全く感情移入出来ないし
同情の余地もないし、嫌悪感しかわかない。
「この子に素敵な物を!」って言ってたのに
マイホームも手に入れたのに🏠
全てを台無しに…。
毎回決まった数字は大切なものだったのに。
アカデミー賞主演女優賞に初ノミネートされた
レスリーを演じたアンドレア・ライズボロー🏆
酒に浸り、まともに食事もしないレスリーは
演技ではなくて、ライズボローそのものなのかと
思ってしまうほどまさに迫真の演技😤
いや、絶対主演女優賞取れたでしょ、これ😫
物語の8割は最低な女のままなんだけど
「性」にだらしない女ではなかったのは好感度⤴︎⤴︎
そしてその手のシーンがないのもいい。
予定調和ではあるものの
「決意」してからのレスリーの踏ん張る姿を
いつの間にか応援していた📣✊
人を支え救うのには
「愛」がいちばんだ。
まさかの
とてもいい作品でした。
あなたの人生はあなたの責任だ、というような言葉があるのですが、その言葉が印象に残りました。
たった一人の信頼でも、人を支えてくれるのだなあと感じました。
(原題) To Leslie
かなり見応えがありました! 息子への忘れ得ぬ愛を糧に辛うじて生き抜いていくレスリーを演じ切ったアンドレア・ライズボローが本当に素晴らしかったです。アメリカの底辺であるドン底からの再生物語というのは数あれども、ここまで観ていて感受性を否応なしに刺激してくる映画にはあまり出会えない気がします。
【今年観て良かったリストに記載】
アンドレア・ライズボローの圧巻の演技を刮目して観て欲しい。 自暴自棄のやさぐれた人間が微かな希望を見出し再起への道を踏み出す、個人的に好きな脚本。反面この手のものは出演者の演技力が伴ってないと没入感どころか居た堪れなくて観てられないのだが、アンドレア・ライズボローに惹きつけられて秀逸な作品に仕上がっている。今年観て良かったリストに入った。 『真夜中のカーボーイ』のジョン・ヴォイト、『スリー・ビルボード』のフランシス・マクドーマンドあたりを彷彿させる、魅力溢れたやさぐれ役、普段の美貌とのGAPにも驚嘆。アンドレア・ライズボロー出演作は今後も観たい…彼女の出演作を検索したら2020年 鑑賞済『ニューヨーク 親切なロシア料理店』に出てた女優さん、印象に残ってたがすっかり忘れてた。
息子は母の好物を忘れない
ガーンと大音響ドリー・パートンで始まりいかにもアメリカの田舎町の家族写真。宝くじに当選したレスリーへのテレビのインタビュー。
このインタビューのビデオには続きがあり、息子ジェームズの部屋にあったギターや最後小さなダイナーをオープンする動機の種明かしとなる。
宝くじを無駄に使い切り無惨なホームレス同然となったレスリーには痛い映像だが、結果としてそれが再起を促すのだ。きっかけはすべてスウィーニー。映画に流れる音楽の歌詞ではやたらと天使が佇み見守っているようだが、スウィーニーがまさに天使であり、スウィーニーをおそらく救済した天真爛漫なロイヤルも天使であろう。バプティスト!と冗談をいう教会通いに熱心だったレスリーの母親、牧師にアル中になった妻を寝取られたスウィーニー、と、日本にはない日常に密着した信仰があり、一人一人は自分の契約を生きているので過剰な干渉には自分の人生口出すなと啖呵も切るし染みついたレベルの信仰があるから、許せないことや手を差し伸べようとすることもあるのだ。
舎町を出て小さな都会に暮らす息子はまだ若いが自立して建設現場で働いておりルームシェアをして多くの日米の若者がそうであるような慎ましい質素な暮らしで生計を立てている。ホームレスになった母親から電話が入り6年ぶりの再会。その後、隠れて酒を飲むアル中の母親を全く理解することができない。(当然だが)ジェームスが、自分はまだ未成年で酒を飲むこともできないのに…と。母親に怒りと苛立ちを見せる。6年会っていなくて、まだ未成年???え???となり、地元のレスリーと同級生のナンシーから、あなたが息子を捨てたのは彼がまだ13歳の時、と聞いて、計算があい、13歳で息子を捨て出奔したのか、と、母親の窮状より息子の苦労に思いを馳せるし、ナンシーが執拗にレスリーを攻め立てるのも合点が行った。
ネタバレだが、最後は、ええ??というくらいの、ほのかな薄明かり、愛と天使の存在を信じたくなるハッピーエンド、人生やり直しOK、希望を持って、ということになるのだが、田舎町の人々の暮らしぶり、それぞれにリアル。
息子を訪ねに行くバスの中で臭っただろう、迎えにきた車で臭かっただろうくらいに、ズタボロに汚くなってしまったレスリー、アル中になりホームレスになったことを言わない母親に、息子のジェームスが、中華買ってくるよ、まだワンタン好き?ときく微妙な優しい気質滲み出るジェームスのセリフと表情に泣いた。 一緒に服を買いに行く、上の空の母親に、肩のところがリボンになってるタンクトップを選ぶのでまあアメリカだし、と思ったけど選んだ息子はまだ19際だったのね、と後から後からいろいろ納得。母は最後の方でネタバレされる息子のギターを部屋に見つけ感慨に耽る。
この映画には、天性の、まさに天から与えられた無償の愛を捧ぐべく存在する(出来なかったけど)天使ジェームスと、人としての痛みを知るものでありまたこれもまあ天性の、素敵な性格なんだろうけどレスリーに過剰に手を差し伸べ一緒に生きていこうとするスウィーニーと、そして、バーで知り合う謎に<ゴージャスな><ナンパ男>瞳キラキライケボの男あれはほんとの天使だったんじゃない?と3人の天使プラスハレハレクリシュナをターンテーブルにセットしているぶっ飛んだロイヤルもね。なんと人生立て直すのに、四人の天使が必要で、とにかくレスリー役の女優の迫力、リアル、天使たちやナンシーもみな存在が人生を存在が社会を物語るレベルに素晴らしい。
で、スウィーニーは天使なんだけどほんとは天使じゃない、彼はリアルに等身大のレスリーに理由もわからず惹かれてしまう、下心とかじゃないし最初は恋愛感情でもないと思う、この、人間らしさの象徴である、名前をつけれない把握できない感情、なんだかわからないけど出会ってしまったという微熱感。これがレスリーを救いスウィーニーをも救いナンシーもジェームズも救うのだ。
日本もなんだけど、アメリカも貧しいのだなと思った。
田舎町の息苦しさと、それでも小さい頃からみんな知ってる、諍いも助け合いもある良くも悪くも共生する共同体。
最後は、バグダッドカフェ、、と思いました。
本作は名作でもっとたくさん上映館があるべき作品。
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