「ラストの愛おしさが一気に昇華する作品です♪」To Leslie トゥ・レスリー 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
ラストの愛おしさが一気に昇華する作品です♪
宝くじで高額当選するも有頂天になったことで酒に溺れ、周囲から見放され、行き場を失ったシングルマザーの葛藤と立ち直る姿を描いたヒューマンドラマ。
主演のアンドレア・ライズボローが第95回アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされ、注目された作品を鑑賞しました。
で、感想はと言うと…個人的には良作だけど…まあまあw
ベタといえばベタ。有頂天からどん底に。そして再び立ち直ろうとするドラマは観ていて嫌いではないがあまりにも自業自得感が強いのと掌返しが観ていて怖くなる。
ただベタであってもアンハッピーエンドは個人的に苦手なのでこれはこれで良いかと。ただ観終わった後は疲れますね。
宝くじが当たったことをレスリー自身が周囲に言いふらし、金銭感覚が麻痺したことから始まる訳で突然大金が舞い込んできたらこうなるかも?と言うのは分からなくはない。
それでもここまで落ちぶれて、人としての信頼を失うのか?と言うのがにわかに信じられないくらい。
また実年齢よりもかなり歳を食った感じで不摂生が漂っている。
大金が舞い込み、有頂天になり、金の全てを酒に注ぎ込み、アル中になり、住む所を追われ、ホームレス同然で息子のところへ転がり込むも約束をことごとく破り、息子にも見放され、頼った友人にも悪態をつき、もうどうにもならないくらいになってしまったレスリーをアンドレア・ライズボローが熱演。
それがもうリアル過ぎて、淡々とした重苦しさの中に様々な感情が燻った暴動寸前のような空気感に暴発寸前の思いが吐露される。
だからこそ、最後のダイナーのシーンが慎ましくも愛おしいんですよね。
圧巻の演技にアカデミー主演女優賞にノミネートされたのも頷ける。
また個人的にはスウィーニー役のマーク・マロンとロイヤル役のアンドレ・ロヨがいい感じ。いろんな勘違いがきっかけにレスリーを雇い入れるがこの作品の優しさの部分は間違いなくスウィーニーとロイヤルが担っています。
ナンシー役のアリソン・ジャネイはレスリーの友人との事ですが、最初見た時は”実の母親?”と思ってしまった。 友人にしてはちょっと老け過ぎな感じw
良質な作品であることは間違い無いんですが、些か観る側にエネルギーが必要で観終わるとちょっと疲れた感じがしますが、それはヘビーなストーリーに負けないアンドレア・ライズボローの熱演も賜物。
個人的には今年のアカデミー賞は受賞するかどうかは置いといて「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」のミシェル・ヨーには負けてないかと思うんですが。(「TAR/ター」のケイト・ブランシェットには勝ってるとは思えないけどw)
観る側を多少選ぶ作品な感じで万人に受けるとは思えないがこういった作品が観る側の鑑賞の幅を広げてくれるんですよね。
第95回アカデミー賞で「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」の大無双は些か出来すぎと言うか、個人的にはちょっと納得のいかない部分があるのでノミネートされた様々な作品を観て、いろんなポイントを探すのが楽しい。
重くやるせない思いにレスリーが出会う周囲の表情が冷たく突き刺さる。それでいていろんな感情の流れに目が離せなる。とにかく、ラストのダイナーのシーンがとても良いんですよね。
それに救われる気持ちが一気に開花する良質な作品です♪