「異色のリーガルサスペンス」法廷遊戯 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
異色のリーガルサスペンス
《無罪とは検察が立件に失敗した結果に過ぎない》
法律の不備、そして盲点を平易に説明した映画でした。
とても考えさせられ、面白かったです。
日本の裁判の有罪率は99.9%。
そして証人の何%が信頼おける正しい証言をしているのでしょうか?
美鈴のついた嘘が薫の父親・佐久間悟(筒井道隆)を死に追いやる。
そう考えると怖くなり事件に巻き込まれずにいられる事を
願わずにはいられません。
《ストーリー》
ロースクール(法科大学)を舞台に無辜(むこ)ゲームという
模擬裁判を通して、
親の冤罪を命懸けで晴らそうとすると馨(北村匠海)と、
その死を誘発した犯罪に深く絡んだ美鈴(杉咲花)と幼なじみの
清義(セイギ=永瀬廉)の3人を描いたリーガルサスペンス。
原作者の五十嵐律人は34歳の弁護士で作家。
弁護士になる以前には、裁判所の書記官や事務官を経験した。
弱い者のチカラになりたいと法曹界に入り直して
弁護士になった異色の経歴の持ち主だ。
法の盲点や不備を突いた面白い作品だと思うのは、(9年前)
美鈴と清義は2人で組んで痴漢した男性を脅して
生活費や高校などの学費を稼いでいた。
美鈴は母親の自殺により養護施設に預けられて、清義と友達になる。
清義の施設長への殺人未遂は美鈴にセクハラをしてた施設長への恨み
と思われるが97分の短い映画なので端折ったものと思われます。
薫の父親・悟は警察官で、美鈴が「痴漢です!!次の駅で降りてください」
と声を上げた時
悟はすぐに警察手帳を突きつけて、
「初めてではないね!!」と、念を押す。
美鈴を電車から降ろして一緒に階段を昇る。
連行される美鈴を近くで見ていた清義は悟のリュックを掴み引っ張って、
悟と美鈴は階段を落下する。
この時美鈴は悟に傷害罪を負わせるためにわざと反動をつけて
突き落とす。
その際、薫の父親・悟は大怪我をした上に痴漢として、
起訴され有罪になり、もちろん警官を失職する。
真面目な父親はだれにも冤罪を信じて貰えずに絶望して自殺する。
そこで薫が父親の仇を討つために、無辜ゲームを口実に美鈴を呼び出して、
自分の命の引き換えに美玲を殺人犯として起訴されるように仕組む。
そして美玲の過去の父親への冤罪事件にも再審の道を開き、美鈴と清義が
裁かれるように画策する。
ここで、奇想天外なのは、美鈴の弁護をする弁護士が清義だとの点だ。
(実は美鈴と清義は、自分たちが自殺に追い込んだ悟が、
結城馨の父親だと、姓が違うため最近まで知らなかったのだ)
この映画に一つだけ大きな問題点があるとしたら、
結城馨(北村匠海)が、父親を階段から突き落とす清義(永瀬廉)を
目撃していたのに、なぜ直ぐに警官や駅員に告げなかという点です。
ここには非常に疑問を感じました。
あと杉咲花のように小柄で非力な女性が、いくら隙をついたとはいえ、
逞しい薫を死ぬ程強く刺し殺せるのか?
(でも馨は自らの死をもってしても、美鈴を罰したから、
自分で深く刺したのかも?)
杉咲花の狂ったような高笑い!!
得体の知れないクルクル変わる表情。
「市子」にしても「52ヘルツのクジラたち」にしても、
若手の実力派として目を離せない存在感ですね。
新鮮な切り口の問題作にして快作(怪作)だと思いました。
短い映画なので、端折ったストーリーもあるようです。
前半のスリリングな胃の痛くなる緊張感に較べて、
後半は駆け足で雰囲気も軽くなったのは
少し残念です。
何度もすいません〜
〉pipiさんのコメント読ませて頂き、美鈴の純情をセイギは裏切った卑劣な男のように思えてきました。
誤解を招かせてしまったかと思い、この点だけ。
セイギが卑劣だとは微塵も思いません。
「ミレイは、セイギを守る為だけに馨を殺した。それくらいセイギはミレイにとって「特別に大切な存在」だった。(恋愛感情とは別物だと思います)」
「セイギは、過去の罪が馨の父を死に追いやっていた事と、
自分の甘さで美鈴に新たな罪(馨の殺人)を犯させた事を深く悔やみ、自分の罪を認め罰を受け入れる為に自首しに行く」(美鈴の真実は話さず、美鈴は無罪になるような話し方をすることでしょう)
「馨は、すべての真実に気付き、美鈴が自分を殺す可能性がある事まで予測しながらも、敢えて父の冤罪を晴らす為この行動を選択する。
それは、自分が美鈴と清義に下す罰が「同害報復の原則を超えない事」を自分に課す為でもあり、
また清義たちに対し「友人」としていくばくかの好意と信頼も抱いていた事の証でしょう。
という事を、書いたレビューのつもりなんです。
曖昧に濁し過ぎてて、わかりにくくてすみません〜。
「罪と罰」に対する三者三様の対比が非常に秀逸な作品だと思います。
痴漢冤罪詐欺で、自殺した方も、おられますね。
その点は、目的がなんであれ許されない事です。
その冤罪を晴らすのが如何に困難かを
描いた映画が、
周防正行監督の「それでもボクはやってない」です。
ご覧ですか?
佐久間悟は、ミレイ捜査をしていたわけではなく、車内でミレイのターゲットになったのは「まったくの偶然」です。
警察で美鈴は微塵も疑われませんし、ましてや清義の存在など警察は認識していないです。2人ともブラックリストには載っていません。(これは映画も同じ。僅かな改変としては、清義はリュック引っ張るんじゃなくて上から突き落としてますけど)
警察が警官、つまり「身内」の不祥事に対する対応は2種類。
「もみ消す」か「徹底的に糾弾するか」です。どちらも「世論対策」ですよね。
馨パパは後者となった。
まともな捜査もされず、徹底的に糾弾されたのです。
だから馨の1番の復讐相手は「警察・検察・司法」なんですね。
リーガルサスペンスのみならず、清義、美鈴、馨、それぞれの「心の動き」が胸に迫ります。
3人それぞれ救ってやりたかった。切ない物語です。
先のコメでは重箱つつくのも失礼かと敢えて指摘を避けたのですが、原作お読みになるなら。
美鈴と清義(キヨヨシ)は、美人局的に痴漢男性を恐喝していたのではなくて、
ハナっから「痴漢冤罪詐欺」を仕掛けているんです。
(これは映画内でもそうです)
何もしていない人を「この人、痴漢です!」と言いがかりをつけて電車から下ろし「解決金を払えば通報しない」と交渉する。
大抵の男性は痴漢冤罪を証明するのが如何に難しいか知っているし職場や家族にも知られたくないし、通勤途中で遅刻したくないし1〜2万円程度で済むならとお金を払ってしまいます。
だから警察にはバレていません。
しかし、偶然警察官の馨パパをターゲットにした事が不幸の始まり。
原作では複雑な法律部分はサクちゃんが読者の代わりにセイギに質問したり整理したりしてくれますから、悩むことなく読めますよ。
映画よりも面白いと思いますので、楽しんでくださいね♪
共感ありがとうございます〜。
馨はすぐ駅員や警官に伝えたでしょうけれど「身内の証言は証拠能力が低い」としてほぼ認められないのが日本の司法です〜。
美鈴が馨を刺せたのは
「美鈴が殺人未遂で逮捕され、裁判が開かれる事」までが馨のシナリオなので、馨は映像の中で
「自殺する演技」をして、ナイフの柄をしっかり握り自分に押し当てていました。「殺人未遂」で逮捕させるためにはある程度自分も傷を負う覚悟だったと思います。
そして美鈴が馨に依頼された演技は「馨の自殺を止めること」ですから、美鈴は馨からナイフを奪い取ろうと柄に両手をかけます。
シナリオでは「美鈴が止めた事により馨は怪我を負うだけで自殺はやめる」ですが、
先ほどの体勢からならば、美鈴は全力でナイフを押し込めば馨を刺す事が可能です。
映画でもそのまま倒れ込むように見えましたから助走の勢い+全体重をかけて馨の上に倒れ込みナイフを深く刺したと思われますね^ ^
こんばんは♪コメントありがとうございます😊
すみません、人それぞれで。
本作おもしろかったとは思います。ツッコミどころ気になる作品とならない作品かと思います。
他作品であり得ないことでも、気にならず感動する場合もあります👠
こんばんは♪
共感ありがとうございます😊
おもしろかったんです、1/3ぐらいまで。ですが、ハッとしたら、
おっかしい点ばかり。筒井道隆も
痴漢冤罪の現行犯をはっていた訳ですから、職場の上司も理解している筈。近所に洞穴があるロースクールって有るのか⁉️無辜のなんとかもあまり意味なさず。サラーッと観れば楽しめるかも、ですが、気になって気になって。
でした。残念な作品❗️