「今年一番」法廷遊戯 Frannyさんの映画レビュー(感想・評価)
今年一番
原作読了後に映画鑑賞。現役弁護士が書いた作品だけに原作は法律が主役、登場人物は法律を語るための道具のように見えた。この作品をどう映画に立ち上げるのかと思ったが、主要登場人物を3人に絞り、余白を増やし、その判断は観客に委ねるという一筋縄ではいかない作品になった。今年一番面白い作品だった。
あまり描き込まれていなかった登場人物も役者が演じることで鮮やかに生命が吹き込まれた。北村匠海は不気味な底知れぬ存在が後に切なく、杉咲花のパッション。彼女は"湯を沸かす"の時から激しい役が似合う。永瀬廉の儚さ強さ。最後の表情がこの映画に奥行きをもたらした。
映り方も一つ方向ではなく、録画記録用やガラスに映った顔など多種多様で飽きさせず。
金魚の水槽にシンクロして画面がゆらゆら揺れたり、過去のモノクロが心情説明のようにカラーに転じたり、示唆的だった。
二度三度見ても飽きない。そして、人によってどのようにでも受け止められる懐の広い映画になった。
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