「冤罪と無罪の違いは?」法廷遊戯 といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
冤罪と無罪の違いは?
原作未読です。あくまでも映画単体での評価になります。
「衝撃の展開」を売りにしてる邦画って驚くほどハズレが多いので正直あんまり期待しないで鑑賞したけど、これが意外としっかりミステリしてて、普通に楽しめました。調べてみたら現役弁護士が書いたメフィスト賞受賞小説が原作なんですね。そりゃ、しっかりした内容なワケです。
ストーリー展開は結構駆け足な印象があったけど、ちゃんと観ていれば内容は理解できるくらい。結構ベタな展開だったので、ミステリー好きが見ると先の展開が読めてしまうかもしれません。でも、展開が分かっても楽しめる要素もあるので、読めてる展開でも退屈せずに鑑賞することが出来ました。
細かな不満点が無いわけではないけど、非常に楽しめる本格ミステリ映画だったと思います。
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弁護士を目指してロースクールに通う「セイギ」こと久我清義(永瀬廉)と、同じ学校に通う幼馴染の織元美鈴(杉咲花)。最難関資格である司法試験に合格するため、日々勉強漬けの毎日を送っていた。そんな勉強漬けのストレス解消のためか、彼らのクラスでは「無辜ゲーム」という疑似裁判ゲームが流行っていた。そのゲームの主催者は、清義の友人で、ロースクール在学中の学生でありながら司法試験に合格した天才・結城馨(北村匠海)であった。ロースクール卒業後、無事に司法試験に合格して弁護士として活躍していた清義だったが、ある日馨から「最後の無辜ゲームをしよう」と連絡を受ける。ゲーム会場に足を運んだ清義は、胸にナイフを刺して事切れた馨の遺体と、血まみれのナイフを持った美鈴の姿を目撃する。
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序盤の無辜ゲームの導入は非常にスピーディでテンポが良かったと思います。
ただ、なんであのゲームをあんな暗い洞窟の中でやらないといけないのか、説明が欲しかった。最初に皆が勉強していた図書館みたいなところでやっちゃいけないんでしょうか。原作がどうなっているか知りませんが、少なくとも映画だけ見てしまうと「なんで?」って疑問が浮かぶシーンでした。
あと、馨殺害の裁判のシーンで、全員の共通認識のように「無辜ゲーム」という単語が飛び交ってるのが凄い違和感ありましたよね。「無辜ゲーム」って一般的な名詞じゃないですよね。「学内で行われた疑似裁判」とかの方が、裁判中の裁判官の台詞としては違和感なかったと思います。
ストーリーはミステリを良く観る方からすると、先の展開が予想できてしまう内容だったとは思いますが、冤罪などのテーマ性がしっかりしているので、飽きることなく最後まで鑑賞することができました。また、「何故清義に弁護を依頼したのか?」「何故美鈴は清義に何も話さないのか?」などの細かい疑問が常に映画内に存在する構成になっているため、その疑問がクリフハンガー的に観客の興味を持続させる働きをしていたように思います。
今注目の若手俳優さんやベテラン俳優さんが多数登場するのも良かったですね。
個人的には杉咲花さんの演技がすごく好きなので、彼女の演技(特に終盤)は素晴らしかった。
大絶賛……とまでは残念ながら行きませんが、素晴らしいエンタメミステリ映画だったと思います。オススメです。