「守りあった2人の犯罪が悩ましい!」法廷遊戯 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
守りあった2人の犯罪が悩ましい!
登場人物の主要の3人は、生い立ちにおいて、不幸の人生を背負っているという設定があるため、作品は全体的に暗めのイメージです。それが弁護士になっていくわけですから、ある意味彼らはすごいパワーを持っていると言えます。その上、原作の構成が秀逸なのか、最後まで謎解きに引き込まれてしまいました。この作品の魅力は、徐々に謎が解明されて行って、最後に100%真実がわかるという流れの見事さでしょうか。役者としては、杉咲花の狂気じみた怪演がめちゃくちゃ光っていました。不幸の人生を背負って生きてきた悲しい女性の叫びが、こちらに迫ってくるようです。主人公である永瀬廉については、ややおとなしい感じでしたので、ちょっぴり物足りない感じがしましたが、これからの伸び代を期待したいです。北村匠海については、冷静で淡々としていて、その役にぴったりハマっているところを観ると、彼の演技の上達ぶりが十分に伺えました。この作品は、まさに冤罪と無罪の違いについて深く切り込んでいる感じがしましたが、冤罪で北村の父親が亡くなったことにとても胸が痛みました。北村は犯罪を犯してはいませんが、永瀬と杉咲は犯罪者です。その二人の事件後における決着と、その後の生き方の違いは、多くのことを私たちに突きつけてきていました。贖罪の人生か、グレーの人生でも生き続けていくのか、を私たちに問うてきているような気がしました。秀作だと思います。
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