劇場公開日 2023年11月10日

「あっという間に当事者にさせられてしまう。ぜひスクリーンで!」法廷遊戯 ちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0あっという間に当事者にさせられてしまう。ぜひスクリーンで!

2023年11月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

どうしても書き残したくて、わざわざ登録しました。
普段、長めの洋画を好んで観ます。邦画の短い時間に詰め込まれ過ぎてる感じが置いていかれるのでどうも苦手で。こちらの映画も90分そこらと短く、謳っているように二転三転とテンポ良く進みます。けれど、良い意味で全く置いていってはくれないです。
キラキラとしたフライヤービジュアルのイメージは裏切られます。もちろん良い意味で。
展開はスピーディーですが、無理に詰め込まれた感じのない内容で、私にはとてもシンプルに感じました。"正義"とは何かを序盤からずっと問われているような、簡単に当事者にさせられる映画です。観た後、あなたには何が残るでしょうか?
感情を四方八方に揺さぶられて、"正義"の概念を見失って、脇を固める俳優陣の凄まじい演技に振り落とされそうな迷子のような感覚の中、清義を演じる主演の永瀬廉さんがずっと視聴者である私を繋いでくれていたように感じます。
彼の演技は存在感が自由自在でした。誰に勝つこともなく、決して負けることもなく。光りすぎないし、でも絶対に消えない。勝手ながら私が思ってる真ん中に、主役に必要なものを彼からすごく感じました。とても難しくて絶妙だと思うんですけど、とてもナチュラルにやり遂げられていました。
単純にミステリーとしては個人的に少し物足りなく、サスペンスとして楽しむ感じにはなりましたが、とても哀しくて深い人間ドラマでした。本編を観終えた後の何とも言い難い感情をそのまま丸ごとエンディングの曲が凄まじい包容力で包んでくれます。こんなに合うのかとびっくりするのでぜひスクリーンで、最後の1秒まで。

ちゃん