「法律は人を救うことが出来るのか」法廷遊戯 うどんこ母さんの映画レビュー(感想・評価)
法律は人を救うことが出来るのか
原作ファンです。
五十嵐先生のこちらの本、映像化されると聞き、そんなの無理やん?とちょっと疑問に思ってましたが。
予想以上に若い3人が好演されていました。
杉咲花はやっぱり上手い。最後、素晴らしかったです。
幼少期はモノクロだった世界が、あるタイミングで色付き始めます。おそらく、子供を持つ女性なら、ミレイの狂気に共感できるものがあるのではないでしょうか。
少なくとも、自分にはミレイの狂気が理解できないとは言いがたいです。
だからこそ、恐怖を感じます。
おちょやんが素晴らしかったので、花ちゃんの影のある役をどうしても見たかったのですが、満足。声を荒げる杉咲花が苦手だ、という方は回避したほうがいいかもしれませんね。
永瀬廉、北村匠海はこの二人はとにかく、とにかく声がいい。
永瀬くんは、朝ドラでもそうでしたら、どこか儚い空気を纏っていますね。今回は受けに徹していました。彼の背中のアップが多く、怒り、悲しみ、絶望などを表していて非常に良かったです。
北村匠海くん、大好きな俳優さんですが、出ている時間は多くはありませんが、あの孤高の雰囲気をこの年代で演じられる稀有な俳優さんですね。出てこないシーンも、常に馨の存在は頭から離れません。
-0.5は大森南朋の使い方。もったいない…。ただ、五十嵐先生と監督のインタビューを読んで腑に落ちましたが、それを読んでないと裁判員裁判にスポットも当てられているということが、分かりにくいかもしれません。
おそらくターゲットは若い方も含まれると思います。
若年層に法律は付き合いにくいジャンルかもしれません。「知識をつけなくてはいけない」という、劇中の言葉には最大限に共感出来ます。今は成人が18歳に引き下げられました。是非とも法律という、少し馴染みがないかもしれませんが、幼少期から民法など簡単な法律は学べるような環境にあるといいのではないかと思いました。
法律は、人を救うことが出来たのか、見終わったあとも考えさせられます。
自分は法学部ではありませんでしたが、大学時代に裁判の傍聴など行ったりしてましたので、過度な裁判長!と大声で叫んだりするシーンが無いのが逆にリアルで良かったです。実際の裁判って、割と淡々と進みますからね。
予告に反して内容は重いです。原作も是非とも読んでいただきたいです。