「CMがハードル上げすぎている」法廷遊戯 ちーばさんの映画レビュー(感想・評価)
CMがハードル上げすぎている
二転三転、四転五転とのCMを見て楽しみにしていましたが話の展開はシンプルでどんでん返しというよりはどんどん新しい事実が明らかになっていくという感じです。ストーリー自体は良かったのですが予告で盛りすぎてる感は否めませんでした。驚愕の真実みたいなものを期待してると肩透かしを食らうかもしれません。しかしそれぞれの言動に一貫性があり、その人物ならそれを選ぶだろうという行動をするのでストレスなく最後を迎えることが出来ました
(好みの問題かと思いますがストレスで言えば冒頭の学生たちによる劇団風?の演出はストレスでした)
スリルや驚愕を求める方より人間同士の愛憎や信頼を見たい方におすすめしたいなと思いました
無辜ゲームが倫理的に問題があるというのが映画を見ただけだとよくわからなかったので見終わってから原作を買いましたが登場人物やエピソードを大幅に削ってメイン3人に焦点を絞って作られていたのですね
映像で見てみたかったエピソードもありましたが、今回の場合話が散らからずにコンパクトに纏まっていて良かったと思います
みなさん言われてる接見室のシーンは圧巻で見る価値ありです。杉咲花さんとにかく素晴らしい。狂気の眼がとても印象的でした。清義は己の正義を貫く決断をしただけで美鈴と馨を天秤にかけたわけではないと思うのですが、美鈴からしたら自分より馨を、生きている自分より死んだ友人を選んだように思えてしまう選択で、判決を受けながらケタケタ笑っている姿に胸が痛みました
一方清義は公判前と後で明らかに顔つきが違っていて目に光が宿っていく。覚悟を決めた人間の美しさを感じました。美鈴に真実を教えて欲しいと伝えたときの表情は美鈴に対する愛情と親友の死の痛みを両方感じられて素晴らしかったです。永瀬廉さんは複雑な感情を表現出来る方ですね
最初掴みどころのなかった馨も終盤で駅のシーン、父の死、家族の思い出、セイギとの大学のエピソードが畳み掛けられることにより、人間味と教授が言っていた「許す理論」を持っている人物であることが提示され、最後まで見終わると馨の価値観を理解できる構成になっているように思いました。
この難しい人物に説得力を持たせている北村匠海さん素晴らしいです。
永瀬廉さんも北村匠海さんも良い意味で陰のオーラをまとっている方だと思いますが、杉咲花さんが名前通り花のような明るさと美しさでとてもバランスの良い3人だと思いました
これからの活躍に期待です