「杉咲花の怪演が見もの」法廷遊戯 とっぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
杉咲花の怪演が見もの
先程映画館で観てきた。
平日の午前中なのでガラガラ。結構な高齢女性が2〜3名と言った感じ。私を含めて皆一人で鑑賞していた。
永瀬と杉咲花の間にある過去からの話により、話が全て繋がっていく為、序盤はなんだかわからない感じで始まる。冒頭の戸塚純貴の伏線がただの噛ませ犬だったのかーと、中盤辺りから深い話に発展していき、最終的には死んだものと今を生きていくものとの心理戦と言った話に繋がっていく。それがこの作品では見事に描かれている。
柄本明や生瀬勝久、大森南朋などの豪華俳優陣も脇を連ねているが、どの役も本当に出番が少なく、主役の3人の邪魔をしていないのがまた良い。だけどその分印象に強く残る役柄なので、観ている側としては話にスッと入り込んで観られた。また個人的ながら、今回この映画で久しぶりにタモト清嵐氏を拝見する事が出来、とても嬉しい。彼は嘗て仮面ライダーフォーゼでホロスコープス・キャンサーゾディアーツの鬼島役を好演した俳優さんである。まさかこの映画で再び拝見出来るとは思っても見なかった。昔の高校生役の時とは違い検事役も相まって、すっかり大人びた感じではあるが、そう言った懐かしさも感じられた。
話は少々脱線したが、この映画の最大の見どころは杉咲花の後半の怪演ぶりだと私は思う。真実を知り、離れて行こうとする永瀬に必死に訴えかける杉咲花の演技に吸い込まれるように見入ってしまった。序盤のビクビクしながら周りを気にして生活している女の子が、いつの間にか深い闇を抱えても、愛する者を護れるなら手段は選ばないと言う強い強かさを持つ女性になっているその変貌ぶりもハッキリ見てとれた。そしてその愛する者が離れようとして、その絶望の様も息を飲み込んでしまうくらいである。
一点惜しいのは、北村匠海の序盤の登場シーンが無辜ゲームしかほぼ無い為、永瀬との学生時代の関わりが希薄にしか思えなかった。だから北村の「俺が死んだら竜胆の花を持って墓に来てくれ」も、ただの謎解きの伏線にしか感じられなかったし、映画のラストに二人が仲睦まじくリベートをしようと階段を上がる姿があるが、何だかあの流れでこの最後かぁ…(まぁ、良い人は良いんだろうけど…)って感じた。
色々書いたが、通してみてもとても面白い作品だと素直に思えたし、個人的にはTVで観る杉咲花は正直あまり好きではなかったのだが、この映画を観て見方が大分変わったので、そう言った意味でも観てよかったと思える。