劇場公開日 2023年5月27日

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「哲学カフェに行って、ちょっと難しい話をしたくなった。」ぼくたちの哲学教室 のりたまちびさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0哲学カフェに行って、ちょっと難しい話をしたくなった。

2023年7月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

昨年観た「ベルファスト」の中で描かれていた、プロテスタントとカソリックの民間人同士のシャレにならない抗争(反社会勢力も真っ青)のその後の物語。

とある小学校で行われる哲学についての授業風景をメインに、10歳くらいの少年たちが自分自身とのコミュニケーションを深めていく様子が映し出される。

日本だと、教育も効率重視で、教師も親も、すぐにたったひとつの正解(らしきもの)を教えて、おしまいにしてしまう。
でも、ここに出てくる先生は、丁寧に子どもの心情に寄り添い、子ども自身が結論に至るまで手を貸し、その歩みを見守る。
与えられた答えではなく、自分が考え、導き出した結論が出てくるまで待つ。
ヨーロッパの人たちの知性のベースは、こういうふうに作られていくのだな。

特段、宗教に帰依していない私からすると、カソリックとプロテスタントの違いは分からない。
でも、間違いなく、両者のガチ抗争に、イエス・キリストは草葉の陰で泣いていると思う。
「汝の隣人を愛せよ」という聖書の言葉を思い出し、まず大人が実践していかなきゃと、しみじみ思った。
でも、こういう血気盛んなあかんとこも、惚れた弱みで好きである。

のりたまちび