「時代の異なる3つの国で起きたお話が描かれます。どの作品も王子と王女の出会いの物語です。」古の王子と3つの花 もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
時代の異なる3つの国で起きたお話が描かれます。どの作品も王子と王女の出会いの物語です。
4年前に観た「ディリリとパリの時間旅行」。
その監督の作品と知り、期待していました。
画面を観ているだけで癒されそうな
そんな予感にワクワクしながら鑑賞です。
30分弱のお話が3本。
時代も国もバラバラなのですが、共通するのが
「王子と王女の物語」であること。
お話の間に関連性は無さそうです。
さあ どんなお話が待っているやら。
◇
■1話目 「ファラオ」
エジプトの歴史には詳しく無いのですが
古代エジプトで、上下エジプトを統一して
フェラオとなった男と、その妃となった娘との
出会いから婚姻までのお話です。@-@
影絵のような綺麗な色彩で描かれた
エジプトの壁画のような世界。 そこを
壁画の人物のようなキャラクターが動きます。
(↑ 体は正面、顔はヨコ向き のアレです)
美術的感覚が「ディリリとパリの時間旅行」に
近いように感じました。
すごく絵が綺麗です。・_・満足の出来。
■2話目 「美しき野性児」
民に情けなど無用! と威張る領主。
父に逆らうなど無理 と小心な王子。
一人庭の中でボール遊びをする王子
ある日牢屋の中にボールをいれてしまいます。
「囚人さん ボールを取ってくれませんか」
頼むとボールは返ってきた。
その囚人は父に捕えられたらしいのですが
そのうち、自分の領地に娘がいると知ります。
” 帰りたい ”
” … ”
その囚人の脱獄に協力してしまう王子。
牢番が処刑されそうになり
父に、自分が手を貸したと伝えるのですが
激怒した父、遠く離れた森で王子を処刑するよう
命ずるのでした…。
あぁ なんてこと。
ところが処刑人たちは王子を殺さず、森の中で解放。
ナイフや弓や上着、食料を渡して戻るのでした。
数年後、その森で領主の代官などが乗った馬車が
頻繁に襲われ、宝石や金銀・税金などが奪われるように。
さあ、これはいったい誰の仕業か。(…白々しいなぁ)
このお話の顛末は?
この2話目も絵は綺麗です。
また、セリフの言い回しがなんとも可笑しい。
#父に行為を咎められた際の王子の声 「はい、父上」
#意に反する事態が起きた際の領主の 「うがぁぁぁ」
繰り返される「お約束」が何とも。… ^-^;
※やや重苦しさを感じるストーリーの
雰囲気を和らげていた。そんな気もします。
素朴な疑問なのですが、このの王子自分の父親を
どうするのでしょう。
父に ” やり直して下さい ” と言っているのですが…
1) 出家させる (仏蘭西に出家という概念はあるのか?)
2) 再び領主の座につける (また繰り返しそうな気も…)
3) 町の清掃ボランティアをさせる (うーん無さそう…)
自分が助けた囚人(実は公爵でした)の娘と結婚し
旧領は公爵家の領地として吸収。いずれは
自分が公爵家の後を継ぐ とかでしょうか。…うーん。
※「その後」の考え甲斐があるお話です。はい。
■第3話 「バラの王女と揚げ菓子の王子」
印象に残っているのは、王女付きの女官たちの動き。
城の中を歩くのに、いちいちポーズをとりながら
ゆっくりしたリズムで歩きます。
※ この話ではコミカルな動きが絶妙な可笑しさです。
江戸城内を長袴で歩く武士のよう…もしくは
足を大きく上げながら歩くムカデ競争のような?
また、城内の曲り角や扉の前で、手で行き先を示す
お城の住人たちを観ていたら
「未来少年コナン」の1シーンを思い出しました。
コナンやラオ博士がインダストリアの地下から
フライングマシンで脱出する場面。
地下の住人たちが、無言で行き先を指し示すシーンです。
(この監督さん、日本のアニメを良く観ていそうな
気がしたのですが、どうなのでしょう)
◇あれこれ
■公爵と領主
どちらが立場が上なんでしょう。観ていて
それがとても気になりました。。。
領主にも「王様」もいれば「地方領主」もいるでしょうし。
「王様 > 公爵 > 地方領主」
こんな感じでしょうか …うーん。
■「3つの花」
と、タイトルにあるのですが
観ている最中は、余り「花」を意識しませんでした。
タイトルを後で振り返って「あ、そうなんだ」と。
この作品の原題を確認すると
「Le pharaon, le sauvage et la maitresse roses」
※ぐーぐる先生の翻訳結果は
「ファラオ、野蛮人、そしてピンクの愛人」… ^-^;
うーん。
邦題は苦心の産物かもしれません。
◇最後に
期待した通りに見応えありました。
で、観終えての疑問がわいてきました。
この3つのお話、
今回の上映のために新しく作られたものなのか
それとも
作成年代の違う「王子と王女」の話が3本既にあって
それを今回一本の作品にまとめた物なのか…。 はて。
作画・美術・演出などが
3本とも微妙に違うような気がしたもので。
パンフレットに何か書いているかなぁ。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。