「湯切りのわたし」釜石ラーメン物語 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
湯切りのわたし
今関監督は2003年にチェルノブイリ原発事故を扱った「カリーナの林檎」を撮っている。以来雌伏(?)の8年を経てゆるりと始動、今回の東日本大震災を背景にした作品も何かしら通底したものがあるのだろうか。
とは言え、物語の大半はラーメン屋の再興とその過程での姉妹の葛藤で、(あまり今関監督らしさのない)しごく普通の映画である。井桁弘恵は「おしゃれクリップ」でたまに拝見するぐらいだが、かなり暴力的で迷惑な姉を嬉々として演じている。長らく不在にしていた家族が帰ってきてひと悶着というのは、ドラマ作りの類型ではある。今関監督のデビュー作「アイコ十六歳」で富田靖子のお母さんを演じていた藤田弓子もあれから早40年、齢を重ねたなぁと感慨深いものがある。
姉妹のシンクロ湯切りパフォーマンスはなかなかかっこいい。釜石ラーメンというのは寡聞にして知らなかったが、ごくオーソドックスなラーメンなんですね(「タンポポ」もしかり)。客足が鈍いと言うわりには芸能人の色紙がいっぱい貼ってあったのが、不思議。
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