劇場公開日 2023年7月21日

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「そこに品格と愛はあるんか?」セフレの品格(プライド) 初恋 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5そこに品格と愛はあるんか?

2023年7月26日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

レディコミ最大級のヒット作の映画化との事らしいんですが、レディコミは殆ど見ないので正直どれがどれほどか分からないが何よりも城定秀夫監督の新作なら観ない手はない!と鑑賞しましたw

で、感想はと言うと…流石、漢・城定秀夫!きっちりとエロく、ゲスく、シニカルかつ深みのある人間描写な作品に仕立て上げてる。

城定秀夫監督はピンク映画出身ながらもエロに偏りつつもw振り幅の広い作品を手掛けられる、清濁併せ呑める硬派な映画監督。

2020年に公開された「アルプススタンドのはしの方」で一般映画にシフトチェンジしていくかと思ったが、その後もコンスタントにエロも手掛けるw
本分はエロ・グロ・ゲスを得意としている(様に個人的には思える)がそこに浅からず深からずの物語と人間描写を組み込み、観てはいけない物を覗き込みたくなるようなゲス際な野次馬根性を観る側にそそのかせる。だが、浅いエロやゲスではないところがミソ。

同性愛をテーマにした2020年公開の「性の劇薬」はミニシアター系の作品では異例の大ヒットで女性ファンが詰め掛け、連日満員にしたが、そこにはエロさだけでなく、平面的だけでない立体的にテーマを組み込んでいる。

今作はまずこのタイトルからツッコミたくなるw
他の方も言ってますが「ハケンの品格」は知っているがセフレに品格があるんかい!?と思ってしまう。

ただこのタイトルをそのまま使うことでフックポイントになっていて、観る側に興味をそそってくる。
勿論観るとそのタイトルの意味合いも充分に理解出来る。

このタイトルも原作の面白さがあってこそと言うのは分かるが、それが映像化した際にちゃんと活かされているかは別物。そう考えると城定監督の力量が分かるんですよね。

作品は正直中盤まではエロス全開でこれがR15+でいいんかい?と思ったし、これなら「マッド・ハイジ」のR18+指定は納得出来ん!と思いましたw
でも中盤から後半にかけて、一気に物語が加速していく。その加速した深みが単にエロいだけでなく、セフレと呼ばれる関係に様々な人生や人間関係が紡ぎ出した結果で単にセフレがダメとは軽々しく言えない感じになってしまう。
後半からならR15+は納得かなw

また当初は抄子に対しての「セフレの品格」を説いてるのかと思いきや、最後まで観ると一樹のセフレとしての品格を問う作品に感じます。

主人公の森村抄子役の行平あい佳さんは単にエロいだけでは、行動や言動のギャップさが面白く、凄く好感が持てる。
個人的には抄子の上司役の栗山を演じる新納慎也さんが良い味。最後の「惚れたが悪いか!」のセリフは単純でも真意だと思うし、栗山の狂気な怖さの反面のか弱い一面も垣間見える。栗山の物凄く浅く赤裸々な恋愛価値観だからこそ、抄子や一樹の良さが際立つんですよね。
あと、個人的に凄く興味を惹かれたのは寺島まゆみさん。行平あい佳さんの実の母親で日活ロマンポルノで絶大な人気を誇ったセクシー女優(今風に言うと)
1983年から関西のラジオ局「KBS京都」の深夜番組「ハイヤングKYOTO」のパーソナリティを担当され、リアルタイムで聴いていたんですよね。ホニャっとした話し方で当時はロマンポルノに出られていたなんて知らなかったんですが、凄く好きなパーソナリティさんで好きな番組でした。割と早くに芸能界を引退されているのでまさかまたお目にかかれるとは思いませんでした。

個人的にはこの一作だけでも充分にまとまっているので続編の「決意」が公開予定ですが、観に行くかはまだ未定w

ワイドショーでは定期的に不倫のニュースが定期的に流されていますが、不倫とセフレは似て非なる物。
どちらも真正面から肯定する事には口を憚れるが、いろんな過去があって、いろんな人生があって、いろんな人間関係があって成り立つ物もある。

「そこに愛があるんか?」と言われたら当人同士しか分からないし、口に出せない、行動に移せない愛もある。そんな面白さが感じられました。

客入りは思ったよりも少なかったんですが、観ると結構な良作。
大作やアングラカルト作品も良いけど、たまにはエロいい作品も良い物ですw

松王○