AIR エア : 特集
【魂が燃えたぎるほど面白かった】だからプレゼンさせ
てくれ…! 盟友マット・デイモン×ベン・アフレック
が挑む一発逆転の実話は、“あなたの人生を変える”
ほど心を揺さぶる…渾身の一作をパワープレゼン!
この映画は、ただ優れたシューズを開発した物語ではない。伝説のシューズを開発し、人々の人生や世界の景色を変え、歴史を動かした男たちの物語だ――。
辛口批評サイト「Rotten Tomatoes」で驚異の100%フレッシュを獲得した映画「AIR エア」(4月7日から公開)。観れば魂が燃えたぎり、身体の底から仕事への情熱がとめどもなくあふれ、勇気を与えてくれる“渾身の一作”である。
物語の舞台は1980年代のナイキ社。今や世界中で人気を博すトップブランドとして知られるが、当時はなんと“業界の負け犬”だった。この映画は、そんなナイキのある社員たちが前代未聞のチャレンジに身を投じ、偉業を成し遂げるさまを描く[感動の実話]――。
今回の特集では、「AIR エア」の魅力を力いっぱいプレゼンテーション。実際に観た映画.com編集部や、19万フォロワーを誇る有名ツイッタラーなどなど、物語と人生があまりにも結びつき、衝動が抑えきれなくなった面々が、さまざまな角度から「ここがむちゃくちゃ良かったから何が何でも映画館で観て!」とお伝えする。
※あらすじやキャストなど基本情報はこちら↑でチェック!
【映画.com編集部の偏愛プレゼン】なぜ必見なのか?
俳優、物語…観る前から“絶対に良い”と確信の渾身作
まずは映画.com編集部員・尾崎秋彦によるプレゼンを。キャストのアツさ、物語の面白さ、そして世界的評価……これらを知っても、あなたは“面白くなさそう”と言えるだろうか?
※熱が入りすぎてしまったため、文字数多めでお届けします。
<プレゼンター紹介>
●[俳優がアツすぎる]
“名作を生み出す宿命”の共演陣…これだけで、鑑賞料の価値が120%
「この映画を観よう」と思う決め手として、“誰が出演しているか”を重視している人は多い。その点、今作のキャスト陣の名をみれば、どうあっても「名作に違いない」と確信がわきあがってくる――!
★マット・デイモン(「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」「オデッセイ」など)
★ベン・アフレック(「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」「アルゴ」など)
★ジェイソン・ベイトマン(「モンスター上司」「ズートピア」など)
★クリス・タッカー(「ラッシュアワー」「世界にひとつのプレイブック」など)
★クリス・メッシーナ(「アルゴ」「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」など)
★ビオラ・デイビス(「フェンス」「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」など)
まさに輝かしい実績を誇る一流ハリウッドスターが勢ぞろい。特にマット・デイモンとベン・アフレック……「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」などからの大親友として知られ、ともにアカデミー賞や数々の映画賞を獲得してきた“運命の名コンビ”が、不可能に挑む上司・部下(しかも若かりし日から苦楽をともにした仲)という役どころで共演するとは、アツすぎるにもほどがある。
マット・デイモンは主演と製作を担い、当時のナイキ社員であり、エア ジョーダン誕生の中心人物だったソニー役に。中年男性のやや枯れかけた外見が親しみやすい一方で、ひとたびビジネスとなれば不屈の闘志を燃やし、そして神がかった話術をも駆使する……強烈な個性にまみれたデイモンの存在感はまさに圧巻の一言に尽き、何十時間だって観ていたくなるほどだった。
ちなみに、ベン・アフレックはナイキの伝説的CEO、フィル・ナイト役。出演だけでなく監督、製作も担っており、まさに八面六臂の活躍で作品を構築していった。
デイモンがアフレックの監督作に出演するのは、意外にも今回が初。デイモンは「脚本を読んだ瞬間から、映画の最後のカットに至るまで、ただただ喜びだった。これは私の人生の中でも最高の経験だった」と語る。この言葉の意味を噛みしめれば、何とも言えないあたたかい気持ちが胸いっぱいに広がってくる。
●[物語が面白すぎる]
あのNIKEにも負け犬だった時代が…強烈な逆境を情熱とアイデアで打破する驚くべき実話!
なぜこんなにも今作を推すのか? その最大の理由が物語である。
「傑作とはどんな映画か」と質問されたら、筆者は(もちろん無数に答えがあるという前提だが)「観る者と強烈に結びつき、行動を変えさせ、その先にある人生をも変える映画」だと回答する。そうした定義をもとに考えると、筆者にとって今作は紛れもない“傑作”だと断言できる。
あらすじ:1980年代、人気がなく業績不振のナイキのバスケットボール・シューズ。ソニー(マット・デイモン)は、CEOのフィル(ベン・アフレック)からバスケットボール部門の立て直しを命じられる。競合ブランドたちが圧倒的シェアを占める中で、苦戦するソニーが目をつけたのは、後に世界的スターとなる選手マイケル・ジョーダン――当時はまだド新人でNBAの試合に出たこともなく、しかも他社ブランドのファンだった。そんな不利な状況にもかかわらず、ソニーは驚くべき情熱と独創性である“秘策”を持ちかける。負け犬だった男たちが、すべてを賭けて仕掛ける一発逆転の取引とは……!?
まず“あのナイキがかつて負け犬だった”という事実が意外であり、非常にそそられる(筆者は30代前半なので当時を知らない)が、最重要なのはそこではない。筆者が電流のような衝撃を覚えたのは、主人公ソニーたちのチャレンジ精神と諦めない心、そして努力が実った瞬間の喜びだった。
あらすじの通り、主人公たちは「無理」と瞬時に投げ出したくなるような困難にぶつかる。それも1度や2度ではなく、ほぼ10分に1度のペースでぶつかる。そのたび観ている我々が心折れそうになる一方で、スクリーンの中のソニーたちは情熱の火を絶やさない。思考を止めず、解決の手立てを執念深く考え続ける。すると起死回生のアイデアが、あるときにふっと“降りて”きて、不可能がみるみる可能に変わっていく――。
このことは筆者に深い共感と、途方もない勇気を与えた。筆者も映画と比較するとスケールは小さいが、しばしば仕事をするうえで絶望的な気分に陥る。記事のネタが思い浮かばなかったり、自分のキャパシティを大幅に超える取材に挑まなければいけなかったり、ユーザーに“伝わる”記事がなんなのかわからなくなったり……。
そこへきてこの「AIR エア」は、登場人物の悪戦苦闘の物語を通じ「諦めない者に勝利の女神はほほ笑む。脳に汗をかき続ければ困難は打破できる」と教えてくれたのだ。不思議と、自分にもできそうな気がして、どこまでも大きな成功を手に入れられそうな気分にもなってくる。すこし大げさに聞こえるかもしれないが、観る前と観た後で、自分という存在がまるで別人のように様変わりしていたのだ――。
この感覚はなにも筆者だけに限らないだろう。仕事をする人、もっというと学校や家庭などさまざまな局面で“困難”を感じるすべての人々に、エネルギーを直接与えてくれるはず。期待に違わない、いや期待以上の興奮があり、明日への活力をもらえる“傑作”だからこそ、可能な限り多くの人に観てもらいたいのだ。
●[評価も高い、高すぎる]
あの辛口批評サイトでは――驚異の“100%支持”!
手短にもうひとつだけ、重要な情報を。今作が本国アメリカでどのように評価されているのか? 客観的評価をお伝えしよう。
世界中の映画ファンが参考にする辛口映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では、なんとなんと100%支持(3月23日現在)! 90%以上はその年を代表する名作にしか与えられない……つまり100%ともなれば“歴史的傑作”といっても過言ではないほどの評価である。
さらに世界中からエッジの効いた斬新作が集まり、多様性とクリエイティビティに満ちた映画祭「サウス・バイ・サウスウエスト」では、名誉あるクロージング作品に選出され、上映後にはスタンディングオベーションが巻き起こるなど、圧倒的な高評価を博している。
●[結論]絶対に映画館で、いち早く観て――
誰もがどこかに共感でき、人生を突き動かす超良作!
ということで、映画.com編集部員によるプレゼンをまとめよう。キャスト、物語、評価……さまざまな事実から、今作は自信をもっておすすめできる一本だと断言する。
そして付け加えるならば、映画と集中して向き合える映画館で観てこそ、この体験は限界を超えた素晴らしいものになる。ゆえに、配信を待つのではなく、ぜひとも映画館で体感してほしい。観る者の記憶や人生と直列に繋がり、全身を突き動かすような体験が、あなたを今か今かと待ち受けているのだから――。
【副編集長の偏愛プレゼン】仕事は“熱情”で臨むもの
今じゃ流行らない、だけど大切な“あの頃”を思い出す
初っ端から非常に濃ゆいプレゼンとなったが、お次は映画.com副編集長(40代)によるプレゼンといこう。数々のシーンが自身の記憶に結びつき、論理ではない感動に襲われた様子が、克明に刻まれている。
<プレゼンター紹介>
●マット・デイモンが徹夜し、ソファで寝る姿を見て、14年前の記憶がよみがえった
「NIKEはダサい」。今では信じられませんが、1984年当時、アディダスとコンバースに後塵を拝していたNIKEの評価はこの程度のものだったんです。そのNIKEのバスケットボール部門立て直しを命じられたのが、マット・デイモン扮するソニー・ヴァッカロ。彼が徹夜で仕事をし、オフィスのソファで朝を迎える姿を見て、不覚にも14年前の自分の姿と重なりました。
(14年前はまだウェブの映画情報サイトが少なかったため)筆者が配給会社からも、芸能事務所からも胡散臭い目を向けられ、「ウェブじゃダメだ」「ウェブではなく雑誌の取材が受けたい」などと言われ、取材当日に当然のごとくドタキャンを繰り返す俳優に苦汁をなめさせられた当時と、(ソファで寝るデイモンの姿や「AIR エア」の物語が)驚くほどにリンクしたのです。私はソファではなく、硬い床で雑魚寝でしたが……。
それでも、何かにつけ伴走してくれる仲間たちの存在は、何物にも代えがたい。週末ぶっ通しで徹夜仕事なんて、後輩たちに絶対にさせたくない。自分自身にしたって、もうまっぴらごめん。でも、仲間たちを信頼し、手を変え品を変え猛進していたあの頃に、悪い思い出は何もない。今じゃ流行らないかもしれないけれど、仕事って本来そういう“熱情”で臨むものだということを、酸いも甘いも知り尽くしたデイモンの、あるシーンでのドヤ顔から痛烈に思い出させてもらいました。
マイケル・ジョーダンをはじめ、アキーム・オラジュワン、ジョン・ストックトンなど、NBAファンならニヤリとさせられる名前が、幾つもセリフにちりばめられています。彼らも当時は何も成し得ていない、無名の選手でした。彼らがその後、どういうキャリアを構築したのか、映画鑑賞後に調べてみるのも一興です。
映画としての完成度は言うまでもなく、どの世代が観ても心の琴線に触れるものがあるはず。音楽も抜群に素晴らしかったことも、最後に特筆しておきます。(大塚史貴)
【オスカーノユクエの偏愛プレゼン】作り手の思いと
映画の物語が完全にリンクした時、傑作が生まれる――
最後に、Twitterフォロワー19万人の「映画情報 オスカーノユクエ」@oscarnoyukueによるプレゼンを。2022年は「RRR」にドハマりしていたオスカーノユクエ氏だが、「AIR エア」の熱量にも極めて強く感化された模様だ。
<プレゼンター紹介>
●ベン・アフレックの情熱と心の声に共感 アガりまくる痛快な結末は、ぜひ劇場で確認して!
映画全体を通してほとばしる「情熱」や「熱量」から、監督ベン・アフレックの心の声がだだ漏れしている!と嬉しくなりました。
プライベートでのゴシップも多彩でキャリアの起伏が激しいアフレックだけに、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』のころから見守り続けているファンとしてはその不安定さにいつもヒヤヒヤしているのですが、この『AIR エア』を見て安心しました。一連のシリーズ作品に出演していたころを振り返って、「もっとクリエイティブな仕事をしたい」とインタビューで漏らしていた彼の内面が、この映画にそのまま反映されています。
彼が演じるフィル・ナイトは、NIKEの共同創業者でありながら、取締役会のご機嫌を伺うばかりに思い切ったことができないジレンマをはらんだ人物。「本当は俺だって!もっとこうしたいのに!」というアフレック自身の叫びが聞こえてくるようです。
そして最終的にフィル・ナイトがとった行動は…? アガりまくる痛快な結末は、ぜひ劇場で確認してください。
この作品を作ることで、アフレックは溜め込んでいた熱意を大いに解放したことでしょう。作り手の思いと映画のストーリーが完全にリンクしたとき、こういう傑作は生まれるのだとあらためて実感しました。(オスカーノユクエ)