劇場公開日 2023年4月7日

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「マイケル・AIR・ジョーダン!」AIR エア かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0マイケル・AIR・ジョーダン!

2023年6月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

90年代に世界を席巻したNBA人気、その騎手となり史上最高のアスリートと言われたマイケル・ジョーダン。
ナイキ独自のエアジョーダン・ブランドの立ち上げとそれを仕掛けた男たちの物語。

【ストーリー】
マジック・ジョンソンやラリー・バードが牽引し、80年代に絶大なる人気を誇っていたNBA。
アディダス、コンバースといったスポーツブランドは、彼らにシューズを提供して、その販売に力を注いでいた。
そこにどうしても割って入りたいナイキだったが、予算も少なく毎年お茶を濁すような二流〜三流の選手としか契約できない。
だがその年のドラフト3位にまだ卒業前の3年生、1年生で大学バスケットボールの優勝を決めたミドルショットを成功させた選手あがったのだ。
その名はマイケル・ジョーダン。
土壇場で上級生エースではなく、やせっぽちの1年生になぜそのショットを任せたのか、それを多角的に分析し、主人公ソニーは社長に、全予算を投じてマイケル・ジョーダンの一本釣りを提案する。
エージェントを介さずにジョーダン家に乗り込んだソニーは、そこで母親のデロリスと会えた。
大学時代からジョーダンを支配したとまで言われたデロリスは、賢く鋭く辛辣だったが、ソニーはそこから大きなインスピレーションを得た。
会社に戻ったソニーは、まわりに先行する同業他社の今までどおりの保守的なプランを蹴っ飛ばすような、痛快なブランド立ち上げを提案する。
そして完成したエア・ジョーダン1。
それは今までのシューズの歴史を塗り替えるような、最高のシューズとして、マイケル・ジョーダンたちに披露されたのだ。

主演はマット・デイモン、監督と助演は盟友ベン・アフレック。
当時の映像をふんだんに使ってリズミカルに展開を描き、こちらをグイグイと80年代の空気(AIR)に引きずりこみます。

まず、マイケル・ジョーダンというアスリートがどれほどの存在だったのかをおさらいしておきましょう。
ドラフト一巡目3位で当時弱小フランチャイズだったシカゴ・ブルズに入団し、デビューからその高い身体能力を活かしたスコアリングマシーンぶりを見せつけ、均整の取れた空中ポーズでスラムダンクを連発して雑誌の表紙になりまくって大人気選手となり、3年目には2位以降に大差をつけて得点王となる。
優勝6回、ファイナルMVP6回、シーズンMVP5回、オールNBAファーストチーム10回、スラムダンクコンテスト優勝2回、あげればキリがないほど、現役期間中にはメチャクチャにタイトルを取りまくり、すべてのアスリートよりも稼ぎまくった恐るべき選手でした。
ハイテクシューズの走りとなったエア・ジョーダンはその後もナイキに莫大な収入をもたらし、今なお有名選手が好んで履いています。
あまりに人気が出過ぎたせいで、少年の間で非常にいたましい事件が起きたほど、それは熱狂的なブームでした。
ナイキのシューズを履くことで罰金を払い続けたジョーダンですが、当時ピチピチだったジャージ規定を破り、ダボダボのジャージを好んで着用したことでこちらも罰金を払いつづけました。
ちなみにシューズもジャージの規定も、皆がジョーダンの真似をするようになって、なくなってしまいました。
彼は瞬く間に最もホットなストリート文化のアイコンになり、現役当時すでに伝説で、バスケットボールの神様と呼ばれるようにまでなったのです。

マイケルを育てたジョーダン家の傑出しているところは、ご両親の潔白さです。
マイケルがいくらお金を稼いでもそれを受け取らず、父のジェームズ氏は亡くなるまでずっとタクシードライバーをしていたそうです。
母親も辣腕ぶりで有名でしたが、サインや写真を求められても決して応じない清廉な人だったそうです。

そのジョーダンが放った、1982年NCAAディビジョンⅠ決勝のシュートは『ザ・ショット』と呼ばれ、その後の華々しいキャリアの突端として今なお語り継がれています。
ザ・ショット。
かっこいい。
撃ちたい。
さて、その一撃で目前の優勝を取りこぼした敵チームのパトリック・ユーイング(和名・ゴリ赤城)は、その後もNBAでジョーダンにやられまくる、可哀想なスター選手になってしまいました。
まあジョーダン現役中は、みんな可哀想っちゃ可哀想なんですけど。
ちょっと名前の出てきたチャールズ・バークレーですが、空飛ぶ冷蔵庫と呼ばれた小柄なマッチョパワーフォワードで、コメントがめちゃくちゃ面白いので『サー・チャールズ』と呼ばれてこちらも大人気になりました。

熱く語りすぎてもうオチも考えつきませんが、プロ・アスリートとしての総収入でいまだに一位を走りつづける生ける伝説マイケル・ジョーダンとエア・ジョーダンブランド、その歴史的な立ち上げを見事に映像化した本作。
これを見た若者たちが熱い夢を胸に抱き、ジョーダンを超える新たな伝説を作りあげることを、願わずにはいられません。

かせさん
ももえもんさんのコメント
2023年12月10日

初めまして😊
私もこの作品を映画館で観ました!
とても細かいところまで丁寧に解説されていて、また見返したくなりました!😌
知識の深さがすごいと思いました!!

ももえもん
ねもちゃんさんのコメント
2023年6月12日

かせ様
沢山の作品への共感ありがとうございます
かせ様の過去レビューも拝見しました
AIR同様、全ての作品への愛と情熱を感じました
これからもレビュー楽しみにしております

ねもちゃん
ねもちゃんさんのコメント
2023年6月8日

はじめまして
共感&コメントありがとうございます
熱いジョーダン愛が伝わります!
この作品を見て以来ジョーダンの事を学ぶ様になりましたがこのレビューが1番勉強になりました⭐️5つです!

ねもちゃん
morihideさんのコメント
2023年6月8日

コメントありがとうございます。
両親がそこまで清廉だとは知りませんでした。
お兄様も人格者らしいです。

morihide
kenshuchuさんのコメント
2023年6月7日

コメントありがとうございます
ランTMC知りませんでした(バスケには疎いので)
あのヒップホップユニットに全乗っかりなネーミングいいですね

kenshuchu
ニコラスさんのコメント
2023年6月7日

コメントありがとうございます。アディダス、そうなんですね!知らなかった。
ジョーダンは今までのバスケットボールのプレースタイルだけでなく、ビジネスモデルも大転換させたアイコンですね。こんな人はもう出ないだろうと思っていますが、いつの日か世界をひっくり返すようなスーパースターがまた現れるのでしょうね、それもまた楽しみです。

ニコラス
kossyさんのコメント
2023年6月7日

共感、コメントありがとうございます。
やっぱり当時の音楽や映像がどんどん出てくると全体的な質も良くなりますね~♪
もう配信が始まってるのでチェックしたいところが山積・・・

kossy
ゆり。さんのコメント
2023年6月7日

共感コメントありがとうございました。凄くお詳しいんですね。私はバスケの事を知らないので映画のみで判断してしまいましたが、エア・ジョーダンは名前だけでは無い画期的な凄いシューズで、強欲に見えたお母様は本当に素晴らしい方なんですね(慈善事業はセレブのステイタス、みたいに思ってました)自分の誤解でした。ありがとうございます。いつのまにかダブダブウェアになっていたのも、ジョーダンが流行らせたんですね。

ゆり。
あらじんさんのコメント
2023年6月6日

共感、コメントありがとうございます。いやあ詳しいですね、参りました。

あらじん
活動写真愛好家さんのコメント
2023年6月6日

コメントありがとうございます。「ザ・タウン」よかったですね。ジェレミー・レナーはこの作品と「ハート・ロッカー」でブレイクしましたよね。

活動写真愛好家
NOBUさんのコメント
2023年6月6日

今晩は
 コメント&共感、有難うございます。
 あの、聡明な母親があってこそ、マイケル・ジョーダン氏ありきという事を今作品で初めて知りました。では。返信は不要ですよ。

NOBU
SAKURAIさんのコメント
2023年6月6日

共感、コメントありがとうございます!なるほどジャージのブカブカも駄目なんですね。

情報ありがとうございます!

SAKURAI
琥珀糖さんのコメント
2023年6月6日

今晩は

共感ありがとうございます。
詳しいですねー。
とても勉強になりました。

琥珀糖