「【一夜限りの若き恋人達3組の一夜の出来事を描いた作品。そして、その出来事の中で夫々が、新たなる生き方を見つけていく姿が印象的な作品でもある。】」MY (K)NIGHT マイ・ナイト NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【一夜限りの若き恋人達3組の一夜の出来事を描いた作品。そして、その出来事の中で夫々が、新たなる生き方を見つけていく姿が印象的な作品でもある。】
ー ご存じの通り、今作は邦画若手監督の中で独特な地位を築いている中川龍太郎監督作品である。「わたしは光をにぎっている」や「静かな雨」や「やがて海へと届く」等の印象的な静的な作品を劇場で鑑賞し、気になっている監督である。-
1.夫の浮気に悩まされているタワマンに住む主婦(安達祐実)
⇒若い男(KNIGHT TOKI:吉野北人)との一夜の交際を求める
2.夫に逃げられた余命僅かな母(坂井真紀)に幼き時から、厳しく接しられた事から常に母の視線が気になる女性高校教師(穂志もえか)
⇒母の死の前に、偽のフィアンセ(KNIGHT SETSUNA:川村壱馬)を紹介しようとする
3.料理の人気インスタグラマーの女性(夏子)
⇒自分の写真を撮らせるために若い男(KNIGHT:イチヤ:RIKU)を雇う
<感想>
・最初は、あれれ・・、と思いながら観ていたのだが、徐々に引き込まれた作品である。
1.のケースは主婦が自身も夫への複雑な想いを抱えつつ、自由なTOKIの行動に徐々に明るさを取り戻していく過程が面白い。大盛ニンニク増しましの拉麺を食べ、ナント!TOKIの立ちしょん姿を後ろから見たり・・。そしてTOKIの家にまで行き、彼の恋人やフィリピンパブで働く母親の子を預かっている姿を見て、美味しそうな料理を振る舞い、最後はフィリピンパブで働く母親を追って来た大男の顔面に正拳を喰らわすのである。
そして、彼女は晴れ晴れとした表情になり、夫にキチンと話すと言って去るのである。
2.のケースは少し切ない。母から”何しに来たの”とツレナイ態度を取られ、涙ぐむ女性高校教師。その姿を見て、ひとり母親の元を再び訪れるSETSUNA。彼は自身が男を次々に変えて来た母とは縁を切ったと告げると、母親は彼を病室から連れ出し隠してあった煙草を吸いながら、娘を想う気持ちを彼に伝え、更にSETSUNAに一度はキチンと母に会いなさい、と告げるのである。そして作品冒頭、母の留守電を聞いていながら連絡を取らなかった彼は女性教師に母親の言葉を珈琲缶を上げ乍ら伝え、自らも朝日が上がる中、母親へ電話し留守電を残すのである。
3.のケースは料理の人気インスタグラマーの女性が料理を食べる姿をイチヤに撮らせつつ、自分は食べない姿に苛つくが、彼女がイチヤの写真の上手さに気付いた彼女がふと立ち寄った写真展でイチヤが且つては写真家を目指しながら挫折した事を知り、且つてのイチヤと共に写真を学んできた新進の写真家が、インスタグラムの事を揶揄するような言葉を行った時に、皆の前で口にした啖呵が気持ち良かったなあ。
<今作は、今までの中川龍太郎監督の新たな面を示した作品であると思います。>