「傑作です」碁盤斬り 亞lexさんの映画レビュー(感想・評価)
傑作です
白石監督の新作が「柳田格之進」という落語からインスパイヤされた話と聞いて
どんな話になるのか?復讐エンタテインメント?
復讐話ではない気がするけど?
落語って結構無理がある話を話芸で補って(ごまかして)いるところがあって、
この噺も、よく考えると?なポイントがある。
平和になった江戸時代、浪人となり娘とつつましく暮らす格之進
囲碁で親交を深めた源兵衛の家に対局を行っている最中、
源兵衛は50両を紛失してしまう。
番頭からの疑いをかけられた父、格之進を思い、
娘自らを吉原に売ることでお金を作り、返済させる。
「これは盗んだ金ではない。もし金が出て来るようなことがあれば
疑いをかけたお前の首を貰い受ける」格之進は番頭に言って去ったまま行方不明になる。
その年の瀬、金を発見した源兵衛が、疑いが掛かったままの格之進を
探していると、藩に戻って昇進し身なりも整った格之進が
江戸に用事で戻ったところに鉢合わせする番頭。
金があったことを格之進に伝えると、「首を洗って待っていろ」と番頭を返す。
番頭がことの顛末を源兵衛に伝えたころ、格之進がやってくる。
源兵衛は「番頭には子供も妻もいるから勘弁してくれ。切るなら私を」
番頭は「私がした約束ですから私を切ってください。私には妻も子供もいません。」
刀を振り下ろした格之進、碁盤が真っ二つに…
源兵衛はすぐさまお絹を吉原から連れ戻り、番頭と夫婦になって
幸せに暮らしましたとさ
ここで大きな疑問
こら格之進、娘を吉原に売ったまま藩に戻って何しとんねん。
白石監督、私のこの疑問を納得させてくれました。
柴田兵庫なる人物を登場させ、彼への復讐も含めた話にすることで
矛盾を解決、見事です。
時代劇の殺陣も、様式美というより、七人の侍のそれ、大好きです。