劇場公開日 2024年5月17日

「正しき碁を打ち、真っ当に生きる」碁盤斬り サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0正しき碁を打ち、真っ当に生きる

2024年5月25日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

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興奮

ようやく見れました、話題沸騰「碁盤斬り」。剛くんがやって来たというのに1日1回しか上映しない映画館があるせいで、1週間遅れての鑑賞になってしまった。(結局そこで見てないんだけど、)

白石和彌監督×時代劇、そして草なぎ剛を初めとした錚々たるメンツ。上がりすぎていたハードル、むしろ不安だったのだけど、見事に超越してくれました。時代劇の良さ、そして白石和彌らしさ。時代劇好きも、そうでない人も、映像と音楽の上品さ、監督特有の演出の巧妙さに虜になること間違いなし。白石監督が時代劇を撮る上で考えつく、最高のテーマとキャストじゃないだろうか。いやぁ、面白いっ!シンプルながらに、綺麗な脚本だなぁ。

古典落語の演目の映画化ということで、"刀"を使った戦闘は少なく、リアリティよりもアイデア、エンタメに特化した作品であるため、「鬼平犯科帳」のような重厚感ある本格的なドラマは本作では見受けられない。ただ、単に時代劇ではなく、落語原作だからこその面白さだってたんまり。なんで気づかなかったのかと、始まって早々自分を恥じたのだけど、タイトル通り、この映画は〈囲碁〉がメインテーマ。碁を打つことで人生が大きく左右されていく人々が濃密に描かれており、いかにも落語っぽいストーリー構成になっている。

さほど影響は無いかもしれないけど、碁のルールはきちんと抑えていた方が、心を通わせていく格之助と源兵衛の間柄、柴田兵庫との緊張感が伝わってくるはず。これっぽちも知らないのは、この映画を100%楽しめていない気がして悔しかった。これは、ちゃんと勉強して見直さなければ。

にしても、こんなにキャストだけで楽しい映画も久々だな。清原果耶の美しさは健在。中川大志もハマり役だったし、小泉今日子も何だかんだで好演。奥野瑛太と音尾琢真の安定感、最近優しい國村隼。なんたって、斎藤工演じるゲス野郎はたまらなく良かった。もっとクズ演じてくれ。

サプライズ