「水清ければ魚棲まず」碁盤斬り レントさんの映画レビュー(感想・評価)
水清ければ魚棲まず
浅草の貧乏長屋で娘お絹と暮らす柳田格之進。かつて彦根藩に仕える侍でございましたが、訳あって今は浪々の身。浪人ゆえに特に食い扶持もなく娘は針仕事、本人はたまにはいる篆刻の仕事で何とか食いつないでおります。
娘お絹は江戸一、二を争うほどの麗しくうら若き乙女でありますが、独り身の父を放ってはおけぬと嫁にもいかず父の世話を焼いております。今日も今日とて大家からの家賃の矢の催促。
そんな格之進の唯一の楽しみといえば碁を打つこと。碁会所で知り合った商人の満谷源兵衛はその格之進の実直で噓をつけないまっすぐな性格にほれ込みまして、お互い日々碁をたしなむ関係になるのであります。
そんな折、藩からの使いである左門がやってきまして、かつて格之進が藩を追われた件が濡れ衣だと判明いたしました。つきましてはぜひとも藩にお戻りいただきたいとのこと。格之進を陥れたのは柴田兵庫であり、妻を手籠めにして死に至らしめたのもやつであると聞いた格之進は激怒いたします。
彼は妻の敵を討ちに兵庫を探しに旅に出ることにしますが、そこへ源兵衛のところの弥吉がやってきて、うちから五十両が消えたとのこと。その嫌疑を向けられた格之進はまたも激怒いたします。
自分とて武士の端くれ、このような嫌疑をかけられて生き恥をさらすわけにはいかぬ、こうなれば切腹するほかはないとえらい剣幕でございます。
さっきまでの敵討ちの話はどこへやら、それを知った娘のお絹は自分を𠮷原に売り飛ばして五十両を工面いたします。どうか大晦日までにお支払いください、それを過ぎればお絹は店に出しますとキョンキョンは言います。
格之進は五十両を工面するかと思いきや、うっかり忘れていた敵討ちに出かけるのでありました。おいおい娘のお絹はどうする。このままでは清原果耶ちゃんの貞操の危機ではないのか、あのいたいけな果耶ちゃんの貞操がどうなってもよいのか。
聞く耳を持たない格之進。そもそも曲がったことが大嫌いな彼はまっすぐ前へ進んでいきます。役者としてもドラマ「いいひと」でブレイク。スマップメンバーの中で一人くすぶっていた中で花開いた瞬間でございました。それからは来る役来る役いい人の役ばかり、世間からはいい人イメージがつきすぎて、いい人を演じ続けることにストレスがたまりまくって、しまいには酒に酔っておいたをしてしまいます。それからお家騒動がありジャニーズ藩からの脱藩を経て今に至ります。
ああ、お絹さんの貞操の運命やいかに、そして草薙君は見事斎藤工にかたき討ちできるのでありましょうか。
そもそも妻が手籠めにされたというのも疑わしいことであります。醬油顔の草薙君に飽き飽きして甘いマスクの斎藤工によろめいたのが本当のところではございませんか。しかし妻とて不貞を働いた後悔から身を投げたのが真実であったのではありますまいか。
ともあれ敵を見つけた格之進。やはり囲碁侍だけに碁で決着をつけようと言います。相手は強敵、果たして勝つことができるのでありましょうか。
格之進の執念が実を結び勝負あったと思われましたが兵庫はご乱心。ええい、であえ、であえ、周りの人間を仕込み刀でバッタバッタと切っていきます。刀を手にした格之進。まさに映画タイトル通り斎藤工を碁盤の目のように切り刻みます。違うか。
本懐を遂げた格之進、しかし大みそかには間に合いませんでした。もはや果耶ちゃんの貞操は風前の灯火にてございます。そこへ例の弥吉がやってきます。
やはり五十両が出てきたと知った格之進は弥吉と源兵衛に対してその首もらい受けると申します。一度こうと決めたことはけして曲げない実直な男。しかし彼は二人に情けをかけるのでありました。
自分がまじめすぎる故、藩で不正を働いた者たちに気の毒な事をしてしまった。真面目ばかりが能じゃないことを彼は学んだのでありました。水清ければ魚棲まずであります。
そして格之進は兵庫が盗んだ掛け軸を金に換えて、藩を追われた者たちに配るため再び旅に出るのでした。おしまいおしまいと。
コメントありがとうございます。
終盤は滑稽劇として楽しんでましたよ。
水戸黄門の大立ち回りの場面に笑点やドリフのテーマを当てた動画を連想しながら…笑
お絹の貞操は、お庚が絶対に売らないと分かってたので心配ゼロでした。