「ラリックマ」コカイン・ベア 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ラリックマ
森林公園上空を飛行中のセスナから麻薬の運び屋が大量のコカインをばらまく。そうやって逃げるつもりが、ラリっていた運び屋はパラシュートが開かずお陀仏。
森にばらまかれたコカイン。
それを食べてしまったのは…、クマ!?
♪︎ある日 森の中 クマさんが ラリった
…なんてつい口ずさんじゃうようなよくもまあおかしな話を思い付いたもんだと思うが、何と1985年にアメリカで実際にあった事件が基。
まさに事実は小説よりキテレツ!
それが受けて昨年アメリカでSNSを中心に大バズり。本作もスマッシュヒット。
昨年のアカデミー賞授賞式にこの“コカイン・ベア”が登場したのを覚えている方も多い筈。
実際にはクマは薬物の多量摂取により死亡。
本作はこれに着想を得て、話は面白おかしく大胆創作。
麻薬の運び屋がコカインをばらまいたニュースが地元を賑わす。最初にそのクマと遭遇したハイキング中のカップルを皮切りに、麻薬王とコカインの回収を命じられたその息子と売人、追う刑事、レンジャー、滝の絵を画きに森に入った少女と友人、その看護師の母親…。群像劇スタイル。
そんな彼らに、ラリったクマが襲い掛かる…!
はっきり言ってしまおう。THE B級!
話も単純で、台詞ややり取りも脚本家がラリって書いたんじゃないかと思うくらい。
アニマル・パニック×ブラック・コメディ。結構グロさもあり。だけど、メッセージ性はほぼ皆無。
おバカと笑いとグロのエンタメに徹し、これを監督作に選んだエリザベス・バンクスのユーモア・センスに天晴れ!
キャスト陣も振り切った笑演、快演、怪演。
本作が遺作となったレイ・リオッタに合掌。最後まで十八番のマフィア役を演じてくれました。
登場するアメリカクロクマは本来は人を襲わないという。
そんなクマを錯乱させたのは…。
エゴや欲だらけの人間を滑稽に描き、メッセージ皆無と書いたが、実はそれとなく織り込んでいる。
娘を探す母親。クマも母グマで、子供を守りたいだけ。
ラリったクマには確かに遭遇したくないが、つぶらな瞳が可愛らしい。
狂暴さと可愛らしさとコミカルさ。クマ自体はCGで描かれるが、芸達者!
意外や爽快なラストまで、95分。
ラリった気分で気軽に楽しめる。
あ、本当にラリったらダメですよ。