「親子の絆を描きつつグロテスクなシーンが観られる珍作」コカイン・ベア 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
親子の絆を描きつつグロテスクなシーンが観られる珍作
密輸中に森に放り出された大量のコカインを食べたアメリカクマが大暴れして人間を襲うというパニック映画でした。動物に襲われるという点ではクマ版ジョーズという感じですが、ジョーズと違うのは、多数の人間を動物が襲ったのは創作だけれども、空から降ってきたコカインを食べたクマは実在したという点。1985年にアメリカ・ジョージア州で実際にあった出来事だそうです。コカインを食べてハイになったアメリカクマ、公式サイトでは体重80kgということだけど、ガタイを見る限り100kgを優に超えるデカさでした。
そんなクマに襲われるのは、コカインを回収しようと森に出張って来た麻薬組織の頭目とその息子や仲間であったり、彼らを追って来た警官だったり、森の中にある滝の絵を描くために学校をさぼった子供2人とその母親であったり、ハイキングに来たカップルだったり、森林を守る保安官だったりと多種多様。
一方主役とも言うべきクマの方も、コカインを食べた母グマとその2頭の子グマなので、人とクマ、都合3組の親子が出て来るのが特徴で、グロテスクで残虐なシーンがあるけれども、親子の絆を描いた映画だったりもするところが面白いところでした。
ただ、悲劇と喜劇は紙一重と言う通り、どこかコメディチックな部分もあり、それでいて内臓が抉られるシーンがあるので、一体怖がるべきなのか笑うべきなのかイマイチ距離感が掴めぬまま終わってしまったという面もありました。
因みに人間の場合、コカインの致死量は1.2g程度だそうだ。本作のクマは体重80kgであり、人間と然程変わらないため、そんなクマが1パック優に1kgはあろうかというコカインを食べたら即死してたんじゃないかと思われます。実際1985年にコカインを食べたクマも死んでしまったそうだ。本作のようにコカインを食べたクマがハイになり、体力も俊敏性も跳躍力もパワーアップして人間を襲う恐れはないようです。ちょっとホッとしました(笑)