劇場公開日 2023年8月11日

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「呪音 シミズのホンキ」ミンナのウタ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5呪音 シミズのホンキ

2024年1月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

興奮

中田よ、清水よ、今度こそ信じていいんだな?
…と言い続けて何度裏切られてきた事か。
中田は“森”で迷子になり、清水は“村”は作品によりけりだったが、“島”で遭難。だって、古い因習が残る島ってのは良かったんだけど、VRって…。地雷臭しかしなかった。
で、本作。
GENERATIONSとやらが本人役で主演。PVかよ、MVかよ!
メルヘンチックなタイトルもこれまた不発だった『こどもつかい』を思わせ、嗚呼、今回もまた地雷臭しかしねぇや。
とりあえず見てみるか…そんな程度で見てみたら、

どうした、どうした!?
やっぱり不発…じゃない。久々に良くて、どうした、どうした!?
清水ホラーとしてもJホラーとしても、近年出色の出来だったのではなかろうか。
ゾクゾク怖さも充分。賛否はいつもながら分かれているようだが、個人的には話も『リング』みたいにシンプルで悪くなかった。
清水崇、久々に本領発揮。何だかんだ、あなたの恐怖劇場をお待ちしてましたぞ。

今大人気。7人組のダンス&ボーカルグループ“GENERATIONS from EXILE TRIBE”。
ラジオ番組の収録中、パーソナリティーを務めるメンバーの一人が謎の少女の鼻歌を聞いたと述べ、その後行方不明に。
謎のカセットテープ。それを機に、他のメンバー、マネージャー、調査を依頼された探偵も同じ謎の歌を聞き、奇怪な現象、人影が…。
調査を進めていく内に、30年前に不可解な死を遂げた女子中学生の事件が浮かび上がり…。

ホラーは見せない事、恐怖を想像させる事。
それから、もう一つ。音。本作、音が何と怖い事か!
本作のキーアイテムであるカセットテープ。
そのカセットテープから聞こえる雑音交じりの音。音だから見えないから想像させるから、これも想像させる恐怖。
不思議と日常音だけでも不穏。突然、耳をつんざく音、奇っ怪な音? 声?
怖さ倍増は逆再生。あの不気味さと言ったら…!
カセットテープというアナログアイテムが『リング』のビデオテープとも被った。
それから秀逸な恐怖シーンだったのは…
探偵がホテルで家族に電話をする。娘が電話口でうんざりな感じ。
女の人なんか連れ込んで。鼻歌まで歌って。
部屋には探偵一人。自分には見えない/聞こえないのに、他者には何かを通して見える/聞こえるってホラーの常套手段だが、怖い。
音だけじゃなく視覚的な恐怖描写も勿論。
調査の中で辿り着いた女子中学生宅。今はもう廃屋の筈が、一人の少年の姿が。連られるように中へ。中に入った時点で違和感。
母親らしき女性が対応。何かヘン。同じ言動を繰り返す。以前にも『呪怨』で似たようなシチュエーションあったような…。すると突然…!
そりゃあ勝手に家に上がり込んだのは悪いけどさ、その後楽屋にまで押し掛けて来る執念深さ…!
この母親はサブキャラ。恐怖と呪いの根元は、女子中学生。
清水ホラーはホラーキャラも出たがりさん。今回も。終盤姿を現した時の強烈インパクト!
さな。伽椰子さん、俊雄くんに続く清水ホラーキャラ誕生!
そういや、“としおくん”もカメオ出演していたね。

さながカセットテープに込めた願い…呪い。
恐怖と呪いの連鎖が拡がっていく。
呪いには発端あり。その多くは悲しき過去…。
本作も例外に漏れず。さなの死のシーン、何と衝撃で悲劇的な事…。

GENERATIONSの演技は未知数なので、マネージャー役の早見あかりと探偵役のマキタスポーツが引っ張る。マキタスポーツは最初はステレオタイプな中年男だなぁ…と思っていたが、そこは巧みに。
GENERATIONSも奮闘していたと思う。映画やドラマにも出ているしね。メンバーで顔と名前がはっきり分かるのはメンディーくらい。何かのドッキリバラエティーでビビりらしいけど、あれは素かね?

まあ勿論、手放しで絶賛という訳ではない。
難もあるし、賛否も分かる。最大の謎は、GENERATIONS本人役での出演の怪。別に本人役でなくとも良かった気がするけど、何故に…? 大人の事情…? 現実とシンクロのメタ的構造…?
しかしながら今回は、よくやった!…と素直に声を贈りたい。
カセットテープの呪いの恐怖もまだ続きそう…。
清水監督は新作を発表すると続けざまに次回作も発表するが、現時点ではまだ次回監督作の予定はナシ。
更なる呪いや恐怖を生み出そうとしているのかな…?
この調子で、次も期待してますぜ。

問題は中田だな…。

近大