「この映画は何のために作ったのか」おまえの罪を自白しろ ぶっちさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画は何のために作ったのか
たとえば、コロナ禍で倒産した事業所は数多くあるが、それはコロナが直接の原因ではなく、それ以前から兆候があってのことだ。
すなわち、放漫経営だったり、経営者に適性がなかったりだ。もちろん長引く不景気のせいもあるだろう。しかし、コロナはとどめを刺しはしたが、直接の原因ではない例が多い。
この映画の姉弟の家も同じだ。いや、こっちのほうがタチが悪い。
宇田議員が橋を架ける位置を変えたことが、家業が倒産する原因になったとして、議員に恨みをつのらせる。
とんでもない。それ以前から業績は赤字だったのだ。
なのに、橋が自分のところに架かることを見込んで借り入れを増やしたものの、橋の位置が変わったため結局、借金を返せなくて倒産した。つまり、見込みが甘かったのだ。そもそも経営者としての能力に問題があったのだ。酷なような言い方だけどね。しかし、父親たる社長が死んだのはそれが原因ではない。
親子ゲンカだ。倒産の原因を追及し合っての、親子ゲンカの末の過失致死だ。
うちの家を潰したのは誰でしょう、などとはよく言えたもので、開いた口が塞がらないとはこのことだ。しかも、父の死体を河川敷に埋めるなんて、いったい何ていうことをするんだ。死体遺棄ではないか。
河川敷を掘り起こすことになって、バレてはいかんと、慌てて父親の死体を移そうとして…。自分勝手も甚だしい。
結局、この映画は何が言いたかったのか。これだけの出演者を揃えて、独りよがりの逆恨みの深さを描こうとしたのか。まさか。
業績の悪い会社に資金を貸す銀行も銀行だ。橋の位置が決定もしないうちから何の根拠があってのことだろうか。
考えれば考えるほど、この姉弟には腹が立つ。
宇田議員? ほかの出演者も合わせて印象が薄れてしまうほどだわ。
途中までは面白かったんだけどね。