「牧野省三「脚本さえ良ければ誰でも良い演出家になれる」」おまえの罪を自白しろ 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
牧野省三「脚本さえ良ければ誰でも良い演出家になれる」
2023年映画館観賞65作品目
11月19日(日)イオンシネマ新利府
dポイント−300円→1500円
監督は『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』『舞妓Haaaan!!!』『なくもんか』『綱引いちゃった!』『謝罪の王様』『あやしい彼女』『アイ・アム まきもと』『ゆとりですがなにか インターナショナル』の水田伸生
脚本は『64ロクヨン前編後編』の久松真一
あらすじ
麻由美は娘の柚葉を自転車に乗せひとけのない河川敷の帰り道の途中で後方から近づいた軽トラの運転手に突然押され倒れて気絶した
血まみれで目覚めたときには柚葉はいなかった
柚葉は誘拐された
誘拐犯の要求は宇田清次郎衆議院議員に対する「お前の罪を自白しろ」だった
国会議員としての出世より孫娘の命を最優先に考えた清治郎は内閣府副大臣辞任日本新民党離党議員辞職覚悟で二度の記者会見で罪の全てを洗いざらい発表した
すると柚葉は無事に解放されたが精神的ショックで言語障害があった
フェイクの三度目の記者会見で誘拐犯を誘き寄せ埼玉県警は見事2人を逮捕した
工事現場予定だった河川敷の土地には誘拐犯の暴かれてはいけない秘密があった
『ゆとりですがなにかインターナショナル』の水田監督
脚本家が違うだけでこうも違うものか
日本映画の父と呼ばれた牧野省三は言った「ホン(脚本)さえよかったら誰でもいい演出家になれる」と
まさにその通り
政治権力争いに誘拐モノを絡めた知的なサスペンス骨太娯楽作品
政治権力の争いに巻き込まれた地元庶民が誘拐犯だったわけだがそれほど政治が悪いのかといえばかなり疑問で全く共感できなかった
そこがちょっと残念なところだが実際の事件もまあだいたい犯人の動機なんて殆どが共感できるものではない
与党政治家に一泡吹かせれば正義という思想は自分にはない
ちなみに2世議員に対して反発する思想も微塵もない
政治に対する考え方の違いで楽しみ方が違ってくるのが政治を扱った映像作品の特徴といえる
結局のところ主人公は父の後継者になり幹事長は総理大臣になった
そしてエンディングテーマはB'z
アキラ100%は裸じゃないとアキラ100%としてしっかり認識できなかった
エンドロールを見たあとそういえばたしかにスーツを着て車にも乗っていたと思い出した
その点では矢柴は俳優としては華がないがやはり秘書として目立つ存在だった
紗倉まなは服を着ていても紗倉まなだとしっかり認識できるがアキラ100%にはそれがなかった
要するにアキラ100%はそういうことなんだろう
ベテラン堤真一彼独特の重厚な芝居が大物政治家にマッチしていた
事件現場に戻り娘の幻を見るシーンの池田エライザの芝居も良かった
刑事役に歌舞伎役者がいるが上司に抗議しようと追いかけ不満をぶちまける芝居があまりにも歌舞伎だった
それはそれでいいのだろうか
好みが分かれるが自分は好きだ
客観的に見て星5でもいいはずだが誘拐の真相というか犯人の動機が自分が当初期待したものとだいぶ違っていたという点が星4になった
「えっまさか」というおどろおどろしさがない
スープも具もいいが麺の太さがちょっとだけ好みが違うラーメンのような歯痒い感じ
たしかに犯人役にも格は必要でそれはクリアしてる
某刑事ドラマのように犯人が上島竜兵とか磯野貴理子みたいなことはない
配役
宇田家の次男で会社経営に失敗し清治郎の議員秘書になった宇田晄司に中島健人
衆議院議員内閣府副大臣の宇田清治郎に堤真一
宇田家の長男で埼玉県県議会議員の宇田揚一朗に中島歩
宇田家の長女で晄司の妹の緒形麻由美に池田エライザ
麻由美夫で戸畑市議会議員の緒形恒之に浅利陽介
母と帰宅途中に誘拐された緒形夫婦の娘の緒形柚葉に佐藤恋和
清治郎の政策秘書に木原誠也に矢柴俊博
清治郎の施設秘書の大島昇にアキラ100%
清治郎の公設第一秘書の牛窪透に山崎一
埼玉県警捜査一課の刑事の平尾宣樹に山崎育三郎
埼玉県警捜査一課の刑事の樫田光太郎に中村歌昇
埼玉県警刑事部参事官の高垣義弘に三浦誠己
埼玉県警捜査一課管理官の加持直樹に尾美としのり
埼玉県警刑事部部長の牧村徹に菅原大吉
清治郎の対抗派閥日本新民党衆議院議員の若鷺健太郎に池田成志
九條派の領袖の九條哲夫に小林勝也
次の総理大臣の座を狙う日本新民党幹事長の木美塚壮助に角野卓造
厚生労働副大臣の城山敏正に橋本じゅん
内閣官房長官の湯浅哲道に升毅
内閣総理大臣の夏川泰平に金田明夫
中央テレビ報道記者の神谷美咲に美波
恒之市議の支援ボランティアの寺中初美に尾野真千子
初美の弟に寺中勲に柏原収史
初美と勲の父に寺中清則に春海四方
清次郎の後援会長の草川庄一に平泉成