アナログのレビュー・感想・評価
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見えないゆえの想像力
ストーリーはありきたり。ラストも予想どおりでした。脳障害を負った波瑠のお芝居もあまりリアルではなく、映画ではあるけど舞台系として楽しむ作品と理解しました。
とてもよかった。アドリプ多め。役者さん達が本人になりきってお芝居をしてくれていることが分かります。みんな、とても優しい。監督とカメラマンの優しさも伝わります。
この映画を見た人はみんな同じ気持ちだろうけど、糸電話の場面がよかった。どこまで離れても声が伝わるのかな?と試してる時は本当に楽しくて、でも、さすがに聞こえないだろうなというくらい離れた時に、風もボーボー吹いてるし聞こえないだろうからと安心して「結婚してください」と言ってみた。
映画のタイトルは「アナログ」だけど、対になる言葉は「デジタル」ではなくて、SNSとかニュースサイトとか、そういうこと。スマホから得られる情報は、自分に紐づく情報が多めになるから、悲しい過去があったミハルは、スマホを開くたびに、ドキッとするような情報を目にすることがある。とはいえ、いつか慣れてしまうものかもしれない。
ミハルはただ避けていただけなんだけど。心の鍵を開けてくれる人が現れてよかった。鍵を開けるほうは必死なんだけどね。
号泣、ストレートな恋愛ドラマ
携帯電話のない恋愛
タイトルの通り、まさにアナログの恋愛物語。
お店に行くにもGoogleマップを使わず、
約束をするにもメールをせず、会えなくても電話もしない。
それは主人公の二人の物語ではあるが、
二宮さん演じる水島悟と友人たちの間でも、携帯電話の登場率はかなり少なく、
たまたま飲み屋に居る、先にカフェにいる、
そういった「縁」を描いた物語のようにも感じました。
このネットの時代には珍しい
行きつけのお店、顔見知りのマスター、という
アナログな人間模様がとてもあたたかく感じた作品でした。
劇中で前半の方に多く見られたつぎはぎのようなカット割もどこかアナログな世界で、
アドリブ?というくらい自然なキャスト陣のやりとりも和やかでとても温かい気持ちになった。
おしとやかでお上品な役どころが似合う波瑠さんですが、
個人的に、役と離れた彼女はいつもさっぱりしていて面白い方という印象の女優さんです。
あまりに外見とマッチしたこの役どころが逆に痒い!と少しだけ感じてしまうような、そんな瞬間もちらほら。
と、コアな感想も添えておきます。🤭
好きか嫌いかで言ったら
たけしが書いた純愛
無駄って、無駄じゃないってこと。
昭和(平成?)あるあるで、
彼女に電話かけようとして家電にかけたら
彼女の親父が出てめちゃくちゃ緊張した。
ってのがあるじゃない。
それを経験した40~60歳くらいに刺さる映画です。
話したいのに話せない。
どこにいるのか分からない。
待ち合わせしたのに会えない。
次の約束もとりづらい。
あの人はどう思っているのか分からない。
そんな”無駄”な時間でこそ、
相手への想いは募るもの。
美味しいコーヒーならスタバでウーバー頼めば?
立体図面見たきゃデジタル3Dで作れば?
どっか行きたいならGoogleマップ見れば?
〇〇パフォーマンスという価値観の裏側にこそ
もしかしたら本質が宿っているのかもしれないね。
二人が出会ってから、今日、手を握ってもらうまでの
数年間のうちで、一番深く心を通わせたのは
きっと最後の一年。
車いすに乗って、四肢も動かず、表情も作られない
意思の疎通どころか聞こえているのかどうかも不明。
そんな人に愛情注ぐのって”無駄”じゃない?
デジタルネイティブとかZ世代とか言われた人たちは
そう思うのかしら?
人を愛するとはこういうことかと改めて感じさせる
時間とお金の無駄でした
静かな恋愛映画
糸電話の答
なんでタケシが?
感性が結びつけた二人
みゆきが携帯もスマホも持たなかったのは、不幸な出来ごとに遭ってしまい、そのことから「時間を止めたかった」(=外界からのダイレクトなアクセスを止めたかった)から、ということのようです。
外からの刺激を断ち切って、静かな内省を大切にしていたいという心情だったのでしょう。
とかく人間関係の複雑さから心を病んでしまう人も少なくない昨今、彼女のような生き様(ざま)も、それはそれで、ある意味「正解」とといえるのではないでしょうか。
否、むしろ、本作のみはるのように、自分の心に正直に生きることがもしできれば、本当に毎日の生活は素敵だろうなぁとも思います。評論子は。
そして、彼女の(その頑なな?)気持ちを融かしたのは、彼女と同じような感性を持ち合わせていた水島との出会いだったことも、疑いのないことと思います。
水島にしても、他の連絡手段を聞き出そうとしたり、彼女が携帯を持たない理由を糺(ただ)そうとしたりはしない―。それは、彼女を彼女のあるがままで受け入れるという、彼の素直な心根の表れでもあったのだろうと思います。
他方、当のみゆきの側でも、携帯を買って、止めていた時間を、また動かそうとしていた―。
まるで「同じ感性」という糸で結びつけられたような二人の心根の温かさが画面を通して伝わってくるような、充分な佳作であったとも思います(作中の糸電話が、その「糸」の示唆だったというのは、たぶん、評論子の考え過ぎでしょう。)。
(追記)
作品の本筋とは関係がないのですけれども。
持つべきものは友人だと、改めて思いました。
折に触れては水島を支え、励まし、慰め、そして決定的で残酷なものではあったものの、貴重な情報をもたらして水島を助けたのは、他ならない彼の友人の山下と高木でした。
「親しき仲にも礼儀あり」とは言うものの―。
気さくに、時には(ある意味)乱暴なことも言える関係性というものは、何にも替えがたいものだとも、改めて思いました。
別作品『素晴らしき哉!人生』の「友ある者は、人生の敗残者ではない」というのは、間違いなく、こういうことを言うものだとも、改めて思います。
(追記)
日時を約束して喫茶店で待ち合わせ…メールやSNS(デジタル)で連絡を取り合わないというまさに「アナログ」ですなぁ。
評論子もひと頃は、まだ学校にいるうちに「何時ころ」と約束をしておいて、彼女の家に電話すると、タイミングよく彼女が電話を取ってくれる…まさに「昭和アナログ」でございました。
二つ三つタップして、すぐ彼女(彼氏)と話ができるのは、考えてみれば、なんと味けのないことでしょうか。
たまにタイミング悪く家族が電話を取ってしまうこともありました。
お母さんが取ったときは「はいはい、娘ですね。少しお待ち下さいね。」と、何の問題も起こらないのですけれども。
これがお父さんが取ったりすると「ウチの娘に何の用だ。悪い虫でもついたか。」とでも言わん気なけんもほろろの対応だったりもします。
そういう苦難が、二人の愛を育てていたと考えるのは、評論子の単なる思い過ごしでしょうか。
(追記)
同じく女優さんと言っても、モデルのご出身だけあって、一つ一つの所作が美しかったですね。みゆき役の波瑠は。
評論子に言わせれば、女優さんと言えば、まずは、なんと言っても別作品『クレイマー、クレイマー』のジョアンナに恋をしてから、メリル・ストリープの一辺倒だったのですけれども。
また一人、素敵な女優さんを知ることができたとに思います。
これも、本作を観ての「収穫」の一つではあったと思います。
今のひねくれた私が純粋なラブストーリーに耐えられるだろうか、とあま...
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