「北野たけしだからこそ描けた、純愛物語」アナログ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
北野たけしだからこそ描けた、純愛物語
原作が、あの北野たけしというのは、本当に驚かされるピュアなラブ・ストーリー。しかし、携帯もネットも無い時代を生きてきた、北野だからこそ描ける物語でもあったと思うし、昭和を歩んできた自分から視ても、非常に共感できる作品でもあった。
いつでもどこでもLINEで連絡が付き、あらゆる情報がネットで手に入れることのできる、デジタルな生活が染みついてきた現代社会。こうした昭和の匂いのする、スマホを持たない恋愛を若者はどう視るのだろう?公衆電話で100円玉を用意して、ダイヤル回し、彼女の父親が出たら何と言おうと、冷や汗かきながら電話していた青春時代が懐かしい(笑)
個人的な見方だが、原作よりも映画の方がストーリーに入り込めたし、感動も大きかった。おじさん一人で観たのだが、後半は目頭に熱いモノが溢れてきた。それは、主人公のみゆきを演じた波留が、原作のイメージ通りの、清楚で、揺蕩う中に謎を纏い、それでも凛とした美しさを備えた女性を見事に演じていたからなのだろう。特に、立ち姿や姿勢の良さが、より一層の美しさを引き出していて、改めて、波留の魅力を感じた。
また、水島を演じたニノの、みゆきを前にした微妙な距離感も切なく、この2人のコンビだからこその、より透明感のあるアナログな世界観での純愛物語を作り出していた。そして、脇を固めた水島の親友・高木を演じた桐谷健太と山下を演じた浜野謙太が、多分、アドリブかましながら、みゆきと水島をしっかり支える役所に、とても好感が持てた。
但し、みゆきが水島の前から居なくなった後の描き方は、「実際は、こんなに美しいものではないだろう」というのが、正直なところで、「そこは映画だから仕方ないか…」と、現実的な思いには、蓋をした。それを差し引いても、久々に私達世代からしたら、共感度が高い作品となった。
みかづきさん(^^)コメントありがとうございます😊
今の時代だからこそ、こうしたアナログな世界観が、見直されときているし、大事にしたい部分ですよね。特に、携帯やパソコンがない時代に青春時代を過ごしてきた自分達には…。
共感ありがとうございます
仰る様に、アナログ時代を生きてきた北野監督だからこその原作だったとは思いますが、恋愛における間の大切さを教えてくれる作品でした。
現代のように、いつでも連絡が取れ会うことができる時代も良いのでしょうが、連絡が取れない、週に一度、木曜日にしか会えない本作での二人は、会えない時=間が、相手を想う、愛の熟成促進期間になっていたと感じました。忍耐は必要ですが。
何と言っても、本作は、波瑠と二宮和也の作り出す雰囲気がGoodでした。二人の持ち味が存分に活かされていました。この二人が本作には最適役だと思いました。
因みに、私も、カミさんとは遠距離恋愛でしたので、カミさんに連絡が取りたくて電話をすると、ご両親が電話に出て、冷や汗をかいたことがあります。今となっては懐かしい思い出です。
では、また共感作で。
ー以上ー