「ワイングラスのビール」アナログ サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
ワイングラスのビール
映像はものすごく綺麗で、ニノの演技は自然体で最高だし、ストーリー構成も良ければ音楽もいい。だけど、どうも物足りない。殺しとか犯罪とか壮大なアクションだとか、そういうのを最近見すぎているからだろうか。このあまりにシンプルな脚本が、どうも好きになれなかった。
予告を見て抱えた違和感。「どういうことなんだろう?」を払拭するために劇場へと足を運んだわけですが、どれもこれも想像の範囲内。驚きがほとんど無いため、感情もイマイチ揺さぶられない。ビートたけしが書いたとは思えない、すごく上品な恋愛ドラマではあったものの、〈アナログ〉というタイトルの深さはそれほど感じられなかった。いや確かに、こんな世の中だからこそスマホを持たない恋愛は儚く美しいよね、と言いたいのは分かるけれど、にしてはそれにまつわるエピソードが薄い。頭に残るようなインパクトのあるシーンが見受けられなかったのも、このなんとも言えないモヤモヤの原因。
前述の通り、映像は異常なまでに美しい。
「鳩の撃退法」のタカハタ秀太監督による演出、編集、役者陣の引き出し方は、例え恋愛映画になろうとも文句のつけどころがないほど完璧。特に、笑いを起こし、親近感湧かせるような、ぶった斬るカット割りはかなりいい。日本とは思えない、異国のようなカフェやバー、風景。それもまた、監督による見せ方の上手さあってのものだろう。
桐谷健太と浜野謙太のケンタコンビによる、華麗な漫才も見どころ。本作、恋愛パートよりも友情を描く場面の方が見応えがあって面白い。40になっても中学生の頃から変わっていないような、世話を焼いてくれる友達って羨ましいな〜。本当の家族かのように、主人公のそばにいて見守ってくれる2人。ラスト際の表情と明かされた真実には、非常にグッとくる。この3人のトリオ漫才、また見てみたいな笑
印象に残るかと言われればかなり微妙な感じだけど、作りは丁寧で見やすい作品だったので、個人的はラーゲリよりオススメできるかも。ただ、所々で疑問点があり、ラストに至っても残念な終わり方なため、全体を通してみればこの点数。結構泣いている方多かったけど...すまん分からん。ビートたけしだから意外性のある映画と勝手に想像してたけど、予想外に王道ラブストーリーでした。ニノ好きはぜひ。