「With」アナログ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
With
たけしさんの恋愛小説なんてあったんだってところに惹かれて鑑賞。3連休の最後なのもあって人入りは中々でした。
まさに運命な出会いからアナログな付き合い方、そこからの2人の様子を淡々に描きつつも叙情的にさせられるシーンが多く詰まっており、心がキュッとさせられました。
自身のデザインをもとに作られたカフェで出会った女性が内装の変わったところを気にしてくれたのをきっかけに、カフェで落ち合ってその度にどこかへ出かけるを繰り返していた悟とみゆき。連絡先を交換しようと持ちかけたら、みゆきは携帯を持っていなかったので、毎週木曜に集まりデートをする約束をした2人。アナログな付き合い方の裏にはみゆきの抱えている過去があって…といった感じのあらすじです。
悟とお母さんの関係性も素敵で、互いに気兼ねなく話せて、互いのことをとっても大事にしている温かい雰囲気が伝わってきて、一緒に海に行こうという約束するシーンなんかジーンと来てしまいました。全面的に押し出される家族愛よりも、ソッと挟まれる家族愛には本当に弱いんです。ここかなり涙腺が緩みました。
いつか自分の親とも別れが来てしまうのかという考えたくないことも過ったりと、親孝行もっとやっていきたいなと心を引き締めてくれる大事な場面でした。
悟はどんどん惹かれていき、どんどん仲が深まるごとにみゆきの事ばかり考えて惚気ちゃうかわいい一面も見せてくれます。
そんな中、コンサートに誘った際に思わず飛び出していってしまったみゆき、その事情も明らかになって、逝去してしまった旦那が弾いていた曲で、みゆき自身も名前を偽って生活しており、そこで悟と出会ったという事実がみゆきの交通事故の一報により明らかになりました。王道な展開かなと思いましたが、少し捻ってあって良いスパイスになっていました。
そんな2人が言葉が通じずとも、前向きに2人の時間を過ごしているうちに、小さな小さな一歩を踏み出して物語に終止符が打たれ、海をバックに2人が家に帰るショットが美しかったです。
飯テロ力はかなりのものを持っていて、序盤の朝食も美味しそうでしたし、焼き鳥のパワーやパスタのパワーなんかも絶大で、映画に出てくるご飯が魅力的な映画に悪いものは無いという自分の中の評価基準にビターンっとハマってくれました。
内澤さんの音楽も素敵なものばかりで、改めてandropの音楽を聴き倒しています。
役者陣はもう名演技だらけで満腹です。
ニノがこの手の役をやるのは何だか久々に観る気がしますが、少し見栄を張って背伸びをしようとしたり、サプライズを用意しようとしたらアタフタしてたり、それでも決めるところはバシッと決めるカッコよさも持ち合わせており、涙も笑顔もとにかく最高でした。
波瑠さんもまた神がかっていて、ドイツ式の挨拶と言われてハグなんかされたらもうイチコロですし、所作の一つ一つが本当に美しかったです。事故に遭った後の空っぽな感じがもう絶妙で、表情から辛さ悲しさが強く伝わってきました。
リリー・フランキーさんの静かに見守ってくれるマスターがもうドンピシャすぎてたまらなかったです。何か言葉をかけるのかなと思いきやかけず、そろそろ言うかなと思いきや言わず、もどかしい関係性を楽しみつつも悟とみゆきの居場所であり続けた優しさが心に沁みました。
桐谷さん、濱野さんの腐れ縁コンビも悟の心の拠り所になっていたなと思いました。ちょっかいと言いつつも偶然含め2人がいると悟がリラックスしているようで朗らかな絵面になっていました。
思っていた以上にしっかりした恋愛劇で、考えさせられる事も多く、とても良いものを観たなと思いました。編集のクセがちょっと難がありましたが、全体的にまとまっていて面白かったです。2人の旅路がどうか幸せでありますように。
鑑賞日 10/9
鑑賞時間 11:40〜13:55
座席 L-9
お母さんがすぐに亡くなってしまったのが気の毒でした、最初、波瑠さんはお母さんの転生?とか疑ってたので。もっと二人にアドバイスして欲しかった・・甘い物好きだったんですかね。