「斬新さはないが心に染み入る良作に出会いました」アナログ コモさんの映画レビュー(感想・評価)
斬新さはないが心に染み入る良作に出会いました
冒頭の、朝起きて飼ってる魚に餌あげて土鍋でご飯炊いて糠漬け出してきて切って、ちゃんと和定食な朝ご飯食べて美味しいといちいちニヤニヤするシーンだけで、いわゆる丁寧な暮らしを頑張らずにしているタイプの主人公なんだと分かりました。
鈴木浩介さん演じる上司の英語だらけの「何が言いたいのかわからない」ミーティングシーンの着信音からのスピーカーで一回こちらを笑わせてくるところも、憎かったです。
そこからデザインの仕事を頑張っていて、実力もあり、なのに欲がなくて英語上司に手柄を横取りされてるお人好しだというのも後々のシーンに説得力を生みます。
そんな主人公のニノがデザインして、通っているカフェ「ピアノ」での出会いからのシーン、見事でした。
親友が物作りが好きですが、ああいう人は特有の感性でモノを見ていて「そんな細かいとこ!?」にいたく感動したりする変な人なんですよね。
でもそれを分かり合え、話せる相手に出会うという。
手柄の横取りをヘラヘラしている男がカミソリまで買って、1人どしゃ降りで会いに行き2人は始まります。
少しずつ近くなる距離、増える笑顔、下の名前で呼ばれるくすぐったさ、触れられたドキドキ、会えない時間のもどかしさと思い出す幸せ。
ラブストーリーの王道をひた走るトキメキのシーンは本当に幸せな気持ちになりました。
焼き鳥屋のシーンも最高で、男子3人組の良さと可愛い範囲のダメさが光っていました。
海辺の糸電話、聴こえてるんじゃないかなって私は思ってました。素敵なシーンでしたね。
そこから悲しい展開になるのは、ドラマチックなのは分かるんですけどね…何でただ幸せになる物語は映画になれないのかなぁって思ってしまったわ。
ラストシーンの木曜日。
これから、回復していくことを示唆していると私は解釈しました。
これからは2人で生きていく、丁寧な暮らしを。
【追記】
波瑠さんのバイオリンはドラマ「G線上のあなたと私」以来でしたが、作中のとことん品がある絵と相まって素晴らしい仕上がりすぎました。
このドラマも素敵なのでもし読んで気が向いた方がいましたら本気で強めにお勧めします。
共感ありがとうございます
改名されたようなので、改めて御挨拶を。
私、10年位前から、キネマ旬報、kinenote、Yahoo映画レビューなどに映画レビューを投稿しています。現在の目標は2回目のキネマ旬報掲載です。
改めて、宜しくお願いします。
本作、確かに斬新さはありませんでしたが、丁寧に大切に愛を紡いでいく純愛ラブストーリーでした。二人の愛と同様に、作品も丁寧に作られている感じがしました。
終盤を悲しいものにするのは、この手の作品の定番ですが、ラストで希望の光が二人に差したので安心しました。確かに、敢えて悲しいところが必要かと問われれば、明確な回答はないですね。
長年の映画鑑賞経験上で言わせて頂くならば、喜怒哀楽のある作品の方が観客の感情は起伏は大きくなり、感動も大きくなるということでしょうか。
さらに、我々観客は喜怒哀楽のある人生を過ごしていますので、喜怒哀楽のある物語の方が自然で感情移入し易いのではないでしょうか。
では、また共感作で。
ー以上ー