「【”海岸で糸電話で君に告げた言葉と彼女の答え。”今作は気品溢れる、一途なまでに相手を想う恋物語である。若き名優、二宮和也の不安や哀しみを抑制した姿で演じる姿に魅入られる作品でもある。】」アナログ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”海岸で糸電話で君に告げた言葉と彼女の答え。”今作は気品溢れる、一途なまでに相手を想う恋物語である。若き名優、二宮和也の不安や哀しみを抑制した姿で演じる姿に魅入られる作品でもある。】
■デッサンを書く際に、ステッドラーの鉛筆での手書きに拘る建築デザイナーのサトル(二宮和也)は、自身が内装を担当した喫茶店”Piano"で、偶然出会ったみゆき(波留)に恋をする。
そして、二人は”みゆきが携帯を持っていないので”毎週木曜日に喫茶店”Piano"で会う約束をする。
◆感想
・サトルは、朝食は釜で米を炊き、ぬか漬けの胡瓜を手慣れた手つきで添えて美味しそうに食べる。
会社でも、図面はステッドラーの鉛筆で手書きで書く。しかも鉛筆はナイフで自ら削ったモノである。
ー これらのシーンを見るだけで、嬉しくなるし、彼の実直で仕事に拘りを持つ人柄が伺える。-
・そんな彼が喫茶店で、みゆきに出会うシーン。彼女はサトルの拘りの内装を的確に褒め、嬉しくなったサトルは彼女の母から譲られた水色のバッグを”センスが良い”と褒める。
ー 二人の相性の良さが分かるシーンである。-
・サトルの小学生以来の親友、高木(桐谷健太)と山下(浜野謙太)の存在も良い。重くなりがちなテーマの中、二人の明るい存在が良きアクセントになっているし、後半での彼らが果たした行動は、正に真の友情である。
・どこか謎めいたみゆきだが、二人で海に行って糸電話で話をしたり、蕎麦打ち体験をしたり、良い感じで関係は続くのだが、クラシックのコンサートで二人でデートに出掛けた際に不意に涙を流して席をたってしまう。そしてある日突然彼女は、喫茶店に来なくなる。
ー ここで、何となく展開が読めてしまったが、そこは突っ込まずに鑑賞続行。-
・ある日、大阪転勤を受け入れたサトルの元に、東京から高木と山下が険しい表情でやって来る。
それは、みゆきが世界的バイオリン奏者で、音楽家のドイツ人チューリングと結婚していたが、そのドイツ人が急逝した事。名前も偽名だった事。そして、日本に帰国後は音楽活動を一切辞めていた事であった。
更に、彼女は交通事故に遭い、脳障害と下半身不随になっていた事・・。
ー ”みゆきが携帯を持っていない”理由と突然消えた理由が氷解するシーンである。序でに必死に涙を堪える・・。-
■サトルはみゆきの姉(板谷由夏)に会い、みゆきと会わせて欲しいと頼む。そして、みゆきの日記を読ませてもらうのである。
日記には、心が空虚になっていたみゆきが、サトルと出会った喜びに溢れている文章が綴られている。涙が出そうになる。
そして、サトルは断られつつも、みゆきに会いたいと願う。そして病院で会った、無表情に車椅子に座るみゆきの姿。
再び、涙が出そうになる。”どれだけ、みゆきを不幸にするんだよ!”
だが、サトルは彼女のリハビリの手助けをするようになる。
サトルは会社を辞め、独立し、且つてみゆきと出かけた海の傍に家を建てるのである。
<そして、年月は過ぎ木曜日には、サトルはみゆきの面倒を見続けていた。そして、ある日あの海岸に行った時に、みゆきがサトルの手を握り、微かな声で言った言葉。”今日は木曜日なの?”
その言葉を聞き、サトルの眼から出る大粒の涙・・。
今作は、見る側に愛の本質(相手の身体の状態が変わっても、相手を想い続ける大切さ。)を問い掛ける作品なのである。>
鑑賞中は気に留めてませんでしたが、確かに鉛筆、手で削られてましたね。
言われてみれば、鮮明に思い出せる。
細部まで行き届いた人物造形が、作品に確かな奥行きと説得力を与えていたと改めて感じます。
ありがとうございます。
おでんくんは、どこかで見たことあるような、ないような。
悪役からいい人まで、リリー・フランキーの演技の幅には、驚かされます。それでいて、脇役に徹するところが、またすごい。
こんにちは。
いつもありがとうございます。
いい感じの作品でしたね。
携帯を持たないことで…
"会えない時間が愛育てるのさ”
というフレーズが浮かびました。
…昭和ですね(笑)
会えない時間があって会いたい
という気持ちが募り想いが段々と強くなっていくんですね。
会いたい。会わせてください。
のところは一番感動しました。
素敵な作品でした。
まだ起きてますよ~
私もラーゲリー、浅田家、他にも観てるんですが、アイドル二宮和也のイメージが強くて…ですが、本作で彼の見方が変わった気がします。
波瑠さんも良かったです!
おやすみなさい🙇