ダークグラスのレビュー・感想・評価
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潔くB級に徹している
演出、シナリオ、カット割り全てにおいて良い意味でのB級感。気持ちが良いくらい。犯人も出てきた時からわかるし、蛇関係ないのに面白い。何も考えない休日に映画館で観るから面白い。テレビの配信では全くつまらないだろう。
映画好きのための映画。
ホラーで泣く
1.ホラーなのに目がウルウル
2.これはハイジ系の犬映画かも
3.一番怖かったのは川のヘビ
4.ブリーダーは犯罪を犯しやすいかも
5.イレニア・パストレッリのスタイルとロケット美乳は加点ポイント 頭に包帯グルグルのほぼすっぴんも加点ポイント。
6.子供は早合点をしやすいけど、そこを大きな展開の起点にするストーリーはグッド👍️
7.オジサンたちの悲哀も加点ポイント
8.ニンテンドーは喜んじゃうかも
9.警察犬と盲導犬の2つの能力を併せ持つ設定は許す
10.後頭葉をやられると見えなくなる
盲目
ダークグラス
ダリオアルジェントの作品は
それこそ「サスペリア」と「ゾンビ」ダリオ監修版。は
観たことあります。
10年ぶりの作品つーことで
鑑賞しました。
え、普通に楽しい。
普通に面白い。
ちょっとグロいけど手作り感ある血しぶき描写が味わい。
イタリアにはセレブな娼婦がいるんですね。
主人公も内心、優しいんだよね。特に子どもには。
ツンケンした娼婦じゃないのが中盤から分かってくるのが良かったです。
いわゆる連続殺人鬼から街から郊外へ。そして森の中へ。
盲目の主人公と相棒の少年とのコンビは
THE定番なんだけど非常にテンポも良くて音楽も良くて
見やすいホラー映画でした。
これが遺作にならないように
ダリオ・アルジェント監督10年振りの監督作品「ダークグラス」を見てきました。前作の「ダリオ・アルジェントのドラキュラ」から10年経つんですね・・・・
また、ダリオ・アルジェント監督が本作品のコメントで「数年前に想像したものの、制作することができなかった作品です。でも頭から離れることはありませんでした。バイオレンスでくだらない作品を求める市場での需要に左右されることが難点でした。一方で、ようやく自分の悪夢との和解を経験することができました」なんだか凄く期待できると思い見に行ってきました・・・・
まずは、本作品・・・・ダリオ・アルジェント監督の遺作にしないでね・・・とひと言・・・
正直、内容ですが、全編、内容に沿った好都合主義に出来過ぎていて、何とも・・・・
主演の女優さん、助演のアジア系の少年の演技の悪さにイライラ・・・・
どうしょうもないラストで、最後は笑うしかない・・・・
要所要所のアイデアは分かるんだけど・・・効果的ではないし・・・
前半にこそアルジェント節があり、アルジェント監督ファンは嬉しい演出はあるものの・・・
何ともスタイリッシュなアルジェント監督作品には及ばないね・・・
映画を撮る情熱は決して年齢は関係ないと思うので、本作品を遺作にせず、アルジェント監督らしい究極のサスぺンス映画をもっと見れるように期待している・・・・
なるほどね、イタリア映画のホラー映画は独立しているのね…。
今年120本目(合計771本目/今月(2023年4月度)15本目)。
ホラー映画といえば日本映画や韓国映画が大半で、イタリア映画でホラー?というと結構珍しいのではないかと思うのですが(シネマートで見た「殺しを呼ぶ卵」くらい?)、このタイプの映画(イタリアのホラー映画の類)を「ジャッロ」というんですね…。
最初は目が不自由になった女性とその女性とかかわりのある子のお話、後半が「ある動物」(目が不自由になった方が一般的に連れている動物は、何でしょう?)という1作品で2つのテーマが入っているお得な映画です。
一応、PG12の扱いですが、PG12の中でも一部描写にひっかかったかなと思える部分はありますが、エログロの類はないのでそこは大丈夫です(「グロい」といっても、PG12なみになっています)。
イタリア映画といえば、ラブストーリー等が多いかなという印象ですが、このような映画も良かったです。
減点まで見出しにくいのでフルスコアにしています。
鮮血もエロスも少しはアルジェント
空きっ腹に血
特に事前情報は入れずに鑑賞しましたが、結構好きな作品でした。
娼婦のディアナ客の男性の匂いを指摘したことによって、その客が超暴走でストーカー殺人を起こしていく物語です。煽り運転を食らって事故り、失明してしまい、事故で亡くなってしまった一家の子供のチン結果的に引き受けて…みたいな感じでポンポンと物語は進んでいきます。
出血量はそこそこで、最初の首切りでドロッドロ血が出ますし、ポンコツ刑事たちの1人は車にポコっとぶつかっただけで顔は血まみれで死にますし、もう1人は半ドアを顔面に食らったあとナイフで思いっきり刺されるという対応力の無さに笑いました。
ストーカー男の執念は凄いもので、とにかくどこまでも追いかけて来る気持ち悪さは抜群です。そこまでの道中でディアナと関わる人物は見事に全員殺していくのもナイスです。殺されたカウンセラーは可哀想でしたが。
盲導犬のはずなのに、殺傷能力抜群のワンコなので、ストーカー男の顔面をめちゃくちゃに引きちぎる映像が長いこと展開されます。やめて〜って言ってるのに言う事を全く聞かないのは相当ヤバいのでは?と思いつつ、そのやり過ぎな感じにまた笑いを誘われました。遺体を見た警察が同情するくらいなので、よっぽどです。
終わり方は無事にチンを香港のいとこに引き渡して…みたいな感じで終わります。いとこもうちょっと待ったれよと思うくらい早足で連れていきますが、ディアナも幸せなお別れなので、丸く収まったから良いかなと思いました。
音楽も良いですし、テンポも悪くないですし、楽しめました。映像が暗過ぎて見づらいのが難点ですが、グロ耐性が余裕である人はキャッキャして楽しめるかもしれません。水蛇は一体何だったのか…。
鑑賞日 4/11
鑑賞時間 18:20〜19:50
座席 F-7
タイトルなし(ネタバレ)
イタリア・ローマ、赤いドレスで自動車を駆るディアナ(イレニア・パストレッリ)。
道行く人々が立ち止まって、天空を見上げている。
何が起こるのか・・・
果たして、起こったのは日食。
不吉な予感。
ディアナは高級コールガール。
いつものように仕事をすませたある日、殺人鬼に狙われる。
巷をにぎわす猟奇的コールガール連続殺人事件の犯人だ。
自動車で逃げたディアナであったが、運悪く、交差点で他車と衝突。
相手は中国人家族だった。
ひとり軽傷だった少年チン(シンユー・チャン)は施設に引き取られ、チンを見舞ったディアナだったが、彼女は事故の後遺症で全盲になっていた・・・
といったところからはじまる物語で、ダリオ・アルジェント監督的にはオカルト要素を排し、初期の『わたしは目撃者』『4匹の蝿』などの系列の映画。
10年ぶりの新作なので、もう文句を言う筋合いではなく、「素晴らしい!」と絶賛すべきところだけれど、意外とフツーの映画に仕上がっていました。
主人公ディアナの、そのものズバリでない色気とか、チン少年との信頼関係だとか、殺人鬼に追われての逃走劇とか、演出や物語に大きな破綻はなく、かえって「あれ、アルジェント的なのかしら、どうかしらん」な物足りなさを感じないわけでもない。
音楽は70~80年代のプログレロック的で、アルジェントっぽい。
ま、破綻しているといえば、終盤、チン少年と連れたディアナが逃げる先が森の中ということぐらいか。
全然、盲目ヒロインの設定が活きないような、反撃もできないような設定。
ただし、『フェノミナ』の蛆虫攻撃に似た、川の淵でミズヘビに絡まれピンチに陥るという本筋と関係ないヒロインいじめが展開するあたりは、アルジェント御大の不変さを者がっているのかもしれません。
終盤は、ヒロイン組と殺人鬼の格闘。
遂には・・・の描写は、盲導犬協会が激怒しそうな描写ですが、アルジェント御大ですから、ご容赦願いたい。
と、傑作とか秀作とかではないけれど、それなりに満足。
ですが、若い世代にも受けるかしらん。
盲目になったヒロインを助ける女性リタ役で、アーシア・アルジェントが出演しています。
『古典』・・・とでもいうのだろうか?...
所謂スプラッターホラーの大御所の最新作
ジャンプスケアの技法は使用していない為、心臓には悪くない作品である
何となく真犯人が透けて見える所もご愛敬であるし、シンプルな構成と、アジア人とヨーロッパ人を無理矢理でも融合する姿勢は評価したい
何より、そんな人種問題よりも、"動物万歳"作品では有るのだがw
それにしても裸一貫で奮闘する彼女たちに、尊敬以外になんの感情も湧かない リスクを背負うというテーマは、同日に観賞したナイキの映画でも取り入れられていたから・・・
面白かった
主人公が非常に魅力的。これ以上ないしんどい状況で、判断力も機転も効かせようもなくただ焦るばかりなのがとてもよかった。この監督の映画では、こうした主人公を守り危機を救う存在が大抵の場合、唐突に出現して、それが全体のトーンとアンバランスであっても大きな美点と感じることが多かった。今作では物語上ごく自然な流れで、少年と犬、そしてアーシアが彼女の支えとなる。彼らとのシーンを丁寧に描いているのが素敵。監督も老齢となり、突飛なアイデアや異常なテンションの演出等はさすがに影を潜めたが、映画自体が発する独特な味わいはそんなに衰えていないと思った。伏線がどーたらとか、物語の整合性みたいな物差しでしか映画を評価できない現代の日本で、彼の映画を待つ人が何人いるのかは分からないが、配信などでなく劇場で見ることができたのは奇跡に近い。
アップデートしないダリオ・アルジェントのスリラー映画
アルジェント10年ぶりの新作、ついに封切り。「ジャッロ」映画の帝王が帰ってきた!
まあね、映画の出来栄えなんて、ぶっちゃけどうでもいいんですよ!
心から敬愛してやまないダリオ・アルジェントが、80過ぎてまだお元気で、ジャッロみたいなジャンル映画の世界にまたはりきって帰って来てくれたってだけで、熱狂的ファンとしてはもう十分お腹いっぱいなんで。
ついでに出来も良ければなおよかったんだけど、この監督が下駄を履かせずとも誉める余地のある映画を撮ったのってたぶん『スリープレス』(の前半部分)が最後くらいなので(笑)、裏切られるのにはもう慣れたし、もはやなんとも思いません。
そもそも、アルジェントは『サスペリアPART2』と『サスペリア』を撮ったってだけで、映画史に爪痕を残したどころか、永遠に語り継がれるべき偉業をとっくに成し遂げているわけで、その後の「余生」でどれだけカスみたいな映画を撮ろうが、凡百の輩にとやかく言われる筋合いなど1ミクロンもない。
生きている間、アルジェント御大には好きなだけ、好きなように映画を撮り続けてもらえたなら、それでいいんです。
ただ今回の新作で、人殺しに「色気」がまるで感じられなかったのは、なんかすごく残念だったなあ。
タメもなんにもない「記号」のような殺人。始まりは唐突で、残尿感だけが強い、センスのかけらもないスラッシャー・シーン。
「性欲」といっしょで、「殺人美学」ってのも「加齢」とともに薄れちゃうのかな。
アルジェント・ジャッロの最大の魅力って、「殺す前」の「前戯」の艶めかしさにこそあったのに、いきなり挿入みたいな、えらく淡泊で味気ないものばかりになっちゃってる。
そのあといくらグロシーンをやっても、出だしがダメだからそそられない。
なので、本当はどんなひどい出来でも「コンフェッション(信仰告白)」として5つ星つけてもよかったんだけど、あえて3つ星にしてみました。
それでも、非アルジェント・ファンから見たら、十二分に「つけすぎ」だと思いますが、こちらとしては気分は「身内」なので、なんとかご容赦のほどを。
― ― ― ―
オープニングは、なかなかにいかしている。
シンメトリー感のある、ローマ郊外の遠景。
一転して、アオリで流れていく街路樹の梢。
運転しているのは、真っ赤な服を着た、真っ赤な唇の女だ。
(『シャドー』(82)の真っ赤な箱と真っ赤な靴を想起させる。)
アオリのショットで、自然と空に吸い寄せられる観客の視線。
気付くと、マンションのベランダや公園で、みんなが板のようなものをかざして、空を見上げている。
今日は、皆既日蝕。
だからみんな日蝕用の「ダークグラス」を通して、太陽が陰っていくのを観ているのだ。
広い公園の前で車をとめる女。
回りに人がいてもなぜか圧倒的な「孤独」を感じさせる、エドワード・ホッパー的情景。
女も鞄から「ダークグラス(サングラス)」を取り出して、一緒に日蝕を眺める。
日蝕――古来、「凶兆」として知られる、悪魔の天体ショー。
陽光に充たされた世界が翳り、薄暗闇に覆われたローマの遠景が再び映し出される。
そして彼女は、自分を襲う悪夢をまだ知らない……。
このあと、謎の殺人鬼に襲われて九死に一生を得たヒロインのディアナは、その代償として「失明」するに至り、盲人用の「ダークグラス」をかけることになる。
まさに、日蝕で世界から光が喪われたように、彼女の世界から光が喪われるのだ。
小道具をうまくつないでメインテーマにまでもっていく感じは、元気だったころのアルジェントのキレを(少しだけ)感じさせる。
総じての印象でいうと、街なかでのロケや、黒いサングラスの美女が冒頭で登場すること、コールガールが「淫売」として標的にされる展開、おっぱいポロリシーンの頻出など、前半の空気感は先に「赤色」の件で触れた『シャドー』とよく似ていると思う(「淫売狩り」というテーマは、『シャドー』と近いことをやろうと画策した『スリープレス』(01)とも通底する)。
殺人鬼がもつ首絞め道具は『サスペリアPART2』(75)や『トラウマ』(93)、殺人鬼が白いバンに乗って被害者を漁ってまわるのは『ジャーロ』(09)を想起させるし、きわめて唐突かつしょぼい水蛇襲撃シーンなどは『フェノミナ』(85)の虫や『インフェルノ』(80)の鼠の所業を思い起こさせる。
終盤、ド田舎のオープン・エアでいつ終わるとも知れない殺人鬼との追いかけっこがゆるく続くあたりは、『フェノミナ』のうまく終われなくてダラダラ延長戦やってる感じととても近しいものがある。
意味不明のイロジカルで悪夢的な展開とか、出だしが一番良くて後に進むにしたがってだんだん弛んで辻褄が合わなくなっていく感覚とか、マイナス面もひっくるめて本作は昔ながらの懐かしい「アルジェントらしさ」で満ち溢れている。
なんか、いろいろ置いて並べてある殺人鬼の机とか。
長い廊下を、バックショットでヒロイン追いかける一人称カメラとか。
俺としてはもう、それで充分といえば充分なのだ。
「ダリオおじいちゃん、久しぶりに会ったけど、あんまり変わってないじゃん!!」
懐かしさで、軽く泣きそうになる。
しかし、ヒロインのもとにやってくる盲導犬もひっくるめて、すべてがあの『サスペリア』の某有名シーンのセルフ・パロディをラストでもう一度やらかすための「壮大な伏線」だったとは、俺としたことが終盤まで気づかなかったぜ……!!(笑)
盲人を主人公としたサスペンス映画といえば、誰しもがオードリー・ヘップバーン主演の『暗くなるまで待って』(67)をいの一番に挙げると思うけど(『ドント・ブリーズ』とかひねくれた発言は禁止w)、アルジェントも実は初期に『わたしは目撃者』(71)という、カール・マルデンが盲人の元新聞記者として探偵役を務めるジャッロを撮っている。
ただ、ここでセルフ・オマージュを捧げられてるのは、間違いなく『サスペリア』のアレのほうなんだよね……(ちなみに、ルチオ・フルチの『ビヨンド』(81)にもそのシーンをパクったと思しき残酷シーンが登場する)。あと、『オペラ座血の喝采』のアレを掛け合わせてる。
結局、どうしても死ぬまでにもう一回だけ「アレ」をやりたくて、「盲人」と「サングラス」と「犬」の出てくる映画を作っただけなんじゃないのかっていう(笑)。
あと今回観ていて、アルジェントが現代のポリコレ的な要素にもきちんと順応してみせていることには、素直に感心した。
わざわざ中国人の少年を主要キャストに抜擢したり、昔ながらの腺病質そうな美少女じゃなくて、自らの意志で自立して生きるコールガールをヒロインとして出してきたり。
序盤で出てくる、ヒロインがレイプしようとした客に逆襲してボッコボコにするシーンって、たぶんサミュエル・フラーの『裸のキッス』(64)へのオマージュだよね? そういえば、あの映画に出てくる街の施設の子供たちも「多人種」だった。
今回アソシエイト・プロデューサーを務めた娘アーシアからの逆影響もあるのかもしれないが、パンフの矢澤先生の解説によれば、脚本自体は2000年代初頭にはすでに出来上がっていて、中国人少年のキャスティングでわざわざ香港まで出かけてたらしいから、当時からちゃんと「強い女性と外国人の少年が出てくる、被害者側に力点を置いた作品」を撮ろうとしていたわけだ。
えらいよなあ、アルジェント。
― ― ― ―
ということで、齢八十を過ぎてなお涸れ切らない「アルジェントらしさ」は充分堪能できたのだが、そうはいっても……やっぱり出来はかんばしくないよね。それは残念ながら認めざるを得ない。
やっつけ仕事感のある、薄味でコクのない殺人シーンにがっかりしたことはすでに書いたのでもう繰り返さないが、それ以上に、後半以降の作りというか、段取りの組み立てがいい加減すぎるのは、とても気になる。
いや、別に筋自体はめちゃくちゃでも全然かまわないんですよ。
そんな些細なことは最初から気にしないし、
アルジェントならいくら辻褄が合わなくたって俺は許す。
ただ例えば、あれだけ「携帯を置き忘れて逃げてきてしまった」ことをヒロインに強調させたあと某人物の死体を発見させて、観客全員に「ああここで携帯を調達するんだな!」と思わせといて、一切そんなことはしないとか、
そもそも殺人鬼から逃げる(もしくは隠れる)ことが目的で森に入ったのに、水蛇のところでバカみたいにギャアギャア泣き叫んで、案の定殺人鬼に気づかれるとか、ああこれで犯人に追いつかれちゃうんだと思ったら、全然追いつかれないとか、
いきなり少年が行方不明になって、観客に「そういや少年と一緒に銃もなくなってたよね、あれもって後で助けに来るのでは?」と期待させといて、さくっと再登場させるだけで銃のことは忘れたかのように話題にも出てこなくなるとか、
殺人鬼から逃げてる真っ最中に、中国人少年と実の母親についての話を唐突に始めたあげく、広っぱの真ん中で棒立ちになってお涙頂戴で抱き合ってるとか、
ホントこういうところはなんとかしたほうがいいと思うんだよね。
水蛇襲撃シーンも、ちょっとひどすぎる。
なんだ、あのダッサいCG?? もう少し、まともな業者と組もうよ。
前作『ダリオ・アルジェントのドラキュラ』で出てきた巨大カマキリもたいがいひどかったけど、今回のはタダの蛇なんだから、あそこまで手間はかかんないだろ? どうしてこんなにショボくなってしまうのか。
これなら、同じインチキ臭く蛇に襲撃されるにしても、川口博探検隊のほうが100倍スリリングだったってもんだよ。
それから、どうしても許せないのが、犯人の正体がなし崩しでわかっちゃうところ。
アルジェントって、どれだけ後年になって演出力が劣化しようと、「意外な犯人」を「最後にドーンと出す」というクリスティ的なフーダニットの部分はぎりぎり保つようにやってきてたんだよね。
でも今回の犯人露見シーンは、おざなりもいいところ。
なんとなく、ぺろっと出しちゃってる。
こういうことは、アルジェントにはやってほしくなかった。
あとたぶん今回のって、本当は「盲目」という限定状況と掛け合わせる形で、「におい」が謎解きのキーになるミステリーを志向していたんじゃないかと思うんだけど(ちょうど、とある「音」が謎解きのキーになる『スリープレス』と対を成すかのように)、そこがまるでうまくいっていないのが残念すぎる。
アルジェントの最大の魅力は本格ミステリー的な稚気の表出にこそある、というのが30年来変わらない俺の主張で、だからこそ『サスペリアPART2』や『シャドー』を愛してやまないわけで、この辺のミステリー性の劣化はしょうじき辛いなあ。
そのほか、最初の被害者の切られた首が太すぎやしないかとか、犬をああいうやり方で置き去りにするのはあり得ないとか(盲導犬に「お留守番」させるって発想自体がおかしい)、ヒロインが暗闇で利するために電球を割るシーンがあるのに肝心の暗闇で殺人鬼と対峙するシーンが一切ないとか、なんで他の人間はさくっと殺すのにヒロインと少年だけは拉致するのかとか、なんぼなんでもラストの殺人鬼との対決シーンはダサすぎるとか、言いたいことは山ほどある。ラストで明かされる犯人の動機も、ヒロインに執着する前から3人も殺してることを考えると、イマイチ整合性がとれていないような。
音楽に関しても、ゴブリン・ミュージックを軟弱化したみたいなパチもん臭さがあって、俺はぜんぜん受け付けなかった。
こういう脚本上の改善可能な部分や、ビジュアルエフェクトや音楽みたいな外付けの要素は、本当ならきちんとアーシアが目を光らせてブラッシュアップすべきだったし、もっと完成度を高めることは可能だったと思うんだけど……まあ、仕方ないね。
なんにせよ、アルジェントの新作が観られただけで満足って最初の言葉に、偽りはない。
ありがとう、アルジェント。また映画作ってくれて。
(ちゃんと劇場公開してくれた日本の配給元にも、心からの感謝を!)
次作とされるイザベル・ユペール主演映画も、完成が待ち遠しい。
いつまでもお元気で、マエストロ!!!
(悪い意味で)80年代っぽい映画
ダリオ・アルジェント10年ぶりの復帰作と聞いて鑑賞。シンセがバリバリに効いたBGM、ジャッロ感溢れる出だしに期待を持ちましたが…駄作でした。
①超絶無能警官
「フェノミナ」「サスペリア」などの超常ホラーではなく、純粋なサイコスリラーの筈の本作。警察を無能に描きすぎて、サイコホラーとしてのリアリティが皆無です。
犯人が格別高知能という設定でもなく、(しかも後半に行くにつれ突発的な凶行に出るのに)連続殺人を取り逃す。唯一の生存者なのに、主人公の身辺の張り込みや調査はおざなり。警官2人の殉職という沽券に係わる事態なのに非常警戒線を張らず、現場から持ち去られた警官のスマホのトラッキングはなし…。全てがバカバカしい。
②魅力的な設定、最低のキャラ描写
盲目の娼婦と孤児が疑似家族となり、殺人鬼に立ち向かう…。この設定自体は素晴らしいけれど、まるで活かされない。
スリラー映画のいち定型として、「逆転」のカタルシスがあります。社会的、或いは肉体的に弱い立場にある人間が、弱点と思われた特性を活かして逆襲に転じる。例えば盲目の主人公ならば、(古くは「暗くなるまで待って」などのように)暗闇を武器に戦う手が挙げられます。それに加え、相棒が子供ならアクションの可能性は無数にある筈。
それなのに後半は受け身の逃亡劇になり、締めはチート盲導犬が全部搔っ攫う始末…。前半のディアナは娼婦ながらタフで現代的な女性像だったのに、後半は悲鳴と泣き言しか口にしないので見る側の好感度も下がっていく。ドラマの組み立てが下手過ぎです。
③散漫且つショボいサービス
85分とジャンル映画の枠に収まる尺…なのに冗長さを感じる本作。理由としては本筋に絡まない無駄なシーンが多いところでしょうか。特に逃亡が始まってからの、沼地でのヘビ騒動→通行人との悶着→森ではぐれる→ダム管理棟でのプチ避難の下り20分は、まるまる要らないですから。
ただこれはダリオアルジェントが悪いというよりは、ホラー映画の水準が上がったということでしょうか。ブラムハウスやA-24なら社会風刺を絡める、クリストファーランドンやジョーダンピールならジャンルの脱構築を図る、と独自性がある。バイオレンス描写一つ取ってみても、韓国ノワールの肉体破壊は昔のジャーロを遥かに凌駕している。正直言って、いまどき首から大量出血って程度じゃショボいんですよね…。
結論としては、全くおススメできません。類似の設定ならば「見えない目撃者」が社会派・リアリティ・アクションのどれも比べ物にならないですし、ハードコア描写がお好きなら絶賛公開中の「オオカミ狩り」を観に行くべきでしょう。
犬は無事です
ダリオ・アルジェント監督作!
という時点で、話の整合性とか殺しの必然性とかはある程度かなぐり捨てる必要があります。
それと引き換えに、殺意満々なビートに乗った、妙に凝った殺人シーンをたっぷり楽しめるのが、ダリオ・アルジェントという監督の作品なのです
が…
なんでしょう、アルジェントさんやはりお年で枯れちゃったんでしょうか。
最初だけはやる気満タンの殺人シーンを見せてくれますが、その後は特に見どころもない逃亡劇がタラタラタラタラ。
血が出るシーン、数えるほどしかありません。攻撃方法もいたって普通。不気味な人形で陽動したり、有刺鉄線のプールに美少女叩き落としたりしてたあのアルジェントはどこ行ったの!?
そういうワクワク血祭りシーンがない代わりに話が練ってあるかと言えば全然そんなこともなく、警察はド無能だし主人公たちもいちいち意味なくトラブるし…
結局、プラス方向にアルジェントらしい点は、殺意満々の音楽と、たまに出るおっぱいくらいでした。
がっかり。
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