「「何者でもない自分」を生き続けられるか」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ 北方真獣類さんの映画レビュー(感想・評価)
「何者でもない自分」を生き続けられるか
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ハリウッドのリソースでミニシアター映画のような物語をしたから、大衆の支持は得られないだろう。
ただ、人生を描いた感情を揺さぶる良い作品だったと私は思う。
前作の最後で一躍ヒーロー(時の人)になったジョーカー。
何者でもない人生に苦しみ、唯一の救いの手も閉ざされ、孤独に追い詰められた末の飛翔だった。
今作では、時の人になったことで周囲に人は増えるものの、求められるのは偶像としてのジョーカーである。本当の自分に寄り添ってくれる者は居らず、アーサーの孤独は続き救いはなかった。
リーとの関係は、彼の逃避と孤独を増強したのではないか。歌が切なさを感じさせる。
「何者でもない自分」を生き続けることは難しく、SNS時代には余計だろう。だからこそ1作目は共感を呼んでヒットしたのだと思う。
今作は「何者でもない自分を生きる“現実”」を観客に叩きつけるものだった。ウケはしないかもしれないが、これこそ映画だと私は思う。
DCファンとしては、これほどに深い孤独を持つジョーカーを、決して殺すことなく追い続ける者(バットマン)がいたとしたら、2人は躍り続けるだろうなと思った。
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