劇場公開日 2024年10月11日

「that's entertainment」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ ごはんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5that's entertainment

2024年10月17日
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鑑賞方法:映画館

事前評価で大不評なんて聞いていて、確かに批判される感じはよくわかるけど、個人的にはアーサー、ジョーカーのその後として割と受け入れられた印象。
ただこのシリーズはこれで終わりにしてほしいし、そうじゃなきゃ本作を作った意味がなくなりそう。
まぁ評判的にアナザーストーリーとかでも続編等はないか。

「カートゥーンアニメ」
冒頭の何から始まるかと思えばまさかのカートゥーンで前作で起きたことの振り返りかつ、アーサーがジョーカーになった、アニメではジョーカーという影に乗っ取られたのがサクッと表現されていて良かった。
人によってはこの始まり方の時点で今回思ったたのと違うかもと思うかも。
思ってたのと違うとは思わなかったけど、意外な始まりは楽しかった。

「アーサーの初恋」
初恋ではないかもしれないけどそんな感じ。レディガガ演じるハーレークインとのこんな恋愛劇的なものが見させられるとは思ってなかった。アーサーが恋に浮かれてる感じはなんだか、アーサーにも春きたじゃん!良かったじゃん!って気もしたけど…まぁ結末はね…

「ハーレークイン」
ジョーカーの狂った狂気に飲み込まれて利用されていくようなのがハーレークインという印象だったけど、本作ではむしろアーサーが恋心と共に飲み込まれてしまった印象。
レディガガのハーレークインってどうなの?って思ってたけど、なんだか可愛らしい気もして想像よりも良かった。
また歌唱シーンはまぁ言わずもがな流石の歌声でした。

「良くも悪くも本来の自分以上のものになってしまったアーサー」
荒んだ奴らのシンボル的な存在になれたアーサーことジョーカーだけど、支持する人たちの中ではきっとアーサーという名前は認知されてないんだろうなぁ。
そしてジョーカーとしての振る舞いもなんだか前作のような感じはしなかった気がする。
アーサーがなんとか作り上げてるジョーカーというか…
はじめていろんな人に支持され注目を浴びスターのようになったアーサーは途中まで満更でもなかったんだろうけど、狂気を使い果たしてしまったというか…
ジョーカーがこんな形で支持されるなんて想定外だろうし…
どんな形であろうとスターであり続けるのも楽じゃないって事かな?
そして信者やファンが増えると期待に応えられなくなった時、恨みを買ってしまうんだなぁ…

「現実とミュージカルの妄想」
前作では現実とアーサーの妄想?の境があやふやでだからこそ、あれこれ考察なんかでも盛り上がったけど、
本作では現実と妄想(脱獄しようとするところは違うけど)の境が妄想や誇張部分はミュージカルで表現されているので、本当のことなのか?という考察の余地がない作品になっている。
また前作であやふやであった部分も法廷で全て答え合わせがされてしまうので、前作のような魅力はなかったのかも。
でもはっきりしているぶん割とスッキリ感はあったかなー
本作ミュージカル映画と言われるけど、分量的にそうなだけで、ミュージカル映画と言われるとなんか違うかなぁという気もする。

「前作の影響力をフィクションの中に収めさせるような作品」
前作は現実社会にも悪い影響を与えてしまうようなエネルギーやメッセージ性が、おそらく想像以上に生まれてしまった作品だったように思う。
ある意味落とし前をつけるではないけど、本作はそのある意味映画というフィクションから飛び出してしまったものを再び劇中に引き戻すような作品だったように感じた。
だからこそ、悪の権化のようなジョーカーやどこまでも落ちていくアーサー、荒れていくゴッサムシティなんかを期待していた場合には、本作はあまりにも期待外れな作品だと思うのも無理はないかと…

おそらく制作側もみんなが見たいジョーカーってこれじゃないと思ってそうだけど…
観客が求めるものじゃないのであれば、別に本作作らなくても良かったのでは?という気もする…

「結局悲劇だったのかも」
前作では人生が悲劇か喜劇なのか、何が正しいのか、自分で考えて決めろといったような感じがあり、そしてアーサーの人生は喜劇だったんだ!となったが、
ジョーカーからみるアーサーの人生は喜劇だったのかもしれないけど、結局アーサー自身の目線からは悲劇だったなぁと…
冒頭のアニメのようにジョーカーという影に乗っ取られてしまった自分をやっと取り返したと思ったらこれだもんなぁ。
でも最後に

「ラストの面会は」
あれは本当に誰かが面会に来ていたんだろうか?来てくれてるんだとしたら、ゲイリーだったらいいなぁ…
でもいつになっても看守が早く来いって戻ってこない事考えると誰も来てないし、看守もナイフ男もグルなのかな…
ナイフ男は次のジョーカーになるのかな…?

「総括」
作品の評価が芳しくない事は制作側もある程度折り込み済みなんじゃないかなと思う作品。(そんなことあるのか知らんけど)
ただそこまでして(?)ある意味アーサーをジョーカーからある意味救出したのかもしれない。
ただそれはジョーカーファンは望んでなかったんだなぁ…それは劇中の支援者、ハーレークインもしかり。
レビュー全体的になんだかなぁ…というテンションの内容になってしまったけど、1作目でジョーカーへとなってしまった、アーサーという男のその後の話という事だけで言えば、そんなことがあったんだね…って感じで個人的には別に期待はずれでも、嫌いでもない作品でした。
狂気に満ちたジョーカーもそれはそれで魅力的だけど、この物語のシリーズにおいて自分はどちらかと言うとアーサーのことが気になっていたんだろうなぁ。
ジョーカーが見たい人が見ると多分満足は出来ないと思うけど、アーサーの事が気になる人が見る分にはそれなりに楽しめるんじゃないかなと思う。
前作がthat's lifeに対してthat's entertainmentと言って、あくまで前作含めエンタメだから!と言われた感。

ごはん