劇場公開日 2024年10月11日

「“It's a show time!” by T.P.」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ Sueさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5“It's a show time!” by T.P.

2024年10月15日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

映画史に残るmaster piece “Joker” 第一作を盤石のbaseにして、Todd Phillips が仕掛けたentertainment show。歌姫Lady Gagaを迎えての今作、musical show としては、極めて中途半端、監督も想定内だろう。
だが、やはり圧巻のホアキン・フェニックスの演技、やや暑苦しいLeeの存在感ではあるが、流石の歌唱力で観る者を黙らせるレディ・ガガ。秀作である事に異論は無い。

導入パートのcartoon animeで、Jokerが自身のshadowに呑み込まれてしまう展開は、今作の全ての伏線となっている。
アーサーの骨の浮き出た悲しい背中を見つめ、“Comon Comon”で、でっぷりと中年太りのおじさんだったホアキンは、一体どれだけストイックに減量したんだろう、と目を見張る。
話題になっている、切り取られたアーサーの大笑いのシーン。私は、“この胸にヒリヒリと痛む哀しい笑いを、まとめて大売り出ししないで!” と心で叫んでいた。
裁判で証言台に座るゲイリーが、見て辛い。それまで、アーサーを被害者目線で見ていた我々も、まさにアーサーも、彼もまた、非力な弱者を力で威嚇する加害者であったことにハッとする。

第一作Jokerを10回観て尚、ホアキンの一挙手一投足、貧乏ゆすりにさえ、その度色褪せしない深い感動を覚える私だが、さて、今作では如何なものか?
胸のつっかえが晴れやかに解き放たれたような前作とは異なり、今回は胸にモヤモヤが残るending。
LeeとJokerの幻想的シーンは、確かに美しい。
監督トッド・フィリップスは、今回は、不条理社会へのアンチテーゼなどではなく、観て聴いて、心昂り、心乱され、心奪われるentertainment作品を意図したのだろう。

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Sue