「誰かの期待通りじゃ無くても、とても良い映画です。」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ MOONさんの映画レビュー(感想・評価)
誰かの期待通りじゃ無くても、とても良い映画です。
細かい箇所は、もう既に他レビューにたくさんあるので割愛させてもらいます。
ジョーカーが悪の権化として数々の悪業を行うさまは、
それぞれがカタルシスを感じるには充分過ぎる対象なのでしょう。
しかしこの映画は、歌の歌詞や監督、俳優の意図として、
そのようなものは存在しない。
愛や平和こそが大切な全てなんだ。
と分かり難いながらも、伝えて来る。
劇場での他映画の予告編を観れば、どの映画も戦いや戦争、
悪の存在や、果ては学校での殺し合いなど、
こんな映画の数々を観て快感を得て、
果たしてこの世界は良くなるんだろうか?
といつも疑問に思ってしまう。
実際にJOKER1を観て、世界で、この日本でも、
様々な模倣した事件が起こった。
もしあなたがその事件の被害者家族、遺族だったとしても、
同じようにこのJOKER2に悪業の限りを求めるだろうか。
その「快感」を、期待するだろうか?
映画と現実は違う。
だけど私は、だからこそ映画には、
今の現実にはまだ無いような素晴らしい世界や、
暖かい世界が描かれていて、
それに憧れて、いつしか本当に自分のまわりが、
映画みたいに素晴らしい世界になったら良いな、
と思っています。
Joker Folie à Deux、で明かされるのは、
JOKERは存在しない、もうこの世界には必要無い。
というメッセージかも知れない。
だけど、アーサーは今も存在していて、
同じような気持ち、境遇の人もたくさんいる。
だからと言って、
誰かを傷付けて良い訳では無い。
誹謗中傷して快楽を得て良い訳では無い。
この映画は、観る人を、私たちを試しているような、
私たちが観られているような、
そんな不思議な感覚がありました。
最後になりますが、
アメリカでたくさんの否があろうとも、
私には関係ありません。
ホアキンフェニックスの演技も、
レディガガの歌も、
映像も、音楽も、本当に素晴らしい。
また来週もIMAXでもう一度観に行きます。
【追記】
早速、グランドシネマサンシャイン池袋にて、
IMAX レーザーGTの超大画面にて2回目を観覧しました。
まず大画面になった事で、表情が巨大なビルくらい迫って来るので圧が凄かったですが、それに耐え得る主演2人の表情に見応えを感じました。
また1回目はJOKERを期待して観に行ったのですが、
2回目はどちらかというと「アーサー」を観に行った感覚に近く、その感覚で観た時の、後半の知人のくだりなどはより名シーンに感じました。
シーンの動きこそ少ない本作ですが、やはりその狭いシチュエーションの中での細かな演技が随所に光っており、その表情の細かさは大画面で観るに限る!といった所でした。
そして結局2回観ても、
私は本作が好きな事に、なんら変わりはありませんでした。
前評判など気にせず、是非劇場で観る事をオススメします。