劇場公開日 2024年10月11日

「美しい音楽、そして映像の映画だった」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ 八べえさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5美しい音楽、そして映像の映画だった

2024年10月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

美しい映画だった。映像も音楽も美しい。
賛否両論ある映画という前評判は見ていたので、自分はどちらなのだろうと思いながら見ていたのだけれど、案外引き込まれていると感じていた。
ミュージカル映画として批判している向きもあったけれど、その音楽、特にガガの歌が美しかった。また、その音楽をバックではなく、前面に出した映像は美しかった。炎、闇、光、そういったものの組み合わせ、描き方が美しかった。また、歌に重なり合う重厚な不協和音とのアンバランスさも良かった。
物語とすると、やはり現実の世界で起こってきたJOKER模倣犯の存在が横たわっていたように、そして、それに対するリアクションという側面はあったように思う。
彼は悪魔そのものではなく、悪魔に囁かれた人間なのだと。
There is no JOKER
そして、人間を堕落させた後、悪魔はその人を離れ、そこにはただその人間だけがいる。
I can’t live without you...
なんて笑えないジョークしか残っていない。
そういった道徳とは言わないまでも、教条的なところはあったように思った。
そういったものを見たいわけではない、そう思った人には不評だったのかもしれない。
ただ、この映画の音楽と映像の美しさは破壊と混乱とカオスの耽美的な美しさを讃えていた。
そこは十分すぎるほど評価できるものだったと思うのだけれど。

八べえ