「この世界は、ただの舞台」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ 23さんの映画レビュー(感想・評価)
この世界は、ただの舞台
前作におけるジョーカーの魅力はそのカリスマ性だったと考える。
数多あるヒーローやアンチヒーロー映画において、ここまで明確に弱い主人公はそういない。
そんな中でもアーサーがジョーカーとなり得たのは彼の狂気的なフラストレーションの解放が観衆を惹きつけたからだ。
前作では全ての人が潜在的に抱えている〜やら、共感してしまう〜云々の宣伝やレビューが散見された。
今作のラストはそういった観衆の要望もどきのようなものに引っ張られて、ジョーカーが特別たる個性を全て殺してしまうようなものに思えた。
ただ悪意が伝播するだけならジョーカーである必要はあったのだろうか。
それと当然ミュージカルである必要はない。
妄想と現実が混濁した世界観が前作の解釈の幅を広げていたのに、なぜわざわざミュージカルという枠に収めてしまうのか。
総じて残念。
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