「独りぼっちではない「孤独」」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ namaketaroさんの映画レビュー(感想・評価)
独りぼっちではない「孤独」
5人の殺害容疑のため刑務所で過ごすアーサーに裁判の日が迫る。
刑務所内で出会ったリーとの妄想は、世の中の弱者、反逆者たちへ伝播する。
今回のアーサーは独りぼっちではない。
常に周りに人がいる。
そのため前作のような終始閉塞感で逃げ出したくなるような絶望は薄い。
なぜならアーサーはもう、弱者のヒーローであり、民衆の代弁者であり、憧れの存在だからだ。
社会的弱者視点で共感した前作を、そのまま期待して観ると裏切られる。
世間から「つまはじきにされる孤独」が前回なら、今回は世間から「祀(まつ)られる孤独」。
アーサーの境遇から生まれた「ジョーカー」は世に一人歩きを始め、アーサーは「ジョーカー」であることを求められていく。
「あなたは僕の話を聞いていない」というインタビューでのアーサーの言葉が印象的だ。
みんなが見たがっているのはあのメイクで、素顔のアーサーではないのだ。
ある意味今回の孤独のほうが、救いがないかも知れない。
ミュージカルシーンが多すぎるという声はその通り。
ガガに乗っ取られた感が否めないのでこの点数で。
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