「魔法がとけて、本当の自分に戻るやすらぎ。」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ のりたまちびさんの映画レビュー(感想・評価)
魔法がとけて、本当の自分に戻るやすらぎ。
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「ジョーカー」の衝撃は、すごかった。
アーサーの現実と妄想の区別がつかず、その衝動性で次に何が起こるのか分からなくて、ただただ怖かった。
内容が頭に入っている2回目、今年の3回目の鑑賞でも、何回か体がぴょんと跳ねた。
そんなことは夜中にテレビを観れなくなった貞子に出会って以来だ。
今回の「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」は、ジョーカーの仮面を脱いだアーサーの物語。
社会のルールに適応できなくて排除される異物の悲哀に、やるせなさを感じた。
同時に、私は彼と友だちにも、隣人にも、顧問弁護士にもなれないと思った。
今作も、私のダークサイドを根底から揺さぶるという意味で、観た甲斐があった。
母から愛をもらえず、恋をして、ただ一人の人を求め、けれどその人が欲したのはアーサーではなくジョーカーで、振られてしまう。
ジョーカーとして崇拝されるのではなく、アーサーとして愛される経験を持って欲しかった。
「ジョーカー」と同じく、今作もラストのシーンが尾を引く。
最期に、彼は何を想い、何を見ているのだろうか。
魂にひりひりと悲哀を感じさせる音楽は、相変わらずよかったし、全く楽しくなさそうなアーサーの笑顔にも笑い声にも、しびれた。
見納めなのだと思うと、寂しいけれど、これ以上アーサーがしんどい目に遭わなくてよかったとも思う。
「ジョーカー」・「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」は、発火装置な気がする。
本当は、そこここで既に小さな火が燃え始めていて、大きな炎に繋がっていくかもしれない。
怖いと同時にワクワクしている私は、自分の中のジョーカーとうまく付き合っていきたい。
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