劇場公開日 2024年10月11日

「冒涜」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ ストレンジラヴさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0冒涜

2024年10月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

単純

「さあ、ショータイムだ」

※ここから先はあくまでも一個人の感想です。
ゴッサム・シティ惨劇の夜から2年、すべての元凶となった"ジョーカー"アーサー・フレック(演:ホアキン・フェニックス)は収監され裁判を待つ日々を送っていた。看守から「模範囚」と認められ刑務所内での合唱への参加を認められる。そこでアーサーは"リー"ハーレイ・クインゼル(演:レディー・ガガ)と出会う。

まず一言。最低だ、金も時間もあの感情も全てを返して欲しい。前作を大真面目に観た自分をバカにされた気がして猛烈に腹が立った。一応語弊のないように言っておくと、途中まではややパンチに欠けるもののとても良かった。野球で言えば8回終了くらいまでは。今回は裁判がメインだからアクションをとりづらく、その補強としてミュージカル仕立てになっているわけだが、そこでガガが往年のハリウッド・ミュージカルのスタンダードナンバーを色々歌ってくれるからそれほど不満はなかった。むしろなんで賛否両論だったのか分からなかったくらいだ。
終盤の30分でその理由が全て分かった。酷い。9回の攻防でこれまでの積み上げが全てぶち壊しになり、唐突にスタッフの言い訳がアーサーの口を通して始まったのだ。そこから急転直下の展開になるが、要するに「ジョーカーにスポットライトを当てて映画を作ったんだけど、まさかこんなにヤバい展開になるとは思っていなかったんです。本当なんです」とスタッフが逃げてその責任を全部アーサー・フレックに押し付けたのである。悪が偽善に成り下がってどうする?個人的には偽善は悪より卑しいし、そういう展開は心底嫌いだ。だったらそもそもの話として、最初から「ジョーカー」なんて作らないで欲しかった。どんなに一流のパティシエが腕を振るって、最高の食材を最高の技術で料理したところで、ケーキのてっぺんに糞を盛り付けたら誰しも食欲を失くすのが自然というものだろう。本作はまさにそれを地で行った感じだったと個人的には思う。
自分も(さすがに法律は守ったが)子供の頃からヤンチャをして育った方だ。向こうみずで尖った部分が歳をとるにつれて次第に失われていき、気付けば杓子定規の生活をしているわけで他人のことを言えないのはよく分かる。そんな僕に対して「それが人生だ」とでも言いたかったのであろうか?
終盤30分までは本当に良かったんです。なのでレディー・ガガのミュージックビデオくらいで観るのがいいのではないでしょうか?
残念でなりません、俺はもう知らん。

ストレンジラヴ