劇場公開日 2024年10月11日

「なぜこの映画は賛否が分かれるのか」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ 山田(仮)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0なぜこの映画は賛否が分かれるのか

2024年10月12日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

私はこの作品に⭐︎4と付けた。
しかし、自分自身でもこの評価に納得はいっていない。
なぜなら、この映画は評価を与えるのが非常に難しい...いや無理だと感じているからだ。

ドルビーシネマで10/11の公開日に鑑賞。

>まず分かっていただきたいのは、⭐︎4とはいっても全ての項目が⭐︎4前後というわけではない。
満点に近いと感じた部分も多く存在する。

それは“俳優の演技”と“映像美”、“世界観”だ。
前作同様のクオリティを期待して問題ない。

加えて、今作は歌のシーンが多く登場する。
その部分に関しても、世界観にマッチしていて、それにレディーガガの活躍も相まって、非常に満足できる出来であった。
(ホアキンフェニックスの歌唱力については、是非劇場で確認して欲しい)

>さて、今作で議論になるのはストーリーだろう。

正直なところ、面白かったかと言われれば、素直にハイとは言えない。
というのも、前作とはジャンルがだいぶ違うからだ。

前作は内容的にはどちらかと言えばヒューマンドラマになるだろう。
起承転結もそれなりにあったし、小説にしても成り立つストーリーの構造だったと思う。

しかし、今作は個人的には一種の芸術作品という印象を受けた。
しっかりした物語、起承転結があるわけではない。そして、映画でしかできない表現で、人によって多くの解釈ができるようになっている。

私は2作目というより『スピンオフ』という方がしっくり来た。
もちろん、話は続きでで間違いないのだが、とはいえ続編というにはジャンルや話の構成がが違いすぎる。

>なぜ賛否が分かれているのか。

JOKER(前作)にどのような面白さを見出していたか、が大きな理由の一つだと私は感じている。

まず楽しめた人。
その人たちは前作に“俳優や独特な撮影技法を含めた世界観”や“人間の心理描写を含むヒューマンドラマ“に魅力を見出せたのだろう。

一方、楽しめなかった人。
それは上記で書いたような魅力よりも、”悪役としてのかっこよさ“や”純粋なストーリーとしての面白さ“。
詰まるところ、ダークなアメコミとしての魅力を感じていたのではないだろうか。

つまり、
(タクシードライバーのような)『ダークなヒューマンドラマ』として見ていたか、
『アメコミの映画』として見ていたかが大きな分かれ目だったのではないかということだ。

>いろいろ書かせていただいたが、続編としては一つの正解だと感じている。

前作の出来は素晴らしく、そのまま続編を作ったところで2番煎じで終わっていただろう。
だが、あえて方向性をずらすことで、別の作品としての地位を確立している。

とはいっても、個人的には続編を作らないのがベストだったとは思う。
しかし、続編を作らないといけなかった以上、こういう内容にしたのはベターだったのではなかろうか。

>見るかどうか迷っている人へ。

結論としては、前作で世界観や映像表現を好きになれた人は迷うことなくいって欲しい。
きっと満足できるだろう。

しかし、前作で満足しており続きを見たくない、また解釈が分かれる芸術的な作品が好きではない人。
それに前作を見ていない人だ。

※おすすめの映画館
ドルビーシネマ≧imax gt>>その他imax>4dx

長くなってしまったが、最後に、私個人としてはこの作品を見て良かったと強く感じている。

この文を読んでくれた人が見に行くかは分からない。
しかしもし見に行くのだとしたら、私のようにこの映画に浸り、そして自分なりの解釈を持って欲しい。
それがこの映画の正しい楽しみ方だろうと私は信じている。

山田山田山田