「悪趣味。正直、こんなジョーカーは見たくない!」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
悪趣味。正直、こんなジョーカーは見たくない!
前作で深い悲しみと憎しみの中から生まれたカリスマ的ダークヒーローのジョーカーでしたが、以後目立った実績?を残す前に前作で犯した5人の連続殺人容疑で呆気なく逮捕されています。
彼は重度の精神疾患があるとされ精神病棟みたいな劣悪な施設に収監されてますが、連続殺人容疑の裁判を待ってる間に、ひょんなことからレディー・ガガさん演じる謎の女性リーと出会い混迷を深めつつ法廷闘争+「空想上のジョーカーの活躍??」をメインにストーリーが展開します。
レディー・ガガさんがキャスティングされている時点でなんとなく想像できたのですけど、ミュージカルっぽいシーンが頻発します。その中でのみ上記の「空想上のジョーカーの活躍??」が展開されるのですが、今の彼の環境下では過去の回想でもなく、あり得ない場面設定なので悪逆の限りを尽くしゴッサムを混乱に陥れたい・・・という「悪のカリスマの発露」はまるで感じることが出来ませんでした。
むしろリーに簡単に心奪われて、恋愛で現を抜かす情けないアーサーの側面ばかりが強調されて、対比的になぜかリーの自信漲る演技(歌はさすがに上手い!)ばっかり見せつけられて、これは主役交代の伏線なんでは・・・と邪推さえしたくなる始末でした。
以後もジョーカーのカリスマの剥奪を狙ってるとしか思えない脚本、演出、欠伸が出るつまらんミュージカルシーン(失礼)の雨霰で前作で積み上げた遺産さえ食いつぶしていきます。ゲンナリしながら観てましたら重ねて衝撃のラスト・・・あっけにとられたというのが正直なところ。
鑑賞後、私の中では、ダークナイトの今は亡きヒース・レジャーさん演じたジョーカーの存在感がより大きくなり、確固たる悪のカリスマとして定着したという結果となりました。
また、バットマンが存在しない世界線におけるジョーカーっていうオチなら、なかなかスジが通った作品だとは思います!
では。