「こっ!これは!!」ジョーカー フォリ・ア・ドゥ ゆきさんの映画レビュー(感想・評価)
こっ!これは!!
精神疾患のある個人の妄想が、他者に伝染して同じ妄想を共有していく。。
こっ!これは!!
私の大好きな「パーフェクトブルー」
(今敏監督)でしょうか?!
本作の公開を前に、先月劇場公開された
「ジョーカー」を鑑賞したばかり。
心優しかったアーサーが貧困や差別、母親からの裏切りなどの様々な理由から精神を蝕まれていく。
(それは幼少期から続いた悲劇でもある)
そして衝撃的な殺人事件を起こす。
民衆に煽られ巨大な悪に変貌。。
私は「ジョーカー」でのアーサーの事を、
どーしても"悪のカリスマ"として見れない部分があった。
孤独だが優しかったアーサー。
彼を変えたのは歪んだ社会であり私達だ。
アーサーだからジョーカーになったのではなく、誰でもジョーカーになりうる可能性を秘めていると思えてならない。
だからこそ、彼の意図しない所で勝手に民衆の代弁者として、弱者のカリスマとして崇めたてられたアーサーを、肯定は出来ないのだが、否定も出来ずにいた。
正常な判断が出来なくなるまで追い詰められたアーサーに、むしろ同情してしまう気持ちも大きかった。
そんな
現実と妄想が混在するアーサーの世界を追体験させられた、信じられない語り部であった前作の「ジョーカー」のその後を描いた本作。
冒頭のアーサー(ホアキン)の姿にフリーズした。
痩せこけた、、を通り越す変わりよう。
もう骨と皮だけの背中に涙が出そうになった。
州立病院とは名ばかりの、酷いそこでの生活が想像出来た。
"外"に出れば彼は悪のカリスマだが、
結局は殺人鬼であり、裁判を待つ身。
院内での扱いは酷いものだった。
そんな日々の中リー(ガガ様)と出会い、
愛を知り、止まっていたアーサーとジョーカーの時間が動き出す。。
と、上辺だけすくって観ればあのままなのだが、、違う気がしてならない。。
少し乱暴だが、リーと初めて出会ったシーン。目が合う。
それは現実で、それ以降は全てアーサーの妄想だ!なんて観方も出来る。
(たぶんDTのままだと思う( ; ; )
観客が自分の見たいように都合良く見ているだけで、それは実は自分の内面なのかも、、と思うと怖くなるし、そしてその解釈が実は全てアーサーの妄想なのでは?と思うとかなり戸惑う。
しかし私は、本作は、アーサーが
「ジョーカーなんていない」と言えた事こそに意味があるのだと思った。
注目して欲しいのに!愛して欲しいのに!誰からも注目されず愛されず、底辺で生きてきたアーサー。
殺人鬼ジョーカーとなり神格化されていく過程で皆から注目され崇拝されて
(愛されて)いく皮肉。
正直心踊ったかもしれない。
しかし、アーサー自身がジョーカーと決別出来た事にこそ意味があるのではないか。
(あの彼の証言に泣いた( ; ; )
アーサーだけが僕を馬鹿にしなかった。
その証言の後のアーサーの表情の変化と、より乱暴に振る舞う姿に泣きました。
あれがあったからアーサーは心を取り戻したんじゃないかな)
悪のカリスマとしてのジョーカーが見たかった人からすれば本作は肩透かしだったろう。
だけど、それは少し危険かもしれないなんて思ってしまったのも本音。。
ゴッサムシティのジョーカー信者と同化している?!(否定してません)
SNSを通して良くも悪くも誰しもが、一瞬で世界中から注目される存在になる(なってしまう)世界。
自分の意思とは関係なく勝手に
"造られた自分"が1人歩きしてしまう恐怖。
そんなターゲットになり得る人物の登場を望んでいるのは我々で、そこに勝手に自分の欲求をくっ付けてくっ付けて巨大化させているのではないか。
そして自分の欲求を満たしてくれないのだと分かると一瞬で興味を無くす。
見捨てる。
(いつも見捨てられてきたアーサー。
だから彼の妄想は皆が笑っていても歌っていてもいつも哀しい。。)
それはリーと同様で私達にも当てはまるのではないか。
リーは自身の欲求からアーサーがジョーカーとして"存在し続ける"事を望む。
もはやリーがジョーカーであり、私達もジョーカーなのではないかと、考えると怖くなる。。
所々に差し込まれるアニメーションの意味。
前後のシーンとの関連性ももっと考えたかったのですが、一回だけでは理解及ばずで不甲斐ない( ; ; )
又、ラストの解釈も何通りも考えられる。
私はアーサーは死んだと思う。
それは身も心もアーサーという人物の命が消えたという解釈。
でも気になった事がある。
あの患者はアーサーを刺した後、ナイフを何度も舐めているように見えた。
最初は彼はジョーカー信者だから、ジョーカーの血を舐めているんだと思った。
だけど。ん?ってなって。
口裂けってジョーカーのシンボル?的な意味がありますよね?
だからあれって口裂いてた?!?!
アーサーのジョーカーは死んだけど、悪のジョーカーは絶えない!引き継がれる!って意味なのかなと思うと、嫌なラストだな、だけど、ある意味リアルだな、と、恐ろしくなりました。
でもやっぱり私では一回見ただけでは読めませんでした。
もっと仕掛けがあるのだろうに、たぶん全然わかってなくてごめんなさいw
そしてガガ様やミュージカル、音楽についても何も触れていなくてごめんなさいw
ここまで書いて力つきました( ̄∇ ̄)
スケジュール的にいけたので、エマちゃんと連続鑑賞しようかな〜( ・∇・)とか一瞬でも思っていたバカな私。
いや、頭パンクするわ我慢して正解!
自分のキャパを知る女で良かった。
遅くなったが、エマちゃん。明日観っから♪
賛否あってヨシ!
トッド・フィリップス監督の描いた
「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」
私は好きでした。
元々ジョーカー1の時に あまりにも悪のジョーカーがカッコ良すぎて模倣犯が実際の事件を起こす危険な作品だと思っていて1のジョーカーを否定しないと更にまた事件起きますから面白いとか面白くないとかじゃない角度で1に憧れて変な事考えるヤバいヤツとレディーカガを冷めさせ無いとダメですからね🥶
ゆきさん、これおもしろかったですね〜👏
感動とかじゃなくずっしりと頭から足指の先までアーサーの魂が渡り歩くのを感じたというの??
ゆきさんならイメージしてくれそう笑
このあとの作品、しかもエマちゃんならきついですな。。。
頭パンクしなくてよかったです。
ゆきさん、共感&コメントありがとうございます。アーサーへの温かい視線が感じられる、ゆきさんのレビューこそ素晴らしいです。朝からウルッときました。
賛否両論出るのは、ある意味いい映画だと思います。ゆきさんはじめ皆さんのレビューを読んで、映画への理解が進みました。ありがとうございます!
ゆきさん、コメントありがとうございます。結構、残念と思っている人が多いなと思っていましたが、同じ感覚でいいと思う「仲間」がいて本当に嬉しいです。アメコミのこと知らない・関心ないこともあるので、独立した二作品として前作&今作を監督が作り、そして見ることができてよかったと思っています。本当にありがとう!
私もこの作品好きです、とても好きです。前作は衝撃的、音楽も映像もアーサー→ジョーカー変貌含めて、心臓バクバクで最高だと思いました。2回見て細部も確認しました。今回のは2回目は見ない、それでもこのような作品にした監督の意図を私は評価するし敬意を抱きました